Twitterなどを見ていると、4号特例廃止論者を中心に木造2階建ても構造計算をという意見が多いように感じますが、実際は逆でしょう。実際何が悪いのか?もう一回論点を整理しないと、今回の4号特例廃止のパブコメ付うわさも、先が読めなくなってしまうでしょう。2020年省エネ義務化も骨抜きにされたわけで、今度の4号特例廃止・・・も骨抜きになるでしょう、と考えているとえらい目にあうかもしれません。
一応、パブコメを再確認すると、
木造3階建てのうち、簡易な構造計算(許容応力度計算)によって安全を確認できる範囲は、高さ16m以下まで拡大。これは軒高9mがネックになっている現状の制度を取り払い、もう少し余裕のある設計ができるようにするための施策でしょう。強引に軒高9mにするために、いろいろ制約ができて欠陥住宅も出来てしまっている現状と、9mを多少超えたって、現状のパソコンソフトを使っての構造計算に差がないことも事実なので、概ね歓迎されることでしょう。それに伴い二級建築士の業務範囲を上記に合わせるでしょうということ。まあ3階建てまでは二級建築士で、ということでしょう。
次に小規模木造建築物の省エネ化による建築物の重量化や大空間を有する建築物の増加などの状況から、壁量等の構造安全性の基準を整備するそうです。そこで、建築確認・検査の対象外となっている建築物の範囲及び審査省略制度の対象となっている建築物の範囲を縮小する。これにより現行非木造と同様に審査が行われることになりそうです。その基準は階数2以上又は延べ面積200㎡超の建築物が対象となり、それは都市計画区域の内外関係なくなるそうです。
現在、この部分が非常にクローズアップされています。木造2階建て、もしくは延べ面積200㎡超の建築物が4号特例から外れ、構造計算されるようになる、と。ただパブコメを見る限り、「必要な壁量等の構造安全性の基準の整備」と書かれており、これは新しい壁量計算等であって、それは審査対象になる、とも読み取れます。ただ従来の通りに壁量計算等の審査の省略はなくなるので、建築確認と検査は共に強化する方向というのは間違いないようです。これにより設計者はともかく、審査側の負担は大きくなります。審査時間が多くなってなかなか施工ができない、ということも将来出てくるかもしれません。それがもし木造2階建ても構造計算必須ということであれば、影響は非常に大きいこととなります。
まあ、まだ先の話です。設計者的には、とりあえず壁量計算やN値計算、バランスの検討など現行の検討が、少なくともできるようにしたほうが良いと思います。その上で、構造計算までできるのか?は各自判断したほうが良いです。外注で今まで通りなるのか?です。逆に外注先としてえらべれる為に構造事務所は、同パブコメで多く書かれている「省エネ設計・計算」も出来るようにしておかないと、外注先として選ばれないのでは?とも感じる内容です。むしろこっちのほうが問題かもしれません。構造計算ソフト会社は、構造計算ソフトに今のうちに省エネオプションを組み込む準備をしておいたほうが良いかもしれません。住宅レベルだけでなく、大型物件に関しても。それをBIMを介すのかそうでないのか、なども深く検討する必要があります。決して木造だけの話ではない、ということです。
そのための準備をしている設計者は多く居ますが、まだ割合としては少ないです。特に若手の建築士は乗り遅れないように今から対策を講じておくことをお勧めします。