4号建物向けの壁量計算ソフト

最近、4号建物の壁量計算も、保存書類に入ることから問い合わせが増えています。

いうまでもなく、木造住宅に壁量計算は必須であり、それ以上の構造計算を求める動きも大きくなってきました。今さら4号向けの壁量計算の導入はコスト面でも意義が少なく、Excelシートやら手計算やらでやったほうがいい、という人もいます。

そこで将来的には構造計算を視野に、壁量計算機能にプラスアルファがある、有料(30万円程度まで)でサポートもありながら比較的安価な壁量計算ソフトをピックアップしてみました。

ソフト名 価格(税抜き) 機能 備考
MOKUZO.Designer
(構造ソフト)
330,000円
年会費28000円
・4号専用機能あり
・斜め軸
・構造計算機能あり
キャンペーンで大幅割引の場合あり
ぽちっと壁量
(株式会社SHF)
150,000円
保守15,000円
・4号専用
・性能表示壁量他
同社のさくっと木造シリーズに相互互換
壁Check5
性能表示計算
(時空間)
67,000円 ・4号専用
・斜め軸
・性能表示壁量他
・USBプロテクト
壁量計算だけでUSBプロテクトじゃなければ更に低価格
ASTIM壁量
(アークデータ研究所)
150,000円
年会費36,000円
・4号機能のみ
・オプションで木造構造計算やRC構造計算等可能
HOUSE-ST1
(構造システム)
320,000円 ・4号専用機能なし
・年会費なし
・構造計算機能あり
キャンペーンで大幅割引の場合あり

他にも製品はあるのですが、4号に特化していたり、商品構成が複雑すぎたり、機能的にお勧めできないこともあり、今回は除外しました。

価格無視で、どれか一本だとMOKUZO.Designerでしょうか?後発で機能的に充実していない部分もありますが、よく考えられた機能搭載です。4号モードを活用しながら、必要なら構造計算、という考え方ができます。準耐力壁も使えるので性能評価の計算にも使えます。よくここで紹介するHOUSE-ST1は構造計算を主眼にして、4号は使えるよ程度なのとは違いますね。慣れれば難しくはないのですが・・・。

壁量計算と性能表示だけを考えれば、もっと安いものがあります。構造計算は不要と割り切れば、ぽちっと壁量や壁Check5など高機能な壁量計算ソフトをお勧めします。後で構造計算が必要になるかもしれないが今は費用をかけられない・・・ということであればASTIM壁量も候補に入ります(構造計算は難解ですが高機能です)。

WOOD-ST Ver1.5.0.3

木造構造計算ソフトのWOOD-STがアップデートされ、Ver1.5.0.3になりました。

なかなか何ができるか?実際に実務で使えるか?わかりにくいソフトですが、変なルールでがんじがらめになっているグレー本の計算方法よりスマートであるのは確かで、習得すればより自由な木造建物の設計が可能になります。

さて、今回のアップデートでは、主に出力のバグフィックスです。

最近新しい機能の実装がなく、Ver1.5で一応完成と思われているようですが、ユーザーはこのソフトに期待しているようです。なんとなくですが、狭小住宅に向くようですので、そちらに特化して機能を充実してほしいところです。

WOOD-STで方杖車庫

WOOD-STで注目される方杖。強度は弱いけど、たくさん入れられるので使い方によっては武器になりそうなんだけど柱が意外と持たないし・・・といろいろ考えてはいるのですが、なかなか良い用途が思い浮かびません。46条壁量計算では加算できないので、2項ルートで構造計算すればいいのですが、なかなかその簡便な方法が今までありませんでした。

一番簡単なのが平屋の車庫や倉庫でしょうね。壁が作れませんので。

これだったら実用的だと思いませんか?今回はY方向の両サイドは構造用合板で設計して、X方向は方杖だけで設計しています。やはり同じ性状の壁で各方向揃えたいですね。2.73スパン程度であれば各部材も通常考えられる程度で済みます。柱は105角なんかでは無理!です。応力図や変位図が簡単に出せるので検討しやすいです。

ちなみに、105角で3D画面を見るとこんな感じに柱が細くなって表示されます!!

105角だと層間変形角でも恐ろしい数字がでてNGになります。

105×240の柱だと楽楽クリアです。方杖の場合は柱の太さも大切です。また柱脚をどう設計するか?方杖の止め方は?とか程度で設計できます。太さの変更などのシミュレーションも一貫ソフトらしく手軽にできますので、自分なりの方式を考えるのにもいいと思います。FAP-3でやってた頃に比べると劇的に楽です・・・。

もっとも形状などに制限がありすぎるので、FAP-3などはやはり必要だと思います。ただ整形であれば、これだけ手軽に検討ができるわけで、玄人ほどこのソフトに期待している理由がわかります。

今後、基礎の計算の実装のほか、ユーザーからの声を反映して続々と機能を搭載していくそうなので、楽しみです。

ご購入は、なまあずショップ楽天市場店にて!!

 

 

WOOD-STファーストインプレッション

46条2項ルートの木造構造計算ソフトWOOD-STが届いたので、ファーストインプレションです。予定通り11月頭出荷でした。初回注文分は皆様の元に届いていると思います。

本当に見分けがつかない外観

WOOD-STの最大の特徴は、従来難しいとされた壁量計算によらない46条2項ルートの構造計算をHOUSE-ST1同様の入力しやすいユーザーインターフェイスで実現したことだ。SS7やBUS-6といったRC造の一貫構造計算ソフトは、昔に比べれば非常に操作性が向上していますが、やはり操作に習熟するのに時間がかかります。その点、WOOD-STは、グラフィカルな画面というだけでなく、HOUSE-ST1で積み上げた操作性を採り入れており、計算部分はともかく操作で戸惑うことが非常に少ないです。画面が似ているHOUSE-DOCやHOUSE-省エネといったソフトと比べてもはるかにHOUSE-ST1に酷似しており、ちょっと見には見分けがつかないくらいです。

また屋根入力、見つけ面積入力、CAD下図機能など主立ったHOUSE-ST1の便利な機能も搭載されています。これらの操作性も同じなのでHOUSE-ST1のユーザーは迷わず乗換、併用が可能だと感じます。

方杖やK形ブレースは表示で再現できる

はい。きちんとモデル通り再現できます。入力設定もシンプルでモデル化しやすいですね。凝ったことができない反面、設定や入力が簡単なのがいいです。

スキップフロアは各階の間に一層配置することができます。HOUSE-省エネのように層を挿入する形です。高さは自由に設定できます。数値で指定するため、グラフィカルに設定できないのが残念ですが、意匠検討が終わっているなら特に問題はありません。

母屋下がりなど立面的非整形、3階上のペントハウス、トラス屋根の解析などには対応していません。平面的な斜め軸には対応していますが形状的には比較的シンプルなものが得意なようです。

ややわかりにくいリスト関連とK-DB

各部材は、ソフト自体に実装されておらず、基本的にK-DBを通しています。K-DBや構造システムのBUSやDOC-RC/SRC、SNAP、MED-3などの構造計算ソフトで共通に利用できる構造系データベースです。メーカーからみれば管理が一元化できて間違いなども起こしにくく良いシステムですし、ユーザーから見ても複数のソフトを利用しているのであればメリットを享受できます。もっとも単体で使う場合、2つのソフトをインストールしなければならないなどデメリットもあります。

WOOD-STは、木材や金物でデータベースを利用しています。そのためHOUSE-ST1のように樹種などを登録する必要はほぼありません。コレは便利です。金物は、テックワンとプレセッター(SUも)を利用できます。わかりにくいのがソフト毎に使えるものが違うこと。例えば、MED-3で使えるテックワンP3プラスは今のところWOOD-STでは使えないこと。

細かいことを考えなければ、細かいパラメーターの入力を少しでもしなくていいのは大きなメリットです。将来性も含め柔軟な対応ができるk-DBに接続できることのメリットも今後でてくると思います。

秀逸なHOUSE-ST1からの変換機能

一番上の画面キャプチャはHOUSE-ST1のデータをそのまま変換したものです。屋根の形もきちんと伝わりましたね。荷重なども再設定不要です。耐力要素は自分で置き換えなければなりません。自動変換したままだと、各耐力要素は、壁倍率を基準耐力に置き換え、その耐力要素全体の耐力として算出します。壁の長さで計算していた人はかなり戸惑うと思います。ただこの方式のおかげで、傾斜によって耐力が変わるブレースや、柱自体に取り付く方杖なども適切にモデル化できます。構造用合板のみ使っている場合は、告示の耐力で問題ないならだいたいの数値として目安になりますが、筋かいも倍率で変換して方向は無視しているので、こちらは危険です。HOUSE-ST1から変換する場合は筋かいを使わない方が無難です。といってもすぐに目安の耐力がわかるのは非常に良く、46条2項の必要耐力に慣れていない人には耐力目安がわかるので非常にありがたい機能です。

各要素の表示を切り替えられるのは便利

HOUSE-ST1を使っていると梁サイズとか表示して欲しいな~と思うのですが、WOOD-STはパラメーターが多いので、常時画面に表示することが可能です。項目もある程度カスタマイズで来ます!!この機能は本当に便利です!!HOUSE-ST1に早く搭載してほしいものです。

計算書もシンプルで見やすい

計算書は、HOUSE-ST1のように画面で見やすい形式です。各項目にクリックで飛べるので見たいところをすぐに見ることが出来ます。計算書内容は見やすくわかりやすいのですが、やや枚数は多め。新しい分野のソフトなので見やすさを優先したようです。応力図は小さな物件なら見やすいですが、ちょっと大きめになると見にくくなるのが難点です。RC造に比べて部材数が多くなりがちなので、今後も改良を続けていって欲しい点の1つです。

RC造・S造の構造計算ソフトを使いこなしている人にとっては見やすいでしょう。木造の新グレー本準拠の構造計算ソフトから見ると、総合的な壁量の表がない(壁量計算がないので当たり前)、金物の引き抜き図がない(フレームで・・・)とか戸惑いますが、1つ1つ丁寧に見ていけば大丈夫です。

改善してほしいところは?

改善して欲しいところは、サンプルがとにかく貧弱です。とりあえずスキップフロアや方杖など入力事例にはなっているものの、現実的な建物モデルではありません。またサンプルは一個しかありません。計算や耐力設定が難しめなソフトなので、できれば3例くらい欲しい所です。

HOUSE-ST1で便利だった機能が一部ないのも気になります。二次部材の計算はありません。計算書のエラー表示機能は貧弱で最初は計算書のどの部分にエラーがあるのか?わからないほど。一応、ST1で好評な伏図にエラーやワーニングの表示は出るのですが。計算書のCAD変換もできないので、補助計算書や、構造図を作るときに不便です。入力モデルの梁伏図と軸組図はCAD出力する機能はあるのですが、これだけだと構造図を描くときに不足感があります。恐らくHOUSE-ST1を元に作ったわけでは無く、一から作ったソフトをHOUSE-ST1に思いっきり似たユーザーインターフェイスを被せたのでしょうから、今後、HOUSE-ST1で好評な機能は搭載していくと思います。

また基礎の計算がないのが非常に残念です。開発はしているようなので後日搭載なのか?オプションなのか、いつぐらいにリリースされるのか?知りたいところです。

今後に期待!!

新製品ということで、これからどんどん発展していくと思います。印象として非常に操作性が良い反面、どうやって設計していくのか?がわかりにくいところがあります。ここはより一層のヘルプやサンプルや設計資料の充実などで補っていただければ、と思います。

まだ機能は不足していると思いますが、現状でもかなり実務に使えそうな手応えです。私も数個モデルを作りましたが、木造2階建ての狭小スキップフロアの構造なら30分程度でモデル化できました。これはST1と同レベルです。個人的には大規模というより、ちょっと凝ったスキップフロアのある狭小住宅や、間口が広いショップなどの構造設計に威力を発揮すると思います。高倍率耐力壁や方杖といった要素はそういったものに親和性が高いと感じます。他の木造構造計算ソフトからの乗換もそんなにハードルは高くありません。ともあれ、新グレー本の構造設計に限界を感じた方、S造やRC造から木造に移行したい構造設計者にお勧めです。

HOUSE-DOCは新築設計で活用できる??

木造耐震診断ソフトHOUSE-DOCのVer4が発売され、手にした方も多いと思います。毎回新バージョンが発売されると、必ずある質問です。新築の設計に利用できないか?

少なくとも建築基準法の木造の部分や、木造耐震診断の建防協マニュアルを読んだことがある方なら、新築と耐震診断では壁の評価方法が違うことくらい、すぐに理解できます。

HOUSE-DOCは木造耐震診断ソフトです。新築用のソフトではありません。もちろん新築の木造住宅を診断してデータ入力することはできます。しかしながら、新築で必要な壁量計算などはできません。

では金物計算は?これは微妙です。もちろんN値計算オプションを購入することが前提ですが、N値計算はできますし、新築用の壁倍率でもN値計算できますから。

ただ壁量計算ができないから、少なくとも買ってまでこの機能を使うか?は微妙ですねえ。もちろん持っていて、壁量計算は手計算で行い、N値のみ・・・だったら可能といえるでしょう。

4号建物の壁量計算やN値計算はそれほど難しいものではなく、手計算でも十分にできます。もちろん市販のソフトもあります。

どうしても自信がないようでしたら、市販のしっかりしたソフトを購入してみるのも悪くないでしょう。