構造用合板耐力壁を嫌う設計者の方は未だに多いです。非常に合理的で強度を出しやすい反面、合板の耐久性や釘の耐久性に疑問を持つ方が多いのです。何でも無垢材や伝統的工法ばかりを信奉する人もいますし。ただ伝統的工法にしろ現代の工法にしろ、その耐久性などの検証はまだまだです。伝統的工法は大丈夫じゃない?と思うかもしれませんが、伝統的工法も壊れた物はまったくのこっていません。残っているものは非常に良かっただけでなく運も加味されています。全ての伝統的工法が素晴らしいなどとはとてもいえないほど、たくさんの建物が建てられ無くなってきました。そのことを忘れてはいけません。そしてその検証は始まったばかりです。合板にしろ伝統工法にしろ結論を出すにはまだ早いのです。
さて、その構造用合板の耐久性に重要な役割を果たすのが釘。きちんとした規格(N釘)でなければ駄目で、めり込みすぎても駄目です。意外ときちんとした性能を出すのは難しいのですが、それ以外として鉄なので錆が心配です。実際耐震診断などの調査で錆びだらけの釘、手でも簡単に折れる錆だらけの釘を見て来ています。この耐久性を上げられれば耐久性は更に伸びるはず・・・と誰でも思うはずです。そこで、めっき釘です。JIS A 5509(くぎ)などの規格品で耐力壁に使えるものがあります。これらの耐久性は普通の鉄釘よりは高く、性能を長期間維持したい場合は採用したいところです。
釘が抜けることに心配の声も上がっています。抜けやすいのでビスのほうが耐力がでる、と思っている方も多いです。ビスは保持力が高い反面、釘より曲がりにくく折れやすいので、耐震強度が低くなります。もちろん曲がりやすく耐力壁に使えるビスもありますが、まだまだ主流ではありません。もし、釘が抜けることを心配するなら、そのような耐力壁用のビスを使うべきです。また耐震補強などで、面が平らではなく釘だけで留めるのが難しい場合は、ビスでとめてから釘を使うなど、ハイブリッドな考え方をしていくことも必要でしょうね。
我々知った顔で耐震等級3がいいとかいっていますが、それはまだまだ解明されていない部分があるうえ、施工精度が高くないと、実際の強度は低くなってしまいます。それを忘れずに、少しずつでも良い方法を模索していく姿勢が必要かな?と最近を思いますね。そして今、結論づけないこと。今の知識が、時間がたって正しくない・・・などという時代が来るかもしれませんので・・・。