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「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)」の感想

先ほど一通り目を通し終えました。講習会の話をも含め2008年版のマイナーチェンジですね。

青本を全面的に改定して作られた初版のグレー本がでたのは2001年12月だったと思います。品確法、住宅性能表示、準耐力壁・・・そんなトレンドの中、木造構造計算の方法が大改訂されたと思います。ちなみにアメリカ同時多発テロ事件の年です。長嶋監督の勇退・・・もありましたね。青本が非常に簡略で計算しやすく、計算ソフトも普及していたので初代グレー本はなかなか普及しませんでした。kizukuriが青本ベースのソフトだったこともありますが、非常に難解で計算できない建物も多く実用性が低かったような気がします。

2008年版は、初代の欠点をかなり修正し、計算しやすくなりました。耐震偽装事件による審査の厳格化やソフトウェアの普及もあり、一気に普及しましたね。2001とは別物!!でした。

で、2017年版は・・・2008年版のマイナーチェンジです。指標となる数値や計算方法などは大きく変更がなく、従来の計算を行っていた人には「そんなもんか」と思うかもしれません。

それもそのはず。2008年版で出てきたQ&Aの項目を反映したり、その後の建築基準法等の改正と整合させたり、矛盾点を極力取り払ったり、表現の修正、明確化など、あくまで2008年版の改良、と位置づけているようです。より使いやすく!!!ということで、2冊に分冊され、マニュアル部分とモデルプランの構造計算例と分けています。おかげでマニュアル部分が軽量化されました。これは木造耐震診断と同じで非常に使いやすくなるので歓迎です。

個人的に重要だと感じたのは、

・小屋組内耐力壁の仕様

・筋かいの欠点に関する対策

・面材耐力壁の正しい使い方に言及

・短期土台のめり込み検定は必須。

・水平構面関連 小屋と検討省略の削除

4階建てへの適用、CLTとの関係、中大規模建築物への適用など、部分的に書かれていますが参考になりますね。壁倍率の上限は従来のままですが、超える場合についても言及していますので場合によって使える、と判断出来る建物もでてくると思います。

より柔軟にわかりやすくなって、計算しやすくなると思われる反面、水平構面関連はモヤモヤが残ります。土台のめり込みも緩和策を書いている割に???な記述も多くこじつけなのかな~なんて感じてしまいます。ラーメンなどとの併用も従来通り。個別の項目を見ているとほぼそのままで表現だけわかりやすく、という部分も多いです。

よく考えるとこれから構造計算を勉強しよう、という人には非常に良い条件が整ったことになります。だいぶ学びやすくなりましたからね。逆に2008年版をある程度使いこなしていた人にとっては、もう少し期待していたと思うので、う~ん、という感じでしょう。事前に錯綜していた怪情報もやっぱりウソだったものも多く、がっかりした人もいるそうです。

ソフトが対応するまでは、これで計算して・・・ということは無いと思いますが、今のうちに考え方、計算方法に慣れていく必要があります。基礎の計算方法は、青本以来変えていない!という猛者もいるそうですが、グレー本を読む限り(というより構造屋さんやっていれば)、そろそろおかしな計算方法だな、と気がつくはずです。まあ色々レベルアップの良い機会になれば、と思います。

忙しいのでこのへんで。