木造構造計算を学ぶ本・・・HOUSE-ST1買っただけではダメです

木造構造計算ソフトは、近年非常に操作性が良くなり、機能も多彩になっているので、参入する敷居が低くなりました。私の頃には、kizukuriも全断面を出してくれる機能なんて無かったですし、計算内容も簡易で計算書枚数も少なかったです。

といっても学ばないとダメなのは、何時の時代も一緒。操作もそうですが、構造計算、木構造の仕組みは知らないと無理です。そこで必要と思われる書籍を紹介します。

・木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)
はい。必須です。木造住宅の構造計算ソフトは一部を除いてこの本が基準となっています。値段も難易度は高いですが計算例もありますので、絶対買っておきましょう。通称グレー本。私の場合新旧を分けるため新グレー本2017と呼んでいます。購入はこちら

・演習で学ぶ 入門 木造の許容応力度計算ワークブック(2018年版)
上記グレー本に準拠したワークブックです。自分で解いてみて学べます。グレー本に準拠しているので、他の書籍に比べて原則がわかりやすく覚えられます。購入はこちら。

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改訂版 実務から見た木造構造設計 [ 上野 嘉久 ]
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・実務から見た木造構造設計
どちらかというと旧来の実務からの計算を学ぶための書籍。実務向け。この本で木造を学んだ中高年齢の方も多いはず。若干内容が古いのですが、未だ役に立つという声が多い名著。RC造やS造版もあるので、共通で学びたい方にお勧め。

・ヤマベの木構造
更に実務向けで根拠も載っているので非常に重用する。豊富なデータが魅力。実験などを重視した山辺先生ならではの書籍です。

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ヤマダの木構造 (建築知識の本) [ 山田憲明 ]
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・ヤマダの木構造
ヤマベ、ヤマダと似ているがまったく違う技術者による本。ヤマベより薄くより実務向けになっている。実務家としても名高い山田先生ならではの、実例と「使える資料」が魅力。

まずは、上記5冊のうち、上2冊とと、下3冊から気に入った物1冊の計3冊構成をまずはお勧めします。

 

WOOD-STと中層木造建築(ラーメン構造等)の構造設計演習帳

WOOD-STといえば、よくわからない木造構造計算ソフトということで一部には有名?ですが、なかなか理解が難しいです。壁量計算を使わないでできるので、鉄骨系の方にはわかりやすいとは思いますが、木造からはわかりにくいです。あまり解説書もない・・・とお悩みの方!!この書籍がお勧めです。

著名な教授、木造技術者が描いている日本建築センターから発行されています。演習形式でわかりやすいです。

設計例は、木造3階建て、軒高9m超の木造事務所ビルで、一時間準耐火(イ準耐)です。梁柱あらわしなので、燃えしろ設計も記載があります。X方向ラーメン、Y方向はブレース構造としていて、比較的汎用性が高い事例です。整形ですのでWOOD-STの得意とする形式です。この本で興味深いのは、解析部分を木造構造計算ソフトではなく、S造・RC造等の一貫構造計算ソフトSS3でやっているところです。以前から大規模木造は汎用解析ソフトだけでなく、鉄骨造などの構造計算ソフト(SEINとか)を利用している設計者はいました。基本的な考え方などは変わらないので上級者はそれでいいのかもしれません。もちろん木造のWOOD-STのほうが向いているのは間違いありません。ブレース端部や仕口・バネなど戸惑う部分に関しても説明が多くお勧めです。

中規模木造のグレー本に該当する書籍の出版が噂されていますが、まだどのような内容になるかわかりません。今からWOOD-STとこの本の組み合わせで勉強しておけば更に設計範囲が広がります。コロナコロナと騒いでいないで、今から勉強しておいてスキルアップしていきましょう。

WOOD-STの購入は、楽天ポイントもついて送料無料の、なまあずショップ楽天市場店にて!!

KIZUKURIやHOUSE-ST1やSTRDESIGN等、木造構造計算ソフトをお持ちの方は、乗換キャンペーンがお買い得です!!なんと25%!!5月31日まで!!

HOUSE-ST1の使いにくいところ、改善して欲しいところ

なまあずステーションユーザーより、聞いた中で確かにここはな、というところありますね。

・梁追加荷重が超絶使いにくい
 バルコニーの手すりとか入れるの面倒です。妻壁が比較的簡単なので、あんな感じにならないかしら??視覚的じゃないので計算書精査しないときちんと反映されているかわかりにくい。追加重量で皆さんやっているのかしら?それとも壁コマンドを荷重伝達を下層のみにして間仕切壁設定で、固定荷重をいじって強引に積載しているのかしら??

・梁入力が面倒・わかりにくい
 下階柱が見分けにくく、梁掛けがやりにくい。梁せいも手入力というわけのわからない仕様。WOOD-STでは簡単に選択できるのに(涙)。一番使うであろうコマンドが一番面倒という不思議な仕様。

・ダイアログの位置が不思議
 これは私から。柱や梁のダイアログの表示位置がおかしく、ノートパソコンなど画面が狭い場合は、ストレスがたまる。HOUSE-DOCのようにサブウインドウにならないかしら??サブウィンドウを自分の好きなようにカスタマイズできると助かります。たぶん3Dの軸組を必ず必要ってシーンは限られているはず・・・

・もうちょっと柔軟性が欲しい
 グレー本に忠実なのはいいけど、もう少し柔軟性が欲しい。グレー本適用外でも法規的、テクニック的に可能であれば、入れて欲しい。梁の上の柱の本数の制限とか、斜め梁の数の制限とか。

・見つけ面積入力しにくい
 初めてでアレ使いこなせたら、すごいと思う。慣れの問題ですけど。

・CAD下図を各階で固定できるようにして欲しい。
 階移動しながら入力するとものすごいストレス

・四号建物の壁量計算モードが欲しい
 やっぱり4号のほうが多いのだから、その程度付けて欲しい。DRA-CADにだってついているんだから。自分で工夫すればそんなに手間がないけど。面倒ならHOUSE-4号付属してほしい。

・品確法の出力が超絶悪い
 改善する予定はないのでしょうか?使う人がいないでしょうから問題ないのかも。耐震等級なら構造計算して出力した方がはるかに楽で安全ですし。

・CAD出力がお粗末
 せっかくいろんなCADに出力できるのだから、もう少し構造図で使えるものにして欲しいところ。

・金物図が見にくい
 これはこれで使いやすいのだから、一般的なソフトと同じように各階柱頭柱脚が出力できるモードが欲しい。

まあ、バージョンアップを重ね、実用性が高まってきたからこそ目立っているだけで、普通の新グレー本対応の形状の建物であれば大きな問題は少ないです。そうでない建物が多すぎるのが逆に問題なのかもしれません・・・。

「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)」の感想

先ほど一通り目を通し終えました。講習会の話をも含め2008年版のマイナーチェンジですね。

青本を全面的に改定して作られた初版のグレー本がでたのは2001年12月だったと思います。品確法、住宅性能表示、準耐力壁・・・そんなトレンドの中、木造構造計算の方法が大改訂されたと思います。ちなみにアメリカ同時多発テロ事件の年です。長嶋監督の勇退・・・もありましたね。青本が非常に簡略で計算しやすく、計算ソフトも普及していたので初代グレー本はなかなか普及しませんでした。kizukuriが青本ベースのソフトだったこともありますが、非常に難解で計算できない建物も多く実用性が低かったような気がします。

2008年版は、初代の欠点をかなり修正し、計算しやすくなりました。耐震偽装事件による審査の厳格化やソフトウェアの普及もあり、一気に普及しましたね。2001とは別物!!でした。

で、2017年版は・・・2008年版のマイナーチェンジです。指標となる数値や計算方法などは大きく変更がなく、従来の計算を行っていた人には「そんなもんか」と思うかもしれません。

それもそのはず。2008年版で出てきたQ&Aの項目を反映したり、その後の建築基準法等の改正と整合させたり、矛盾点を極力取り払ったり、表現の修正、明確化など、あくまで2008年版の改良、と位置づけているようです。より使いやすく!!!ということで、2冊に分冊され、マニュアル部分とモデルプランの構造計算例と分けています。おかげでマニュアル部分が軽量化されました。これは木造耐震診断と同じで非常に使いやすくなるので歓迎です。

個人的に重要だと感じたのは、

・小屋組内耐力壁の仕様

・筋かいの欠点に関する対策

・面材耐力壁の正しい使い方に言及

・短期土台のめり込み検定は必須。

・水平構面関連 小屋と検討省略の削除

4階建てへの適用、CLTとの関係、中大規模建築物への適用など、部分的に書かれていますが参考になりますね。壁倍率の上限は従来のままですが、超える場合についても言及していますので場合によって使える、と判断出来る建物もでてくると思います。

より柔軟にわかりやすくなって、計算しやすくなると思われる反面、水平構面関連はモヤモヤが残ります。土台のめり込みも緩和策を書いている割に???な記述も多くこじつけなのかな~なんて感じてしまいます。ラーメンなどとの併用も従来通り。個別の項目を見ているとほぼそのままで表現だけわかりやすく、という部分も多いです。

よく考えるとこれから構造計算を勉強しよう、という人には非常に良い条件が整ったことになります。だいぶ学びやすくなりましたからね。逆に2008年版をある程度使いこなしていた人にとっては、もう少し期待していたと思うので、う~ん、という感じでしょう。事前に錯綜していた怪情報もやっぱりウソだったものも多く、がっかりした人もいるそうです。

ソフトが対応するまでは、これで計算して・・・ということは無いと思いますが、今のうちに考え方、計算方法に慣れていく必要があります。基礎の計算方法は、青本以来変えていない!という猛者もいるそうですが、グレー本を読む限り(というより構造屋さんやっていれば)、そろそろおかしな計算方法だな、と気がつくはずです。まあ色々レベルアップの良い機会になれば、と思います。

忙しいのでこのへんで。