構造計算・構造設計」カテゴリーアーカイブ

高耐力用接合部を規格化 住木センター

(公財)日本住宅・木材技術センターは、4月1日に中規模木造建築物などに対応したホールダウン金物をZマーク表示金物規格に追加しました。

HD-8S10とHD-8S12というちょっとわかりにくい名称が残念なのですが、中大規模で使いやすい性能を数値化してくれています。短期許容耐力はそれぞれ51.8kNと59KN。ベイマツ類とヒノキ類の耐力です。このような高耐力が規格化されなくてはならない状況は問題かもしれませんが、現実問題、高耐力の金物がないと構造設計出来ない建物が増えつつあるのは事実です。

最近の木材不足で国産材が使いやすい金物も増えて欲しいところです。ちなみにHD-S12やHD-S14といった先行した金物はスギで耐力を取っていますね。見たことはありませんが・・・

構造用集成材が手に入らない???

木造業界では過度に反応されているネタですが、いよいよ状況が悪化確定のようです。

2021年の日本集成材工業協同組合の「構造用集成材の供給見通し等について(3/29)」では、状況を端的に説明しています。国内集成材は、原材料の7割を海外から輸入しているそうです。そのうちの8割がヨーロッパです。昨年以降の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で思わぬ需要増のようです。

その原因は、米国での住宅着工数が十数年ぶりの高水準であることに加え、コロナ渦の巣ごもりに起因するDIY需要等の増大で木材価格が高騰しているため、フィンランドやスウェーデン等の欧州産木材の多くが米国へ向かっているそうです。またコンテナ輸送も中国ー米国航路に集中しているため、ヨーロッパから日本向けのコンテナの確保が難しく、運賃も大幅に上昇するといった悪循環が続いているようです。そのため産地側の提示価格が高騰しているそうです。

結論的にこの協同組合では、5月以降において2割以上の減産を為ざる得ないという見方を表しています。

各方面から話は入ってきますが、噂話レベルの怪しさは満点なのですが、上記の見方を見れば、国内から集成材がなくなる、ということではなく、需要を満たさないので取り合いになり、金額は上がるぞ(既に十分上がっていると感じるのですが(大汗))、ということで落ち着きそうです。

ただ、大手から見ればゆゆしきことで、買い占めが始まっていると聞きます。そのせいで今市場にない状態に見えるようです。リフォーム用途の材料や、国産材も値上がり傾向です。

国内産材を使えばいいじゃないか?といいますが、既に国産材も買い占めが始まっているようです。ただ国産材の主力のスギは、比較的安く良い構造材ですが、構造計算をする側から見ると数値性能的に低いので木造3階建てや耐震等級3とかになると使いにくいです。また曲げ強度が不足しがちなので、柱には使えても、梁では難しかったりします。ヒノキやヒバも良い材料で、土台や柱には向きますが、集成材として梁材として使うには若干不安が残ります(高いし)。とはいえ、うまく使う方法が確立されれば、国産材をもっと使えるようになり、国内の林業が活性化する可能性もあります(なかなか難しいらしいですが)。

木造構造計算を生業としている構造屋さんは苦戦を強いられそうです。もっと大変なのは中小ビルダーさんでしょう。ちなみに地元で一人でやっているような工務店さんの中にはまだこの状況がまったく理解できていない人もいますね。新型コロナの影響は本当にわかりにくいですね・・・。

 

HOUSE-ST1からKIZUKURIへ転送、その逆

今回は、HOUSE-ST1で入力してからKIZUKURIへCEDXM転送してみました。

まあ実務なんですが(汗)。KIZUKURIよりCAD下図が使いやすいからST1使っただけなんですけど。どちらとも無事NGなしで計算できました。

CEDXM仕様でソフトが作られていないのですべてが転送できないのは当たり前。樹種等は無理ですね。でも梁サイズや柱などは忠実に移せるので楽ですね。HOUSE-ST1から梁で難しいのは跳ね出し梁。KIZUKURIでは別別のコマンドですが、HOUSE-ST1は区別ありませんから。また母屋なども仕様が違うので転送できません。その辺りの違いがあるから、意外とCEDXMは難しいです。

というわけで、Wallstat転送も各社制約が多いのも頷けます。当面は柱位置、筋かい、梁、土台などの位置が転送できるだけでありがたいと思っておいた方が良いでしょう。

専用コンバーターを詳細に作っている会社もありますが、進化中のWallstatですからいつ仕様が変わるか分からない怖さもあります。相手側が無料で配布しているものとはいえ、開発する側はリスクがありますし、使っている側も同様です。

構造モデラー+NBUS7キャンペーン情報

新商品のキャンペーンを一年くらい続いていましたが(汗)、キャンペーンが切り替わりました。

株式会社構造システムの一貫構造計算ソフト「構造モデラー+NBUS7」のステップアップキャンペーンが4月1日から始まりました。5月31日までの2ヶ月間です。

以前のキャンペーン価格よりは高いのですが(発売されて1年経っているので当たり前ですが)、それでも通常より安価となっています。また無償貸出キャンペーンも追加で(ここ重要!)実施されます。さすがにどんなソフトか知られていないのに100万超のソフトを買うわけがないので、無償で2ヶ月お試しできるようになりました。

構造モデラー+NBUS7の特徴を3つ挙げるとするなら・・・・

・意匠CADデータから構造モデルを入力出来る(今さらCADかと思うかもしれませんが、やっぱりまだまだCAD主体の会社が多いですし、BIMでもCADデータ吐き出せるわけだから現在ならこのほうが汎用性が高いのも事実。ただ先進性という意味ではこの機能をウリにするのは??です)

・実用的な計算速度(動作も軽く計算速度も良好のようです。使い勝手に関わる部分なので重要です。BUS6で一気に高速化したのでBUSユーザーが体感で感じられるかは不明)

・普通にサクサク入力できる新UI(画面キャプチャを見る限り、それほど新しいUIは導入して居なさそうです。

でしょうか??私はBUSシリーズユーザーじゃないのでBUSとの比較はわかりませんが(大汗)。

正直出すタイミングが悪かった商品ですね。SS7が一般的になる前に勝負かけたかったんでしょうけど、リリース時はまだ完成度が高くなかったわけで、基礎構造が完成しそうな今年勝負をかけていれば評価も変わってきたと思います(あくまで販売店的視点です)。BUS6が完成度が高く競争力が残っているタイミングにあえて勝負をかけた意地はわかりますが・・・。

なお、BUS6で対応していた同社耐震診断ソフトとの連携ができず、同社のHOUSE-ST1等の連携機能も未搭載なのも厳しいですし、IFCやST-Bridgeとの連携もまだ・・・と寂しい現状を考えると新ソフトなのにあまり話題がでないのも仕方が無いのかな?とも思います。

ビルディング・エディタPro終売後の安価な一貫構造計算ソフト

残念ながらビルディング・エディタProは4月で終売となります。手軽に購入できる一貫構造計算ソフトだったにも拘わらず、無料版と、それより上の機能があると思われる価格も上の他社の一貫構造計算ソフトに挟まれて、それほど売れなくなっていたようです。

しかしメーカーサポートがある安価な一貫構造計算の価値はあります。そこで現在、ルート1、低層限定も含めて鉄骨造・鉄筋コンクリート造の安価な市販ソフトをピックアップしてみました。

定価ベースで考えると

・BUILD.一貫Ⅴ(低層版・保有なし) が550000円(年会費3万800円)

・SEIN La CREA-LE Premium 825000円(年会費13万2千円)

・ASCAL(RC+S) 506000円(年会費6万6千円)

あたりでしょうか??SEINはキャンペーンになると激安なるので掲載して見ました。この中では低価格で年会費も安価で実績もあるほぼルート1・2限定低層のBUILDが安価ですが、出来ることも制限されています。構造一級取る気がない、低層建物を主体にする方にはお勧めできそうです。SEINは部材数で制限を受けるので、ユニオンシステムや構造システムを含んだ一般的な構造計算ソフトの低層の制限がないので、小型でちょっと高層気味の建物をやる場合は安価で良い選択になります(特にS造)。その点、ASCALは定価ベースでも安価で年会費もソコソコながら、低層や部材の制約がないので、その辺りを考えずに使えるのがメリットです。BUILDやSEINほどの知名度がないのが弱点といえば弱点ですが・・・。

良いのが分かっていてもSS7制限版は定価ベースで121万円、構造モデラー+NBUS7低層版(BUS6低層含む)は99万円もしますし、年会費も高いです。過去の事務所で使っていた構造事務所出身者出ない限り、おいそれとお勧めできるものではありません。

30万円くらいで、S造とRC造ができて、3層までくらいルート1限定版(もしくはルート2まで)を各社出して欲しいところです。昔の一貫計算ソフトと異なり、現在の一貫構造計算ソフトはだいぶ敷居が下がってきています。意匠屋さんからなどの需要も望めますし、うまくできるようになれば上位版も買うと思います。業界挙げて構造技術者を育てる方向を考えないと、どのソフトも行き詰まると思います。まあ、個人的感想ですが。

FreeStrucutre、ついにAndroid版公開へ

今までiOS向けだったFreeStructure for Mobileついに、Androidでも公開されました。もちろん無料。フリーストラクチャー7.1の平面骨組みをスマホやタブレットで計算できます。もちろん計算結果はパソコン版のフリーストラクチャー7.1やパソコン版かんたん平面骨組で読み込むことができるので、出先で検討して・・・が可能となります。

横型のユーザーインターフェイス。パソコン版を知っていれば入力、検討は簡単です。
キーボードによっては入力しにくいかもしれません。

スマホだと画面が小さすぎますね・・・ある程度仕事で使おうという場合は大きめな画面のスマホもしくはタブレットが良いですね。

ちなみにAndroid11のPixel4aで動作確認しています。

 

ビルディング・エディタ/Pro2終売

ストラクチャーのホームページで正式に発表になりましたね。

RC造、S造、WRC造の一貫構造計算ソフトのビルディング・エディタ/Pro2が2021年4月に終売になります。このソフトは、大臣認定ソフトのビルディング・エディタの流れを組む有料のソフトでした。無料版が有名ですが、有料版も価格が安いこと、WRC(壁式鉄筋コンクリート造)の計算ができること、無料版にはない機能を搭載していることから魅力的に映ったソフトウェアで、特にお金がない若手時代の構造屋さんが購入候補に入れたソフトではないでしょうか?

Twitterで、終売の最大の要因は売上げの減少と言っています。確かにチャートシリーズは、特に高齢の構造屋さんはかなり持っていましたし、無料版のビルディングエディタで構造実務を学んだ方も多かった割に、有料版を使っている人はほとんど見かけませんでした。実際それほど売れていなかったようです。フリー版(無料版)は利益にならないのでは?と思ったのですが、あの書籍が売れ続けているようなので、

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

フリーソフトで学ぶ建築構造計算 Building Editor [ 野家牧雄 ]
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ソフトの解説を開発者自らが書いているうえ、操作だけでなく実務面にも有益の情報を満載している素敵な書籍。

 

フリー版は継続されるそうです。それはそれで嬉しいのですが、手軽な価格のWRC造のソフトがなくなるのはちょっと残念です。機能的には他社のものとは大幅に違いましたが・・・。

木造構造計算ソフトも一貫構造計算ソフトも、一時期の戦国期は終わり、徐々に淘汰され一気に減ってきたような気がしませんか?いつの間にか無くなったソフトも多数あります。また最近開発しているの??というソフトも増えてきました。一方、最初からWEBアプリで開発されているようなものや、AIを駆使したものも見かけるようになってきました。業務用のソフトも大きくかわろうとしているのかもしれません。

木造構造計算のAI化の波

すでに、10年くらい前からまことしやかに言われてきた木造構造計算のAI自動化が、昨年あたりから現実になりそうな感じがしてきました。

昨夏、住友林業の子会社、ホームエクスプレス構造設計が、ビルダーやプレカット工場向けの構造設計支援サービスを開始。住宅用CADのアーキトレンドで作成された意匠図データから、構造計算書、構造伏図、プレカットCAD連係データを自動作成するというもの。単純な形の建物ならこれで自動化でき最短3営業日だそうです。耐震等級3の性能確保に必要な最適部材を自動算出することも可能です。2023年12月期には、ビルダー300社、3000棟の提供を目標に掲げているそうです。4月15日に説明会もあるそうでいよいよ、という感じです。価格も、連携ソフトは10万円、初期設定で10万円と敷居が低く、1棟あたり18万円という価格も、既存の木造構造設計者にとっては驚異となりそうです。ベタ基礎も設計範囲に入っていることもポイントです。もっとも、責任範囲で「設計補助の業務(監理業務は含まない)」という部分がちょっと気になりますが、一気に普及しそうです。

他にも噂を聞くサービスもあります。まだ細かいところに手が届かないと思いますが、AIの進化は初期は遅いものの、加速化しますので油断はできません。木造構造設計者も、建売で棟数やって利益あげているだけのところは、ピンチに追いやられそうです。またビルダーも使っているCADなどで、明暗がわかれてくる可能性があります。

どちらにせよ、動向を注視しなければならない時代になったようです。

 

ST-Bridgeで構造解析データとBIMデータの整合を自動確認「STB-DIFFChecker」

日建設計と日本設計が、ST-Bridgeを介して構造解析データとBIMデータ間の整合確認を行う「STB-DIffChecker」を無償公開開始しました。

Auchifutre-webより

公開はGitHUbで公開中です(上記サイトを参照ください)。

これが無償というのは凄いですね。BIMならではの使い方です。CADだと表現方法などで難しいですからね。業界のことを考え無償公開というのも凄いです。

ただ、どんどん大手と個人事務所の差が広がっていくような気もします。私の地域・お客は未だJWWが8割を占めています。高齢者は引退も近いので良いのかもしれませんが若年層はそろそろ有償のBIM、CADの導入を本格的に考えなければならない時期に入っているのかもしれません。

構造計算ソフトもST-Bridgeに未だ対応しないものもあります。開発に優先順位があり人的リソースも限られている中、難しいかもしれませんが、ST-Bridge対応は急いだほうが良さそうです。若い将来のあるユーザーに選ばれなくなりますから。

KIZUKURI Ver8の斜め壁機能

KIZUKURI Ver8ではついに斜め壁を入力できるようになりました。梁が反映できない、金物算定はN値計算のみと、限定的なのは残念ですが、長らく不可能と言われた斜め壁に対応してくれたことは素直に嬉しいです。

さて、斜め壁の入力が可能なソフトの中に、XYそのまま力学的に自動分配することに不満を持っていました。45度ならわかるのですが、15度くらいでも分配されます。もちろん力学的には正しいのでしょうけど、実際の建物ではほとんど影響はないのは明らか。そのため泣く泣く斜め壁が入力出来るソフトでもXY方向にモデル化してしまうことがあります。

その点KIZUKURIでは、主軸以外の斜め壁を評価しないオプションがあります。これなら主軸以外はゼロとなり、主軸はきちんと斜め方向成分が精算されるので安心です。

この機能は、他の木造構造計算ソフトにも標準で搭載してほしいものです。できることなら30度や15度でどちらか選択できるようにしてくれるとベストです。