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果たして木造住宅の耐震基準は適正か?

熊本地震で新耐震だけでなく、耐震等級2の建物の倒壊があっただけに、各所で木造住宅の耐震基準について議論されています。

また熊本地震の調査結果がでてきたため、主観ではなく調査結果に基づいた議論も行われるようになりました。

9月12日には、熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会で第三回の報告書の配付資料が公開されました。

全172枚にも及ぶ物で、なかなか全部に目を通すことは難しいので気になるところピックアップ。

益城町中心部の調査結果は、1981年の新耐震以前、2000年の改正以前、それ以後の3つの建築年代に分類して被害を集計しています。

新耐震以前の倒壊・崩壊は27.9%、2000年以前は8.7%、それ以降は2.2%と今回も明確な結果が出ています。無被害は、それぞれ5.3%、20.3%、61.3%とこちらもかなりの差がでてきています。

老朽化などの問題もありますが、やはり旧耐震より新耐震、新耐震より2000年改正以降のほうがより良く、新耐震と2000年以降でも大幅な差が見られることに驚きます。

2000年の改正は、基礎、金物、バランスといった阪神大震災の教訓を織り込んだものでした。

倒壊した建物のうち筋交い端部の金物が不十分なものは調査して確認した68棟のうち、50棟も見られました。筋交い端部の接合方法に弱点があることはよく知られており、現在は筋交い金物を使って接合していましたが、昔は釘打ちなどでした。ちなみに2000年以降にかぎれば7棟のうち2棟が不十分であったそうです。サンプルが少ないとは言え、改正後も不十分な仕様で施工されていることがわかります。

同じく柱頭柱脚金物を確認した95棟のうち、接合金物が施工されているのは29棟であり、その中でも現行規定に合致すると思われるものは4棟でした。この4棟は2000年以降であり、それ以前は現行規定にほとんど満たないことになります(当たり前といえば当たり前ですが・・・)。ちなみに2000年以降でも3棟は規定に合致しておらず、こちらも改正後も不十分な仕様で施工されているものが多いようです。

そう考えると、現在の基準が悪い!と言い切れない部分があります。調査結果を見る限り、2000年以降の現行規定であっても、守られていない建物が非常に多いのです。

これらの結果を精査しながら国は基準の見直しをすると思いますが、我々設計者も設計の基準をどうするか?監理の方法をもう一度見直す良い機会なのかもしれません。