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壁式鉄筋コンクリート造構造計算ソフト購入の注意

他の構造計算ソフトと一風違うのが、壁式鉄筋コンクリート造構造計算ソフト。

木造の構造計算ソフトほどライトな仕上がりではなく、通常のRC造・S造の一貫構造計算ソフトとはまた違ったテイストで、説明するのが難しいのです。

元々壁式鉄筋コンクリート造は、解析などできちんとした根拠があったわけではなく、戦後、戦災から立ち直る過程で、火に強く国産の材料で頑丈に量産できる構造が不可欠で、突貫で企画を作った経緯があります。もちろん地震にも火災にも非常に強い構造形式なのは間違いないのですが、そのために構造的な研究が遅れたとも言えます。そして建築センターと建築学会で異なる規準が作られ現在に至ります。比較的簡単に計算・設計ができたことから構造計算ソフトの整備も遅れました。最初の本格的な壁式鉄筋コンクリート構造の構造計算ソフト「壁麻呂」が評定を取り発売されたのは1997年。既にWindwos95の頃で、主要構造計算ソフトは既に普及している頃でした。木造構造計算ソフトKIZUKURIも発売されていました。

壁麻呂は、それまで手計算などをメインに計算されていた壁式鉄筋コンクリート造の構造計算を飛躍的に効率化させ、オプションプログラムも含めベストセラーになりました。保有水平耐力計算オプション、作図を飛躍的に楽にしたPLUS-CAD、地下室の設計プログラムまで出していて、現在の所一番オプションが充実しているソフトと言えるでしょう。とはいえ、近年は開発が止まっているようですし、一番古くから開発しているので、ユーザーインターフェイスなどが古めかしく、シェアは急落していると聞きます。

その後出たソフトは、ユニオンシステムのSuper Build/WRC、構造ソフトのBUILD.壁式、構造システムのWALL-RC(後のWALL-1、HOUSE-WL)、ストラクチャーのビルディング・エディタ/プロフェッショナル2など出てはいるのですが、どれも主流の一貫構造計算ソフトに比べて、とりあえず出してみた感が否めません。また主流のS造RC造の一貫構造計算ソフトとは異なり、積極的な比較などもなく、自分の一貫計算ソフトのメーカーを選ぶ傾向があります(特に壁麻呂のシェアが下がった後はその傾向が顕著)。たとえば、SS7を使っていればWRC、BUSを使っていればWALL-1など。設計思想やUIが似ているので、主力の一貫に比べて使用頻度が低い壁式RC造のソフトは1から覚えたくないし、少しくらい機能が・・・でも主力の一貫に合わせるのが普通です。

それは、壁式鉄筋コンクリート造の構造設計の自由度の低さにも起因しています。というのは元の計算法である平均せん断応力度法では、在来木造などと同様に実務優先で仕様が固められており、設計自由度が低いので構造設計ソフト毎に出来ることの差が少ないこともあります。また木造構造計算ソフトに慣れた方からすると、壁位置の自由度などが著しく低いので使用を諦める人も多かったと聞きます(これはソフトの問題ではないのですが・・・)。

一般的に保有水平耐力の検討(ルート3)は、ルート1よりも設計自由度が上がるのですが、壁式RC造の場合はそれほど上がらない印象です。通常、ルート1限定版とルート3までできる版の2種類出している会社が多いのですが、ルート3まで使えるバージョンを持っているにもかかわらず、ルート1限定で計算している方が多いようです(まあ適判の問題もあるのですが)。

まあ、そっちは何も心配なく、私の周囲でも一貫と同じメーカーのものを買った人はそれほど文句も出ていませんし、乗り換えた方も問題なく使えています。心配なのは、いきなり壁式鉄筋コンクリート造の構造計算から入った人(私!)や、木造からの移行組で、混構造などに挑戦しようとする方です。これはかなり難易度が高いです(経験者)。まず、そのソフトだけで完結することがまずないこと、説明するマニュアル等が非常に少なく、学会とセンターのものしか実質ないことです。さらに混構造はマニュアルが住木センターのものしかなく混迷します。そのため意気込んでソフトを買っても、使えないというケースが多いのです。

とりえあずソフトを買って・・・というより、初心者は学会の規準を捨てて、日本建築センターの壁式鉄筋コンクリート造設計施工指針に絞って学習してみることをお勧めします。もしソフトから入る場合は、最安のビルディング・エディタPROをお勧めします。できることは少ないのですが、二次部材の計算プログラムが付属しているので自己完結しやすいです。通常の形状、混構造レベルなら、平均せん断応力度法だけで十分ですし階数の制限もない(8以下)です。また通常の一貫もついていて操作性も一緒なので戸惑わなくて済みます。

もちろん木造からの移行組は同じメーカーのもののほうがいいのは上記の通りなので、HOUSE-ST1からならWALL-1もしくはHOUSE-WLでしょう。混構造用の連携もありますし。両方揃っているメーカーが少ないのが問題なのですが・・・。ただHOUSE-WLはHOUSEとついていますが、実質WALL-1の機能限定版なので使い勝手はそれほど良くありません・・・。

とはいえ、木造の設計者が壁式鉄筋コンクリート造の設計を習得すると、混構造、地下室など設計に幅が広がります。もちろん単独のWRC造もできるわけです。挑戦してみる価値は十分あります。実際混構造できる構造屋さん、忙しいですからね・・・。

壁式鉄筋コンクリート造建物の耐震診断ソフト「DOC-WL」で混構造耐震診断

耐震診断を受けているとたまに出てくるのが壁式の案件。個人的には間取りに無理がなければ、多少古くても大丈夫だろうな~と思っていました。だいたい団地っぽい建物ばかりでしたから。しかし最近の相談は多岐にわたり、個人住宅や混構造も増えてきました。

そこで、HOUSE-ST1に対してのHOUSE-WLのように、HOUSE-DOCに対してのソフトを探している人がいるようです。構造システムではDOC-WLが該当します。

操作性などは、元になっているWALL-1やHOUSE-WLとほぼ同じ。両者を持っている人は操作に迷うことは無さそうですし、持っていない人は見た目でどっちか判断できないと思います。価格的にも導入しても良いかな~とは思うのですが注意が必要です。

まず、連携機能は特に明記されていないこと。WALL-1のデータを読み込めると言うことは、HOUSE-ST1の荷重をWALL-1経由で持ってこられることで、木造荷重分を持ってこられるのですが、HOUSE-DOCとは互換性がないこと。また似ているのに、HOUSE-STから直接DOC-WLには荷重をもってこられないこと(メニューで確認しました)。

そして小規模の建物はリファレンス的な構造が少なく、難易度が高いこと。特に形状が複雑な物が多い個人住宅は、個人的に無理と思ってしまう建物が多く存在しています。ソフトがあれば、補助にはなりますが補助にならないほど・・・ということも多そうです。

ただ混構造や壁式の問い合わせは近年激増しているので、お手すきな方はチャレンジしてみてくださいな。私はしばらく時間が足りなそうで無理です・・・。

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