耐震診断・補強設計」カテゴリーアーカイブ

ウッドショックを逆手に取った悪質なリフォーム営業手法

ウッドショックで大変なのは、材木を扱う商社さん、工務店さん、ビルダーさん、ハウスメーカーさん、職人さん・・・そして購入を希望するお客様まだ多岐にわたります。もちろん設計者も。しかしいつものことですが、その不幸を逆手に取ってうまいこと営業をしている人が出てくるのも仕方がないかもしれません。しかしながら、そんな業者は長続きしません。一時は良い思いすると思いますが、たぶん駄目だと思います。

ここで言っているのは、ウッドショックで木材が高くなるから、早く契約を決めた方が良いですよ、という類いの営業ではありません。これもある意味足元を見た営業手法ですが、営業さんを抱えているハウスメーカー等にとっても値上がりは脅威であり、早く決めれば安く材木を押さえられてお互いWin-Winになる可能性があります。もちろん行きすぎはよくありませんが、この程度はよくあることかと。そしてそれを警戒しなければと思う一般顧客はそのような話ではなく、冷静に判断できると思います。

私が聞いた悪質な事例は、とりあえず木材を発注したいので、設計内容も決まらないのに契約を推し進めた件。客は私が知っている方だったので正直衝撃を受けました。ちなみにフルリフォームらしいのですが、心変わりしないようにと、さっさと解体を開始したそうです。まあその最中にプランや価格が決まる・・・というものらしいですが、さすがに無理がありますよね。ウッドショックで木材を押さえて安くできる、という言い方で説得したらしいですが・・・。

同じような事例で、耐震補強計画すら出来ていないのに、契約を行い、解体時に補強設計をやり、結果的に耐震性が出なかった、という事例も報告されています。これは事前に補強設計をまともにやらずに契約したために起こった事例です。もちろんウッドショックで木材が入らなくなる、価格が高くなる、だから先に解体しあとで内容は決めましょう、という説得だったらしいです。根拠のない金額で契約したそうです。補強内容の報告はどうする予定なのでしょうか??現場の大工さんから情報が漏れたようです。

その程度のこと、どこでも行われている・・・という人もいるかもしれません。ウッドショックをネタに営業をするなんて当たり前では?と思うかもしれません。そこではなく、ウッドショックで大変だから内容も決まらず契約を行い現場解体を急ぐ・・・という手法が問題だと思っています。その結果、良い設計・良い施工ができれば問題がないのですが、上記事例は良い結果を生みませんでした。両方とも施主が望む耐震性は実現していませんし、恐らく価格不相応です。

もちろん新築に目を移せば、契約外の樹種を施主に無断で交換した件や、材料が入手できないので、耐震等級3取得を諦めさせた、などという事例も聞こえてきます。他にもいろいろありそうです。何事もそうですが、焦るとろくな事がありません。自分の目を信じてしまうのは仕方がないと思うのですが、一応気をつけた方が良さそうです。

取りつけ高さの範囲に幅を持たせた筋かい金物 BXハイパーガセット

便利な金物は諸刃の剣。または汎用性が制限されたり、うまい話だらけということはないようです。

この金物BXハイパーガセットは、ホールダウンなどの干渉から筋かい金物を上下にずらしたいときに、便利な金物です。従来品のハイパーガセットは便利でしたが、高さは土台・横架材から160mmの位置に固定されていました。非常に便利ですが、筋かいの性能を発揮できる金物では無かったです。そこまで割り切るなら高さを変えても・・・という趣旨には賛同できます。なんと80mm~180mmまで対応できます。新築だけでなくリフォームでも便利に使えそうです。

2倍専用ではなく3倍も使えるので本当に汎用性は高いですね。

しかし筋かい金物の柱取りつけタイプは、全体的に弱く頼りがないです。もちろん基準は満たしているのでしょうけど、破断しやすく個人的にはあまり好きではありません。

より粘り強くするには、岡部のブレスターZのような筋かい金物を使うのが良いのでしょうけど、取りつけにくいですし、万人にはお勧めできないのも確かです。私のように初期の大きな変動による変形抑制および、補助的に筋かいを使う人にとっては、ハイパーガセットのような金物も使い道があります。特にBXハイパーガセットは、筋かいの取りつけミスも減るでしょうし、扱いやすいですから、売れると思います。

ただし耐震優先と考えると、ブレスターZを使いたくなります。特に筋かいを多く使うケースや大開口廻りなどではブレスターZを使いたいですね。

ブレスターZは、この動画がツボにはまります・・・・

J-耐震開口フレームの超高耐力版?

お世話になっているJ建築システム株式会社のホームページを久しぶりに見たらこんなトピックスが。

速報!高耐力「耐震フレーム」開発:実大実験(STG1,2)

木造住宅のビルトインガレージが耐震上の弱点になるなか、門型フレームで耐震性を取る製品として画期的だったJ-耐震開口フレーム。私も新築、耐震リフォームに幅広く利用してきました。ただ新築と考えると、もう少し耐力出そうなのにな、と感じたりします。手塚博士の苦労談を聞いたことがあるだけにね。

しかし、この記事によると超高耐力版の商品化を目指しているとか。実大耐力試験をおこない、最終的には既存のフレームの5倍を目指しているとか。試験結果は「期待以上の数値」だったようです。

ラーメンフレームなど様々な方法が出てきたなかでも、手軽に柱間に挟み込んで施工できるJ-耐震開口フレームは貴重です。期待していいのでは!と思います。

 

 

ホールダウン点検口(カナイ)

ホールダウンは比較的シンプルな構造で、特にアンカーボルトを緊結しているナットが緩みやすいです。そこで、緩まないようにしよう♪というより、緩んでいないか?定期的に点検しよう的な商品が発売されています。ホールダウン点検口(カナイ)です。

ただの点検口ですが、ナットを点検、締められる最低限の小ささになっていることがポイントで、ドライバーで簡単に開け点検できます。

木造住宅のホールダウン金物は地震や風などで緩んでしまうことがあり、耐震実験でもしばしば緩むことが確認されているようですので、神経質な方はどうぞ!!

ウッドショックと鉄骨階段事故と竜巻

なんか、最近私の関連分野で様々なことが起こり続けておりますね。新型コロナだけでも十分脅威なんですが(汗)。
ウッドショックは、大手ビルダーでも影響が出始めているところとそうでないところの差が広がっていますし、こちらもどこの会社の構造計算をやっているか?で差が出てきつつあります。全体的に棟数が多い所と付き合っているほうが、影響が薄そうです。一社だけの下請けは本当に危険ですね。いつどうなるかわかりませんからね。危険回避のためにも、多めに取引先を確保しておいたほうが良さそうです。

鉄骨階段に関しては、どうしても共同住宅メインでやっている設計者、構造設計者にとっては響いてきてしまいます。鉄骨階段の設計を本当に本気でなんかやっていない、というのが本音でしょうし、施工会社が書いてきた仕様に合わせて設計していた、なんてことが普通だった時代もありますからね。構造計算も階段の溶接部分だけ、という場合も多いですし。私自体は鉄骨階段の設計はほとんどやらなかったですからね。でも今後は五月蠅くなるんだろうな~。ちょっと憂鬱です。正直あまり依頼して欲しくなかったりする。構造設計とは反対に耐震診断やアパート調査で、変な鉄骨階段たくさん見過ぎていますからね~。

竜巻も困ったものです。軽い建物は地震に強いと木造では言っているのは間違いではないですが、軽いと風の被害を受けやすいのも事実です。また木造は加工しやすいので変な格好の建物で風の影響を受けやすいものも多いのです。構造計算の場合、見つけ面積だけで判断することも多いので意外な弱点がでてくることもありますしね。構造計算していなかったら尚更ですが、そもそも竜巻に備えての設計なんかしていないし。計算外の配慮で被害を受けにくく設計するしかないですね。

な~んて言っていても仕方ないので、お仕事を続けましょうか・・・・

新しい木造耐震診断プログラムの建防協評価

今年3月に、私も全く知らない木造耐震診断プログラムが、建防協の木造耐震診断プログラム評価のページに上がっています。「KM木造住宅耐震診断プログラム」です。この手のプログラムは一般診断法・・・と勝手に思っていましたが、精密診断法1迄対応しています。なお、申請者は京都と三重の建築士事務所協会!!ということで非常に興味が出てきます。建築士事務所協会がこの手のプログラムを開発(委託していたとしても)はすごいな、と感じます。

2月13日の最大震度6強の被害状況(宮城県・河北新報)

河北新報のこの記事(2021/3/27)によると

宮城県が2021年2月13日の最大震度6強の地震の被害状況を発表しました。

住宅の被害は9432戸、被害額は150億円、負傷者は19市町村で計64名(重傷6名、軽傷58名)だそうです。

この地震は最大震度6強でしたが、6強は蔵王町のみ、6弱は石巻市などがありますが、全般的に人口密度が低い地域でした。仙台市は最大震度5強でした。

ここで注目したのが、震度5強の仙台市の被害。震度5強にもかかわらず、3630戸の被害があったこと。現在の住宅は震度5弱ではあまり損傷しないイメージですが、震度5強になるとやはり損傷してくる、ということでしょうか??ちなみに宮城県全体で、全壊は3,半壊は92だそうです。どちらかというと福島の被害が大きかったイメージですが、仙台の被害も多かったようです。

もしかしたら古い建物で東日本大震災で傷んでいたかもしれません。余震も多かったですからね。そう考えると大きな地震に耐えられるだけでなく、ダメージが少ない建物を作る必要があるかもしれません。最近の木造住宅は高耐震ですが、釘でせん断力を負担する箱形の建物なので、想定より強い力がかかると建物が弱くなりがちです。もちろん耐震等級3などに上げていけば、弱まる可能性は少ないのですが、5㎝の釘を構造用合板に打ち込んで柱をとめている構造が、建物の耐用期間中に、ある程度の揺れで緩んでくる可能性は否定できません(もちろん一般人が考えるより釘の保持力は高いのですが)。

そこで制震金物を使うことを推奨する方もいますが、あくまで補助でしかありません。間取りが無限にある木造住宅で、常に効果的に設計することは難しいと思っています。構造計算で耐震等級3取得も同様です。計算や高強度の耐力壁や金物で無理矢理おっつけても本来の趣旨に反してきていると思っております。

それなら構造計画的に無理がない建物設計を始めから行った方が良いというのが私の結論です。RC造やS造では無理そうな建物ってほとんど見かけませんが、木造はかなり無理して設計・施工していますね。これで耐震等級3だからとかいっても安全かどうかは怪しいところです。力学的に見ても自然でバランスの良い設計を考えつつ住宅を設計する必要があると思います。なので意匠設計者が計算までするかどうかは別として、構造設計を把握している必要は絶対にありそうです。といっても建築士は設計のプロ。構造計算はともかく、構造面が弱いと思っていても言わない建築士のほうが多いかと思いますし、自分の設計は正しいと思ってしまう人も多いかもしれません。

最近、新しめ、というより新品同様の建物の相談を受けることが増えてきました。それも交通振動、揺れ、クロスのヒビなど・・・。新築だから安心なんてことはありません。設計が良いから良い建物とも言えません。設計も施工も大切です。そんなこと当たり前だと思っていましたが、世の中そうではないようです。そんな状態だから耐震等級3が大切などとしか言えないハウスビルダーさんや設計者が増えているわけで(私は耐震等級3を否定しているわけでも、そう言っているビルダーや設計者を否定してるワケではありません。そう言わなければならない状況を憂慮しているのです)根本解決は遠そうです。

木造耐震診断ソフトのお勧め

最近、木造耐震診断ソフトを買いたいと言う方が、また増えてきました。東日本大震災10年という節目の年ということもありますが、それに合わせて大きめな地震が頻発しているのも理由だとおもう。なまあずショップ楽天市場店では、耐震補強マニュアルがかなり売れています(在庫僅少)。耐震補強マニュアルは、発売されて8年以上経ちます。内容も更新されていませんが執筆者たちの気合いのこもった内容で未だ人気があります。確かに、木造の耐震診断、補強設計を学びたい方に一冊買ったら?とお勧めするのは未だこの書籍です。

さて、木造耐震診断ソフトのお勧めもメーカーの対応、終売などもあり、以前と変わってきています。私はあくまで設計事務所の耐震診断技術者なので、立場によってお勧めするものは変わってくるとは思います。もちろん個人的な趣味もありますが、改めて書きたいと思います(2021年3月末現在)

まず、TOPにお勧めしたいのは「達人診断」です。株式会社えびす建築研究所の比較的新しいソフトです。開発が進み先行他社に機能的に遜色がないうえ、新しい設計で補強設計が非常に柔軟にできるのがポイントです。無料で使える体験版が充実しているので使って見てから買いやすいのもポイントです。建防協評価プログラムなのも良いですね。初期購入価格も安価です。あえて難を言えば年会費が16500円と比較的高い事と、ここ一年あまり更新がない(完成度が高まったら当たり前)ことくらいでしょうか?メーカーのサポートも含め耐震診断の初心者から上級者にくまなくお勧めできます。

次は耐震Check5でしょうか?設計事務所が作っていますが安価で精密診断1まで対応しています。機能も網羅されており、小まめに更新されています。年会費もないので価格を抑えたい方にはお勧めですね。難をいえば、建防協評価がないことで、信頼性が低いと思われてしまうことでしょうか?価格的には安く建防協で販売されていることからユーザーが多いWee2012は進化がなく機能的にもかなり劣るので、価格的にそちらを考えている方は耐震Check5を強くお勧めします。

3強?といわれていた3つのプログラムは今となっては高すぎますし、あまり進化もしていません。特別なことが無い限り買う必要はないと思います。特別なこととは、助成金対象の診断に必要とか、まわりが使っていて情報があるとかです。高いからと言ってサポートが充実しているわけでもないようです。

フリーソフトもありますが、やはりバージョンアップも含めてお金を取って開発を続けているもののほうが信頼感と継続性の期待はあります。しかし近年そういったもののなかに、既に開発をとめているのでは?というものが出てきているのも事実です。これから買う方はそのあたりを含め慎重に検討されたほうが良いと思います。

HOUSE-ST1からWallstatへのデータ変換

やっぱり最近の木構造のソフトウェアの話題はWallstatかな~と考えると、各ソフトがWallstat変換に力を入れるのは仕方が無いことかもしれません。最近もアドバイスが欲しいとソフトメーカーから依頼があったばかりです。ただ進化中のソフトで、完全にコンバーターなるものを作ると、ファイル形式が変わったときなど対応できなくなるので、CEDXM経由というのは、良い落とし所だと思います。しかしながら各ソフトで対応状況がかなり違うので使い方がわかりにくいというデメリットもあります。

HOUSE-ST1の場合、変換する形状が適したものであれば、比較的簡単に柱、梁は変換できます。壁仕様は後で定めた方が良いですし、手摺り・垂れ壁などの加味するなら、Wallstat上で入力が必要です。HOUSE-ST1はなぜか各階の荷重を自動転送できるようにCEDXMデータにインポートしているので、とりあえずの重量が設定されていて便利な反面、構造計算の重量で良いのか?ということは若干悩みます。

そのかわりシンプルな転送になっているので、何を加えるかは自分で予めフローチャートを作っておけば迷うことは少ないかと。

上記の動画は、簡単な木造2階建てを転送して揺らしてみるまでを動画化しています。Wallstatの変換スピードって本当に遅いな~なんて感じるかもしれません(これでも結構速いパソコンです)。あまり編集しないで(特に変換は)いるので、HOUSE-ST1をこれから購入しようとする方や、連携をやってみようと思う人は参考になると思います。

ビルトインガレージの直上に重いものは置かないように!

和歌山で震度5弱の地震が発生しました。あまり強い地震ではないですが都市部に近かったり震源が浅かったりすると被害がでることがありますおで要注意です。

さて、建物は弱いところが揺れやすく、壊れやすい。当たり前のようですが、意外とわかっていない方が多いようです。

職業柄、耐震補強済の建物を訪問するのですが、よく分かっていない方が補強を行っていて、

・意味のないところに金物補強
・建物の強い方に、更に補強
・根拠のない基礎だけ補強

など、技術者として?マークを付けたくなるものを良く見かけます。

さて、今回のテーマはビルトインガレージ。繰り返し警笛を鳴らしているので、理解してくれている方も増えているのですが、建物自体が変わらなくても耐震性が変わってくることがあります。

ビルトインガレージ側が弱い建物は、特に2階がリビングであり、3階まであることが多いです。その場合、2,3階に重量があるものを置くことがよくあるのですが、ビルトインガレージ直上に置くケースがよく見られます。

まあビルトインガレージがある時点で狭小住宅の確率が高いですし、物を置く場所に苦慮していることが多いので仕方がないのですが、上記の動画のように揺れ方が大きく変わることがあります。特にキッチン家具(冷蔵庫とか食器棚とか、もしくはキッチンそのもの)やピアノや本棚は重量があるので注意が必要です。これは梁や根太を大きくして対策をすれば良いのでは?と思うかもしれません。それは重量を支える意味ではOKですが、揺れに関しては十分ではありません。このように最初から上部に重量物を置く場合は、そちら側の1階の壁を強化すればよいのですが、ビルトインガレージで逆に弱くなっている・・・というケースが多いのです。

まあ、それでも対策をしている構造技術者もいるので、一概にはいえませんが、形状の不利は構造技術者の腕で挽回できるほど生やさしくなく、結局は建物の計画で決まってしまうことがほとんどです。ただ家具配置、重量物を上階に置かないことで緩和できることもありますね。今後そういったことも研究していこうと思っています。