3種の46条2項ルートの木造構造計算ソフトの対応規模

どうやら予定通り?WOOD-STもSEIN木造も11月に発売されるようですが、これでASTIMと3種類の選択肢ができます。その機能などは追々紹介していくとして、今回は、その対応規模について。

構造計算ソフトは通常、対応する規模など制限があります。木造だとグリッド数、RC造なら階数などが多いですね。では、この3本はどうでしょう??

まず、ASTIM。グリッドにとらわれず自由な形状を入力できるのがウリだけあって、建物規模などは無制限です。パソコンの性能に依存するようです。規模的に巨大なものをやることがある設計者はASTIMは安心ですね。

つぎはWOOD-ST。こちらは入力しやすくわかりやすいグリッド形式。最大150×150グリッドです。階数の制限は3階。4階建てはできないことは要注意です。スキップフロアは各階1層ずつです。わかりやすく入力しやすいですが、そのぶん制限は多いです。

最後は、SEIN木造。こちらはSEINのオプションなので、SEINのグレードによって制限を受けます。フルバージョンは無制限です。CEは柱600部材、梁1200部材、LEは柱200部材、梁400部材です。S造などではLEでもかなり大きな建物ができますが、部材数が多い木造ではLEはかなり厳しい制限といえます。ちょっと大きめな建物をやるにはCE以上が必須と考えます(リリース前なのでこの制限が木造に適用されるか???今後変更があるか?は不明です)。

任意形状系との違いは、計算書としての体裁が整うことでしょう。たぶん、FAP-3とMED-3でも同じ事はできますが、あくまでそのインプットとアウトプットの出力は出ても、建物としての一貫した計算書は作れません。その意味では3ソフトとも十分省力化は可能です。あとはやりたいことと操作性と価格で選んでいけばいいと思います。

WOOD-STの、耐力壁(木造・方杖、K形ブレース、X形等)の取り扱い

なかなか構造システムのホームページに詳細が上がらないので、現時点でわかっている点をいくつか。

WOOD-ST1は木構造の46条2項ルートで壁倍率によらないことがウリの1つなのですが、KIZUKURIの対応のように壁倍率を耐力に変換しているのではなく、初めから耐力で計算することにより、より柔軟に対応できるのです。まあ壁倍率での計算でいい!という人は買わないので大丈夫だと思うのですが。

壁倍率を使わないということは、自分で各部材の耐力を算出しなければならないのは任意形状のソフトと同じですが、木造に特化することで、代表的な形状などは網羅されています。たとえば方杖。両側又は片側のみを取り扱います。応力解析したからといって、方杖と面材を併用していいのか?というのは工学的な見地から考えなければなりませんが。取り付く部材に中間接点を自動的に設けて形状通りに解析するので手軽です。非常に強いことは誰でもわかるK形ブレースも、解析できるので、通常の壁倍率で計算する上限より、強い強度で計算することができそうです。もちろん引張りブレースなども解析できますので、いろいろな戦法を考えられ、設計の幅が広がります。

材料端部は、木なので色々気になるところはあると思いますが、性能の安定化のために金物工法の金物を利用する、というのもアリだと思います。構造システムは、早期よりk-DBなる同社共通のデータベースを構築しており、既にFAP-3やMED-3では、テックワンP3プラスなどのデータが予め入っていることが知られています。実際私も使ったことがあるのですが、非常に手軽です。施工指示など細かいことを避ける為に安定した性能を確保しやすく、プレカット工場で加工可能な、金物のデータベースがついて入れば、かなり省力化できると思います。この部分に関してはアナウンスされていませんが、WOOD-STは、k-DBを標準搭載(つまりBUSなどと同じ)なので、あとは部材がどれくらい登録されているか?が、気になります。一応、告示1024号の構造用集成材・製材、鉄骨ブレース(SS400とか・・・鉄筋じゃないの??)、木造金物工法の金物(プレセッターSU、TEC-ONE P3)などが登録される予定のようです。

もちろん在来的手法であっても、データが揃えば計算できます。燃えしろ計算にも対応しているので、梁表しなど期待が膨らみますね。

なまあず日記の検索ワードで多い「方杖」「壁倍率」

意外にもトップ検索ワードは「方杖」です。対のワードは、「壁倍率」なので、木造の方杖で壁倍率を取りたい場合に検索している人が「まだ」多いようです。

方杖の強度を方杖自体で取っている・・・と思っている人が多いですが、実際は柱がある程度強くないともちません。なので105角で方杖に頼ってしまうと柱側が先に折れる結果になってしまいます。方杖取り付けにもボルトやビスなどで欠損も出てきますので計算値通りの設計って意外と難しそうです。もっとも一定の型はありますので、特異なことをしなければ問題ないと思いますが。

個人的に方杖を採用する場合は、金物構法などの性能がきちんと明記されているもので、方杖に利用できるものを採用します。例えばテックワンP3プラスのように、元々方杖での利用も考え、事例を書いているものです。ちなみにテックワンP3プラスのマニュアルには方杖フレームの計算例が書いてありました(最近のものに載っているかは知りません)。欠損も少なく取り付けて出荷してくれるので施工も手軽ですし安全性も高いです。金物が特殊なぶん、コストアップになりそうなのがネックです。

もっとも方杖を使うシーンは耐震補強が多いので柱自体をアラミド(お勧め!)で補強・補修したり、柱を二重に重ねたりして元の柱をできるだけ痛めないようにしています。新築の場合は面材で耐力を取っているので、方杖を倍率加算するためには使いません。隅柱などで弱そうな場合は耐震補強に準じて補強を行い倍率加算はしません。

倍率加算を考えるなら、似たような挙動の方杖の数を集めて同方向のみ使う、というのはアリだと思います。Y方向は面材で、X方向中央部は面材、外周部は方杖といった組み合わせです。もちろん全部方杖というのもいいと思いますが平屋のように必要耐力が低いものが対象になりそうです。

秋に発売になる、WOOD-STという木造構造計算ソフトは壁倍率によらずルート2で計算するソフトです。スキップフロア対応も目玉ですが、壁倍率によらないので、方杖も利用できます。詳細はまだ発表されていませんが、HOUSE-ST1のように簡単なユーザーインターフェイスで利用しやすいものになっているようです。使いこなすと面白い建物が設計できそうで非常に楽しみです。

kizukuri Ver7.6

発売されたようですね。知人の情報だと、実質的にその他の積載荷重が大幅に増えて画面バランスが崩れた(・・・)ということが大きいそうです。冗談はともかくその他が14まで増えたのでかなり詳細な荷重調整が可能になったようです。金物工法の梁受け金物の算定計算も地味に便利そうです。

注目の短期めり込みの低減は、新グレー本2017に新たに記載された方法で検討しています。その設定がデフォルトのようで、応力図に風圧時と地震時のめり込みが表示され(β値を乗じた値)短期めり込みが計算されるようです。その効果は大きく、この方法が今後主流になっていくと思われます。

他にCEDXM機能は、kizukuriの仕様から期待できないだろうな~と思っていたら、やはり補助機能に近い実装となっているようです。意外と使えるかもしれません。

木構造がらみの告示改正案

3月末にパブコメが発表された、木造関連の告示。1100号も関わる部分なので興味を持っている方も多いと思います。そう遠くない時期に正式に告示・施行されると思います。

高倍率の耐力壁に期待を持つ方も多いともいます。別表第一には、構造用パーティクルボード、構造用MDFに4.3倍という高い倍率が指定されています。構造用パネル、構造用合板にも新たな高倍率が指定されます。別表第二、第三も同様、土塗り壁などの別表も新たに追加される予定です。告示化されるといろいろ便利なので楽しみですが、標準図の作り直し、現場への指示方法などいろいろ工夫が必要そうです。

意外にも昭和55年建設省告示第1791号も改正されそうです。筋かいを設けた木造建築物についての許容応力度等計算(ルート2)における応力割増しの件ですが、従来の方法に加え、特別な調査若しくは研究に基づき当該階の筋かいを入れた軸組の減衰性及び靭性を考慮して定めた数値を乗じて・・・という文言が加わりそうです。筋かいの仕様に応じて割増し係数を設定できるようになる、ということです。

平成28年のパブコメで再検討したものも含まれていますが、今度はきちんと改正できるのでしょうか??内容はともかく改正自体は行われそうなので、気をつけて推移を見守りたいです。

屋根構面の詳細計算法の罠

構造用合板の耐力壁や、根太レス床などでは詳細計算法で計算した数値を一貫計算ソフトに入れて計算している人も多いと思います。

しかしながら一番面倒なのは、タルキや合板で構成された屋根面の詳細計算でしょう。新グレー本を見る限り労多くして益無しのようなので、できるだけ回避していました。

しかしそうも行かないケースもあるので、やってみました。

新グレー本の計算例にある通り、非常にシビアな結果が待っています。特にスパンを飛ばして(2mくらい)、せいの大きなタルキを飛ばすとエライ目にあいます。

今回の計算では、5寸勾配で45x105、スパンは1820で仕様は通常レベルで押さえて計算したら転び止めがあっても1.2程度にしかなりませんでした。5寸で45×90までなら

転び止めありで1.96になるので、エライ差です。釘ピッチなどで一気に上がる床や壁とはレベルが違います。また普通にやる場合はグレー本仕様のほうが甘い場合も。

これは、新グレー本にも書いてあるとおり、屋根面材釘のせん断で粘る前に、タルキと軒桁の接合部が破壊する靭性の低い破壊モードになるためです。

タルキと軒桁の接合部を強化して(これが住宅レベルでは難しい)せん断耐力を向上させる工夫をしてから、面材釘の設計を・・・わかっちゃいるけど、難しいです。

2017年版の新しいグレー本では、この点を顧みて、新たな方法で向上させる手法を掲載しているそうです。

詳細計算法にしろ仕様にしろ安全に設計できる方法なら、別に構わないです。実際この部分が壊れて大変な目にあったという話しはあまり効きません。

住宅レベルではもう少し柔軟に対応してくれたらな~と思います。

SNAP Ver7の木造部分の新機能

SNAP Ver7がいよいよ11月中旬に発売となります。まあ高価なソフトなので無縁ですけど(汗)。今回は64ビット化、マルチコアCPU対応と、同社のソフトではあまり評判が良くない改良ではありますが、SNAPのようなソフトではやはり期待が大きいです。速度アップも果たしている(これも・・・)ようなのでうれしいですね。

さて、木造がらみの新機能も地味に搭載されています。FAP-3での変更を踏まえて追加されているのだと思います。まず解析モデル/荷重の自動生成機能です。製材や集成材の梁・柱・トラスを対象とし、断面寸法と材料を入力することにより、剛性と荷重を自動生成できるようになりました。地味ですが手間が省けますね。次に接合バネの非線形化です。梁柱部材の接合バネの剛性変化を考慮できるようになりました。母材と剛性が異なる金物の非線形性状を考慮した解析が手軽にできるようになるそうです。

大型木造が勝手に盛り上がっていますが、小型木造がまともにできない人たちが大型大型と騒いでいるような気もします。そんなに大型案件があるのか?という疑問も残ります。ただ時代は木造に追い風が吹いているようなので、SNAPで武装してみるのも悪く無いかもしれません。

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うん。高すぎる!!

平屋住宅の構造計算

面積も小さい平屋の住宅なので、別に構造計算は必要ないのですが、時間が合ったので検討してみました。

耐力壁は二階建てに比べて非常に緩いので壁量計算と4分割法で何も問題がないように見えます。

4分割法は外周部に壁があれば、案外簡単に通ります。だからこそ注意が必要です。

kizukuriに入れて検討してみるまでもなく、耐力壁線が離れすぎています。これは広い部屋を作りやすい平屋だからこその問題点です。特に小屋部分を露出しみせるタイプは注意が必要です。

案の定、水平構面はNGでした。ただ通常木造三階建てになれている人間(=私)から見ると、案外緩いな~と思いました。だからこそ構造計算が不要なのですが。ただそれでもNGはNG。火打ちをあまり入れられないので屋根面、転び止め、etc数種類検討してみました。今回は火打ち+転び止めでいこうと思っています。水平構面は余り余裕はありませんが、検討しないで適当にやるよりマシです。壁量は基準の二倍程度(46条ではない。構造計算時)。太陽光パネルも考慮して重量は余裕を持たせました。

そして今度は基礎。平屋建ての住宅の基礎に構造計算を行う意味はなんでしょうか?たぶん計算しなくても十分な強度は出ます。むしろ施工管理に重点を置くべきだと思います。ただ、考えている基礎が適正なのか?どれくらい余力があるのか?逆に足りない部分は??と考えてみるのもいいでしょう。今回は、部屋が広いので、間仕切りが無い部分にも地中梁を置いてスラブを分割しました。スラブ圧は15センチに押さえたかったので。ただやはり5mクラスの地中梁の負担する地反力は大きく、配筋が大きくなりました。おそらく構造の知識がない設計者は、スラブ分割の意味や何も乗っていない(柱とか軸力のこと)場所に地中梁を設置するという意識はないでしょうね。

べた基礎は船を想像すれば分かりやすいです。土という海に浮かんでいる船なのです。土は沈まないのでは?と思うかもしれませんが家は重いです。平屋建てでもm2あたり1tくらいある場合があります。スパンが長い場合、一本当たりの柱にかかる荷重は意外に重くなり、その下の基礎の負担も大きくなります。海に浮かぶ船も広ければ広い分浮かびやすくなりますが、その分底盤を強くしなければなりません。強くするためには、底盤の鉄板を厚くする(家の場合はスラブを厚くする)ことが必要ですが、今度は重量が重くなって沈みやすくなります。そのため補強材を入れて強度を保ちつつ軽くする必要があります。これが基礎の場合は地中梁に該当します。地中梁は上からの荷重(基本は柱を伝わって上階からくる重さ)を受けるためでもあるのですが、スラブ面の補強でもあるのです。ちなみに強くしても沈む場合は重すぎる場合です。建物の場合も同様で、基礎を強くしても沈む場合は、建物が地盤に対して重すぎるからで、その場合は杭や地盤改良で支えてあげる必要があります。

そのため広い部屋がある場合は、木造でも注意が必要です。たぶん計算する必要はないと思うけど、構造検討は絶対必要だと思います。プロならば。正直木造クラスでは単純の計算で済む場合がほとんどなのでスラスラっとやって欲しいものです。平屋建てや2階建てには計算不要なんですよ♪なんていっている建築屋さんに依頼したくない!というお客様が増えてくるかもしれませんよ。