将棋の王将戦の挑戦者決定リーグが本日開幕しました。開幕カードは最年少でタイトルを奪取したの藤井聡太二冠と、レジェンド棋士の羽生善治9段ということで注目していた方も多いかと思います。
将棋と言えば名人戦が有名で王将戦とは??と思う方もいるかもしれませんが、特に挑戦者決定リーグは過酷であることが有名で「将棋界で最も過酷」と言われています。というのは予選を勝ち抜いた7人による総当たりリーグ戦で、内訳はシード権4名と予選通過者3名となっています。つまり下から勝ち抜いてリーグに出場するのはたった3名しかいません。プロ同士の棋戦でここまで狭き門だとかなり厳しいと思います。またせっかくリーグ入りしても4名しか残留できません(うち1名がタイトルを取った場合は3名+タイトル陥落者)。維持するのも入るのも相当狭き門なのです。
そして今日の開幕局は、羽生9段の積極的な差し回しが功を奏して藤井二冠を撃破!意外にも羽生9段は藤井二冠に勝ったことがなく、これが初勝利!
この勝負は素晴らしく、藤井二冠にも勝機はありました。しかしその論評やネットの意見を見ると悲しくなります。そしてこの過酷なリーグの顔ぶれを見て、やっぱりそうなのか、と思ってしまいます。
まず今回のリーグは、非常に豪華な顔ぶれで過去にタイトルを持っていた棋士及び現在タイトルを持っている棋士で構成されています。なので見応えは十分です。しかし・・・。若い藤井二冠に惑わされていますが、その次に若いのは永瀬王座(28才)です。永瀬王座は若手の強豪として知られていますが、もう28才なのです。羽生9段が王将を獲得したのは25才。そのときは実は他はコンプリートしており全7冠を独占しました。羽生9段は別格だから・・・というかもしれませんが、20代前半でタイトルを取っている棋士は意外と多いので、高齢化していると言われても仕方がありません。他は30代前半に3名いるものの、40代も2名います。過酷なリーグなのに、若手が少なく、藤井二冠以外は元気がないように見えます。ちなみに前回は40代3名でした
将棋界の序列は強さ、すなわちタイトルを持っているかどうか?で決まります。いくら過去に実績があっても明確な基準があります。これは将棋連盟のHPでも明確で、タイトルを失うと下位になります。そして序列は上座下座でも明確に出ていて、たとえ70才の無冠のレジェンド棋士であっても、タイトルを持っている高校生棋士の下座になってしまうのです。
今回、実績では羽生9段のほうが、の論調が多かったです。今の日本はすべてそれです。羽生9段の実績は、日本人なら誰でも知ってるくらい偉大です。それに異論は唱えません。しかし勝負の世界、しかも現役同士の戦いに、実績など関係ありません。少なくとも勝負しているプロはみんなそうです。ガチンコに真剣勝負しているからみんなを引きつけるのです。今日もNHKニュースで「藤井二冠敗れる」という速報にかみついた方が多かったですが、少なくとも今日の勝負は羽生9段が勝ったが、現在の序列では藤井二冠のほうが上で、注目度も上なので、このような報道の仕方も無くはないのです。レジェンドの羽生9段の勝利を素直に喜びたいのですが、反応が保守的でなんだか今の日本を象徴している出来事なんだな~と感じて暗い気持ちになります。
まあ、そんな中だからこそ、高校生棋士、藤井二冠への期待がものすごく大きいのかもしれませんね。また50才にもなる羽生9段の活躍で元気をもらう中高年者も多いことと思います。私も見終わった後、仕事がはかどりました。そんなものです。
ちょっと考え方が変わるだけで、見え方も変わるというもの。実績だけでは勝てないことは羽生9段が一番わかっていて、「やり方を変えた」とおっしゃっていました。普通にやったって強いのに、まだまだ勉強して強くなろうとしているんだから頭がさがります。また子どもの年齢より下の藤井二冠の将棋を勉強している・・・本当にすごいです。年齢やいろいろな事に理由をつけて努力しないのはもったいないです。
若さや年齢やできない理由を一回忘れて取り組みたいものです。できないことを何かのせいにしていませんか?今の日本や自分に一番足りないもの・・・それを今回の対局で再認識しました。頑張らねば。