構造計算・構造設計」カテゴリーアーカイブ

来年を見据えて一貫構造計算ソフトの導入を考える

次々に構造担当が独立・移籍をしていったため、一貫構造計算ソフトが不要になり数年。しかし混構造などでも一貫があったほうが楽ですし、そろそろ欲しくなってきました。そこでこの夏に数年先を見据えて検討に入ることにしました。

第1候補はSS7。みんな大好きユニオンシステムです。現時点で比較的手軽で確認機関にもそこそこ受けが良くて、ユーザー数も多く、将来性も見込めるガチガチの本命です。古参のSS3ユーザーに受けが悪いのが気になりますが、それでもだいぶユーザーが増えた感があります。なにより比較的新しいプログラムの中では使われている率が高いのもポイントです。また木造オプションも発表され、木造対応も気になります。このタイミングで買うのは比較的新しいタイプを購入したいのは当たり前のことであり、設計が比較的新しいSS7は候補です。この夏に試用する予定です。

第2候補はSEIN La CREA。こちらは使っていたので、復帰となります。遅すぎる計算時間と、意味不明のウインド制御に悩まされましたが、鉄骨造では一番良さそう。Premium版になって劇速になったそうです。RC造がな~というのが現在の悩み。こちらも木造オプションがあるのがポイント。小型案件では比較的フットワークが良いので候補になります。

第3候補はASCAL。こちらは何回か試用しましたが、難解な操作で挫折しました。しかし価格も比較的やすく、木造のASTIMも出ていますので、候補です。近年操作性が改善されたのも追い風。設計や考え方が比較的新しいのもポイントです。

もっとも私が腕を上げて、もう少し無料版BEを使いこなせていれば、購入は不要かな?と考えていましたが、さすがにアラフィフで、これ以上の伸びしろは期待できないので、そろそろサポートも充実している市販ソフトに行きたいところです。

それにしても近年の木造対応の波は、過去では考えられませんね。ウッドショックで木造が止まっていますが、これが回復したら・・・木造ラッシュかもしれませんね。グレー本の欠点がはっきりしてきた今、2項ルートで木造構造計算できないと逆に厳しいかもしれません。

熱海の土石流

7月3日午前10時半頃、静岡県熱海市伊豆山築で、土石流が発生。多数の家屋が流されるなどして、死者、安否不明者が多数。多数の方が避難を余儀なくされました。その大規模さは、下記の動画2本でご覧ください。

テレ朝NEW 【独自】ドローンでとらえた 熱海・土石流の爪あと

なんだか、ネットではおかしな方向に行っています。雨により土石流が起こったことが悲しむべきことで、その復旧に現地ではたくさんの方が尽力されている最中なのに、ネット上は違う方向に議論がいっていて、見ていて辛いです。もっとも辛いのは被災者の方々で、心からお見舞い申し上げます。


朝日新聞 5日の詳報 ホテルに560人避難 安否不明者64名

活発な梅雨前線の影響で、東海・関東地方で記録的な大雨が降り、その影響で土石流が発生した。県は災害対策本部を設置し、熱海市に災害救助法の適用を決め、陸上自衛隊が隊員を派遣。人が内部に取り残されている可能性が高いので、撤去などもなかなか進まない状況のようです。

ちょっと忙しい時期だったので、情報収集が遅れて、私が詳報を確認したのは昨日になってからでした。まさかここまで大きな被害になっているとは知りませんでした。ちょっとしたニュースなどは見ていて概況だけは把握していたつもりなのですが。

今回課題になったのは、所在が不明な方の把握が遅れたこと。これにより復旧作業や救助活動が非常に困難になりました。別荘地が多く、通常よりも更に困難でした。個人情報もありますしいろいろ難しい事がありますが、今後大きな課題になりそうです。また高齢者が多く75歳が100歳を背負って避難、などということもありました。高齢化社会の怖さを更に感じる事態です。

立地的には、日本を探せば、他にもこのような場所が多くあるそうです。そのすべてが今回のようなことを発生させるわけではないですが、可能性があります。もちろん行政なども点検、補修などをしている場合もありますが、私有地の場合は管理が行き届かない部分もあります。どちらでもすべて対応を完全に行う事は不可能です。発生しそうだったら避難、というのが現実的な対応になってしまいます。発生しそうの段階で予測できれば良いのですが。

もちろん、建築・土木的にも更に信頼性の高い擁壁、土止めを設計・施工していくことが重要です。しかしながら、いざ設計をすると予算不足という壁にぶつかり、小さくしてくれとか、無くても大丈夫にしてくれとか言われるのが現状です。また擁壁などは補修はかなり難しいのが現状です。更なる技術向上を目指さなければならないと思います。

 

木造耐震診断の階高による地震力補正

あまり階高の高い耐震診断はやらない(住宅メインなので)ですが、たまにあります。その補正は悩ましい部分があります。何せマニュアルでは「適切に」ばかりですし。実例があるわけでもありません。

個人的には、構造計算ソフトで荷重を計算して補正します。変換シートは作ってあるので心配ありません。

あとは筋かいとかの評価。グレー本に基づいて評価します。筋かいは幅900以上を基準とし、高さは幅の3.5倍までを厳守します。900の筋かいの限界は900×3.5=3.15mです。この高さは構造階高でやっています。ただこれではさすがに不安ですね。限界に近づいたらまずやりません。1800の筋かいだと1800×3.5=6.3mです。まあこれだけの長さの筋かい材に良好のものがあるか?疑問ですが。これも絶対にやりません。はらみすぎますし。あと筋かいは両面面材で囲わない場合は使いません。実験などで出ていますが、45mm厚程度の筋かいはすぐにたわみますからね・・・。露出でやる勇気はまったくありません。実際は自分なりの基準を設けて対処しています。

構造用合板は幅600以上なので使いやすいです。高さは幅の5倍まで600なら3mまで、900なら4500までです。構造階高4mくらいまでは使えそうですが、幅が狭いものは注意が必要そうです。

とはいえ、建築基準法には柱の有効細長比とか、他にも守らなければならない基準が多いですし、そもそも高さが変わって、同じ強度で評価していいのか?とかあります。個人的にはグレー本でも、上記の基準があるわけですから、通常はそれを守っている場合のみ同じ倍率を使います。ただWOOD-ST Ver1でまだ壁倍率変換が無かった頃(それが正しいと思う)、自分でせん断剛性と短期許容せん断耐力を計算しているときに、せん断剛性は大きく変わってくるのでバランスが悪い建物などでは結構注意が必要だなと感じました(まあグレー本ベースでも母屋下がり階は結構神経質)。

東京デンコーの安心精密診断などは、単体で重量の精算ができるので便利です。この機能を真面目に使っている設計者がどれだけいるかは疑問ですが。HOUSE-DOCにはないので、私のように構造計算ソフトと組み合わせて、地震力補正シートを作っているのでしょうか??ちょっと気になります。

Wallstat Ver5は、計算時間を大幅に短縮か?

2021年6月29日 日刊木材新聞によれば、Wallstatは現在Ver5を開発中とのことで、現在の大きな欠点でもある計算時間を大幅に短縮する方向だという。それに伴い、営業や意匠設計者が気軽に使えるものにしていくとの考え方を示しているという。

たしかにWallstatはリアルな振動アニメが無料ソフトで作れるとあって、いろいろ活用を検討している建設業者は多いですが、今だと難しすぎますし、何より計算が遅いです。もう少し操作が楽で計算が速ければ、というのは使っている人誰でも思うことだと思います。

しかしこのような方針が示されることで、非常に期待大となります。いつか?とはこの新聞には書いていませんが、期待して良さそうです。

元記事はこちら。

マジカルCatfishなおうち

現在、ネットラジオ再開に向けて機材等整えている(実はパソコン移行のときに、ネットラジオ環境を整えていなかった)最中です。整い次第再開します!


さて、今回のそれに先立ちyoutubeチャンネルのほうも拡充。マジカルCatfishなおうちを開始しました。本業が動画部品作成でyoutuberではないので、雑多な内容しかチャンネルに登録していませんが、マジカルはyoutubeっぽくシリーズ化していく予定です。

昨日のブログで書いたとおり、歳をとると頭が固くなりがち。常識を疑うことから開始します。

第1回は、思い切り壁を強くしたら、北面に耐力壁がまったく無くても大地震に耐えられるか?です。外周3方向には6.5倍の耐力壁を設置し、一面は全く耐力壁がない・・・建築士の常識なら、4分割法NG、偏心率NGは計算するまでもなくわかりますので、設計しないでしょう。では、実際に地震が来たらどうでしょうか?

前面に耐力壁がない平屋の例。瓦屋根で立派だが地震には弱そう。しかし部分的に壊れてはいますが、新潟県中越沖地震で倒壊しませんでした。このような建物は意外とあるのでは内でしょうか?

世の中には弱そうでも大地震で壊れなかった建物がたくさんあります。なぜ????。今回はその謎に迫ります。HOUSE-ST1で計算した偏心率はなんと0.5以上!!基準法では0.3以下に抑えなければならないので、こんな数字は見たことがありません。しかし平屋の車庫などでは十分ある仕様です。もちろんそれらは構造計算されていないのですが。Wallstatを使って模擬地震波でこのモデルを揺らし実際に壊れるか???ということを検証しました。熊本地震の地震波も利用しています。果たして結果は??前半は入力を延々とノーカットでやっているので、HOUSE-ST1の入力初心者にも良い動画かもしれませんが、不要な方は後半だけぱぱっと見てください。重要な部分はかなりコンパクトにまとまっています(汗)。

準耐力壁・垂れ壁を木造構造計算に入れるべきか?

個人的には、木造構造計算では準耐力壁や垂れ壁を入れません。理由は3つ。

・私の担当しているビルダーさんでは、垂れ壁・準耐力壁を算入しにくい、もしくは出来ない間取り・仕様が多い

・kizukuriを長年使っており、標準では対応していないこと

・いざというときの仕様変更しにくいこと。

です。ただし品確法から正式に認められていますし、耐震等級を取る場合などには非常に有効です。ではどれくらい有効かを見ていきましょう。今回検証で使うのは、標準で垂れ壁や準耐力壁の入力・計算ができるHOUSE-ST1 Ver8です。

(クリックで拡大)

このような平屋を想定します。X方向(横方向)のみ見てください。耐力壁は2.5倍の構造用合板で、Y1とY7に2枚ずつあります。その間は1820の垂れ壁開口部です。

重い屋根でやっているので、耐震等級だと地震力でNGになります(そういう意地悪な仕様にしています。悪しからず)。もちろん基準法上問題はないのですが。あとわずかで耐震等級3を取れる残念な仕様といえます。

(クリックで拡大)

そこで、X方向は2.5倍の耐力壁の室内側に石膏ボードの準耐力壁を入れ、真ん中の垂れ壁を内壁石膏ボード、外壁構造用合板の垂れ壁で入力しました。Y方向は準耐力壁だけ反映させました。これでクリアできました。

変更前は、このように各通りNGになっています。

準耐力壁、垂れ壁を入れるとOKになります。各検定比や許容せん断力をみると、準耐力壁や垂れ壁が有効なことがわかります。

ちなみに準耐力壁の入力パラメーターはこんな感じ。構造用合板や石膏ボードなら、それぞれの高さの合計を入力しておけば、準耐力壁、垂れ壁を自動で判別し、自動計算してくれます。準耐力壁は比較的判断が楽で、施工上も問題がないので使える場合は使いたいものです。

垂れ壁の入力パラメーターです。垂れ壁は両面入れることで、そこそこの数値となります。両サイドが耐力壁・準耐力壁である必要があるなど注意が必要です。

今回の準耐力壁は0.49倍、垂れ壁は両面で0.3倍とバカにならない耐力がでています。ここまで壁量があると全体の耐震性の数値に大きな影響がでてきます。なのできちんと施工・監理する必要があります。

ちなみに構造計算では、合計の壁倍率や、両隣の壁倍率が影響してくるので、準耐力壁や垂れ壁等を入れると金物が変わってきます。今回レベルでも計算すると変わってきますので、大きめの建物や2階以上の建物では注意が必要です。今回の建物では、

・建物角は、準耐力壁の倍率加算で、倍率が高くなるので角の金物が大きくなる。

・建物角から2つめの柱は、耐力壁、そのとなりの開口部とも耐力が加算されるが、耐力壁に加算される壁量のほうが大きいので、金物が大きくなる。

ということで金物が大きくなる傾向にありました。

耐震等級3を安全といいますが、計算次第で内部の石膏ボードや垂れ壁も加算できます。しかし普通の建物でも計算できない垂れ壁や内部石膏ボードはたくさんあります。これらも地震時にには、有利側に働きます。それを考えると、準耐力壁や垂れ壁を構造計算に入れる設計をするより、しない設計にしたほうが、同じ耐震等級3であっても強いだろうという予測がたちます。なので通常は準耐力壁と垂れ壁等は反映させないで構造計算を行おうと思っています。

 

ウッドショックと混構造

5月前半までは、ウッドショックが長引くという情報が多かったのですが、5月下旬になると、それが比較的短いのではないか?という楽観論がでてきました。現実的に大きな影響が出ているところが限定的であることもわかってきましたし。しかし油断はできません。

以前、ハイテンションボルトが不足したこともありました。日本が輸入に頼る国であり、以前ほどの経済力もないことから、これからもこのようなことが突然発生してくるものと思われます。

なので、設計者も自分の専門に幅を広げておいた方が良さそうです。構造設計者も同じです。

平屋で良いなら、構造は何でも大丈夫でしょう(一部のロングスパンは除く)。しかし実際には2階建て以上がほとんどでしょう。木造の代替としては鉄骨が向きますが、壁式鉄筋コンクリートも視野に入ります。

そこで、ウッドショック、震災などを考えてバランスが良さそうなのが、木造と壁式鉄筋コンクリート造の混構造2階建てです。

この構造なら、2階に木造土台が来るし、スパンを飛ばすのは小屋梁だけなので、無垢材だけでも十分設計できます。また床上浸水などでも躯体の被害は木造よりは少ないです。また揺れも少なく、風に強く作りやすいです。また鉄筋コンクリート造2階建てより安価に工事できるだけでなく、求められる地耐力も少し小さくなります。元々壁式鉄筋コンクリート造は、地震や火事に強く震災に向きます。構造設計は必要ですが、構造計算も比較的簡単で強度を出しやすいのもポイントが高いです。

というわけで、これを機に、構造上でも意匠上でも混構造に挑戦してみてはいかがでしょうか?

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

HOUSE-混構造パック
価格:495000円(税込、送料無料) (2021/6/1時点)

楽天で購入

 

 

木造構造計算ソフトのHOUSE-ST1と壁式鉄筋コンクリート造構造計算ソフトのHOUSE-WLのお得なセット。混構造向けの機能も搭載されており、連携も簡単です。もちろん、木造構造計算、壁式鉄筋コンクリート造構造計算単体も、定評があります。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

HOUSE-WL Ver2 新規(壁式鉄筋コンクリート造構造計算ソフト 株式会社構造システム)
価格:249700円(税込、送料無料) (2021/6/1時点)

楽天で購入

 

 

壁式鉄筋コンクリート造構造計算ソフト。3階建てまでの機能限定版ですが、年会費がかからないという強みがあります。地下室の設計にも使えますので、非常に役に立つソフトです。KIZUKURIなど他社の木造構造計算ソフトと組み合わせても混構造の構造計算できます(連携機能はないので独自で工夫して使う必要がありますが、それほど難しくはありません)。

HOUSE-ST1 Ver8.0.0.6アップデート

木造構造計算ソフトHOUSE-ST1がアップデートされています。

軽いバグフィックスの他、画面の拡大縮小をキーボードでできるようになりました。さらにカーソルで画面を動かせるので、これは快適ですね。HOUSE-ST1はグラフィカルなインターフェイスでマウス操作しやすいのですが、キーボード操作があまり考えられていないのが難でした。せっかくなので

F5で計算、F6で計算結果表示とか、表示階の変更や、軸組図ウインドウの表示軸変更をキーボードでできるようにしてくれると助かります。また「入力」と「ツール」は比較的行き来するので、将来的に入力にまとめてほしいところです。

ちなみに、HOUSE-ST1は標準のリボンメニューを採用しているので、リボンメニューのショートかとは使えます。

AltキーやF10キーを押すとメニューのショートカットが表示されます。そのキーを押せば実行されます。タブも切り替えられます。

例えばF10(またはAlt)を押せば、キーボードでタブを切り替えたり、コマンドを実行できます。覚えていると切り替えが楽ですよ。ちなみにExcel等とファイルのショートカットが違ったりと、あまりこの機能を重視して設計していないのが気になりますが・・・・

取りつけ高さの範囲に幅を持たせた筋かい金物 BXハイパーガセット

便利な金物は諸刃の剣。または汎用性が制限されたり、うまい話だらけということはないようです。

この金物BXハイパーガセットは、ホールダウンなどの干渉から筋かい金物を上下にずらしたいときに、便利な金物です。従来品のハイパーガセットは便利でしたが、高さは土台・横架材から160mmの位置に固定されていました。非常に便利ですが、筋かいの性能を発揮できる金物では無かったです。そこまで割り切るなら高さを変えても・・・という趣旨には賛同できます。なんと80mm~180mmまで対応できます。新築だけでなくリフォームでも便利に使えそうです。

2倍専用ではなく3倍も使えるので本当に汎用性は高いですね。

しかし筋かい金物の柱取りつけタイプは、全体的に弱く頼りがないです。もちろん基準は満たしているのでしょうけど、破断しやすく個人的にはあまり好きではありません。

より粘り強くするには、岡部のブレスターZのような筋かい金物を使うのが良いのでしょうけど、取りつけにくいですし、万人にはお勧めできないのも確かです。私のように初期の大きな変動による変形抑制および、補助的に筋かいを使う人にとっては、ハイパーガセットのような金物も使い道があります。特にBXハイパーガセットは、筋かいの取りつけミスも減るでしょうし、扱いやすいですから、売れると思います。

ただし耐震優先と考えると、ブレスターZを使いたくなります。特に筋かいを多く使うケースや大開口廻りなどではブレスターZを使いたいですね。

ブレスターZは、この動画がツボにはまります・・・・