先日、紹介した激安なサーモグラフィーHIKMICRO B10。アマゾンギフトが溜まっていたので(ありがとうございます)特価のうちに買いました。この手のものは円安で今後高くなると思うので、今のうちに、ということです。
もっと安価なサーモグファフィーがあるのに、B10を激安!といっているのは理由があります。他社も含め2万円台からあります。しかし仕事で使うには解像度が低く、温度差も大雑把で辛い物があります。私もFLIR C3を使っていました。約10万円の当時としては低価格機であり、スペックは低いものの、薄型軽量でフットワークに優れていたため、どこに行くにも持って行けて良かったです。
C3が現役なのに、B10を買った理由は、その性能の限界を感じたことと老朽化が進んできたことです。この手の機械はまずバッテリーがやられます。メーカーに言えば交換してもらえると思いますが、小さなマシンがいつ壊れるかわかりません。他にも傷んでいる部分はあるので、そろそろ交換時期かな、ということです。
次に性能です。C3は小型軽量で実画像も同時記録できますが、その実画像が実にチープです。これは同時に通常の写真を保存したい私にとって辛かったです。まあサーモグラフィ-で搭載していないものもあるので、贅沢はいえませんが。次に温度センサーの解像度が低いだけでなく熱感度も大雑把です。断熱を見るのなら、なんとかなりますが、漏水や筋かいなど耐震調査に使うにはいささか性能不足でした。まあフットワークと天秤にかけると、C3はとても魅力的だったのですがね。
そこで HIKMICRO B10です。スペック等は前回のブログに書いたので省略しますが、比較的新しい機種で持ち手がついている中では小型軽量です。まあスペックは水物とは言え、スペックだけ見れば、少し前の中級機に迫りますからね。
実際届きました。

箱はこんな感じ。説明書も多国語ですが日本語は入っていません。パッケージも日本語はありません。日本語がなきゃ嫌だという人は避けた方が賢明です。しかし本体メニューは日本語に対応していて、最初の英語メニューから切り替えれば簡単に日本語化できます。これはうれしいです。またメーカーホームページも日本語があり、使うには十分な情報があります。特にサーモグラフィーを使ったことがある人なら、簡単です。ユーザーインターフェイスは独特ですが、慣れれば非常に操作しやすいです。UIもいろいろあるんだなぁと改めて思わせる機種です。何しろ説明がないと辛いが、1回聞けば簡単な操作です。まあ、見ただけでわかるタッチ操作のC3に比べれば劣りますが。FLIR C3と同様に考えるのは価格差も考えると無理がありますね。この機種はあくまで低価格で高性能の部分だけを考えて使うのが吉です。

大きさを比べて見ました。C3のコンパクトさには勝てませんね。C3はポケットに入りますし。B10は持ち手があるので操作しやすいですし、見た目以上に軽量です。思ったよりしっかりした感じです。撮影は背後の赤いボタンで、前にあると思うと思いっきり戸惑います・・・。
最初から、結構バッテリーが充電されていまして、すぐ試すことができました。ちなみにバッテリー駆動時間が長いのもウリの機種です。充電器はついています。そして嬉しいUSB Type-Cタイプです。高速充電に対応していないと思いますが、充電器には苦労しなさそうです。ちなみに手持ちのモバイルバッテリーでも普通に充電できますので、汎用性は高いですね。パソコンに繋いでも充電できます。
起動して驚くのは、起動速度です。以前使っていたNEC AVIO G100も遅かったですが、C3も遅いです。サーモグラフィーは仕組み上、起動が遅いのは仕方がないのですが、すぐ調査したいときもあります。その点、B10は速いです。すぐに調査ができるレベルです。画面の動きも軽快で、画像が安定するまで速いので、調査がサクサク進められます。恐らく画面の切り替えが速くフレームレートが25Hzと低価格サーモグラフィーに比べて高くなめらかだからでしょう。C3に比べてここまでの差があるか、と思いますが、高額なG100よりもサクサク動くのは本当にビックリです。
液晶画像は若干コントラストが高いです。見やすいのですが、もう少し抑えてくれた方が微妙な温度変化がわかるのでは?と思います。ただくっきりして目が疲れない感じで、これはこれで良いと思います。
さて、解像度ですが、さすがにG100の320×240には劣りますが、C3の80x60に比べると圧倒的です。256×192という一見不思議な解像度ですが、ここまで高いと輪郭が十分わかります。熱感度0.04度はG100を上回るはずですが、個人的な感想では同等に見えます。というより十分すぎるほど高性能です。C3がおもちゃに見えるレベルの差を感じます。ただ液晶のコントラストが高いので、撮影時に、それほど温度情報があるように見えないので、リアルタイムに調査したいときは若干不利かもしれません。サクサク撮影できますから、撮影してなんぼ、ということでしょうか?

C3では難しかった壁内の筋かいを、かなり見つけることができました。分解能や熱感度が高いことがわかります。画面の表示がなめらかな反面、安定しないので、うまく本体を振りながら見やすいポイントを探す必要があります。特に温度差が大きいときなどは工夫が必要です。どちらかというと画面内の温度差が少ないときのほうが良好の結果となるようです。画面の色の安定性が低いので、高速に自動で色と温度を調整しているのだと思います。速すぎて安定しないのは、ソフトウェアの完成度が低いからなのかもしれません。改良を望みます。
メモリーは内蔵のみですので、USB Type-C接続で手軽に転送できます。USBで接続すればメモリカードのように読み書きできます。
解析については、メーカーホームページからHIKMICRO Analyzerをダウンロードしてインストールすればできます。高機能なソフトとは違いますが、マウスで手軽に任意点の温度を調べたり、できます。ただし日本語には対応していません。当たり前ですが他社の画像は認識しません。熱の範囲を絞ったりして、見やすくすることは出来ますが、今ひとつです。

アプリは無料でダウンロードできますが、日本語非対応です。ちょっと難しいです。
面白い機能としては、PCに接続して画面をキャストすることができます。パソコン側で見ることができるので、動画が撮影出来ない当機で、キャプチャーソフト併用で録画なども出来そうです。専用アプリなどは不要で、Windowsの標準機能だけでできるのが魅力です。

パソコンにUSBでつなぎ、本体からキャストをONにするだけで使えます。アプリは標準のカメラアプリです。通常のカメラと切り替えればOKです。普通に画面をパソコン画面に映しているので荒いですが、いろいろ使えそうです。
あと、通常カメラもついていて解像度も1600×1200なので期待していたのですが、正直裏切られます(笑)。携帯電話で写メールが出来たころの画像レベル?と思って頂ければと思います。C3等と異なり、撮影時にはどれか1つしか選べず、通常は、熱画像ファイルをHIKMICRO Analyzerで、エクスポートして通常の画像を出力するのですが、それも面倒です。まあ同時撮影できないと思っていたので、いくぶんマシですが、なんだかな~と感じます。
この機種は使い勝手とか、日本語化とか、そんなことではなく、できるだけ低価格で実用性の高いサーモグラフィーが欲しいという場合に買うものです。日本では知られていない企業の製品ですし、メニューが日本語化したからといって、不思議な表現もでてきます。また画面内の温度分布によっては見にくくなるのは、FLIRやNEC AVIOといった先行メーカーでは少なかっただけに(もちろんありましたが)、それが我慢できるのなら、間違いなく買いでしょう。正確な温度を測定というよりも温度変化から、筋かいの有無、壁内の柱の位置、断熱材の調査、雨漏りなどの調査などに向くでしょう。つまり建築向けです。2~3万の低性能のを買うなら5万出してでも、この機種のほうが全然良いでしょう。今回はスペックの差についてまざまざと見せつけられました。