初心者でも扱いやすい木造構造計算ソフトのHOUSE-ST1 が2020年10月にバージョンアップされ、Ver8となります。既存ユーザーは有償バージョンアップとなります。10月からキャンペーンで新規・バージョンアップとも特価販売が始まります。
なお、今回のバージョンより64bit版のみの供給となります。32bitのOSを利用の方は要注意です。ちなみにWindows10とWindows8.1(それぞれ64ビット版のみ)の対応となります。
今回はグレー本の改訂ではありませんので、純粋に機能アップとなります。
目玉は、CEDXM対応でしょう。kizukuriなどライバルソフトは既に対応しているの周知の通り。今さら感がありますが、要望が多かったのでしょうか?インポート、エクスポートに対応しています。kizukuri同様データ形式から、純粋な互換性は期待できないとは思うのですが、作業の省力化及びWallstatとの連携などに威力を発揮しそうです。他社にはない隠し球もありそうです。
他は、機能アップしやすいところからやった感が強く、それほど魅力的なことはありません。その中でも軸数を200にアップ(従来は150)したのは、大きな規模や複雑な建物をやる方には魅力的かもしれません。しかしHOUSE-ST1 の表示は細かいグリッドに向いていません。やはりグループホーム等ある程度大きめで整形の建物に向くバージョンアップと思います。
構造計算ルート2への対応もされました。筋かい負担水平力による応力割増を自動計算できるようになりました。従来は面倒でしたからね・・・。ルート2への要求も増えてきているので(あの高さに関する変更のせい)、出来るのは心強いです。
また、構造システム独自の構造系データベースk-DBから部材材質・接合金物をインポートできる機能を搭載しました。FAP-3やWOOD-ST を使っている人にはメリットがあります。インポートレベルではなく、WOOD-ST のように標準になれば良いと思うのですが、それはまだ先のことかもしれません。
他には、特定緩勾配屋根の積雪割増や、基礎ばりの2段配筋や返信布基礎の計算に対応しました。また出力・印刷機能も強化されたようです。
そんなわけで、期待されていたペントハウスの計算、本来の意味での斜め軸、4号建物の計算強化、構造図作図機能の強化などは、搭載されてなさそうです。またBIM対応や他ソフトとの連携強化も見送られたようです。まあ細かい部分はまだ発表されていないので、使い勝手等細かい部分に手をいれてくれることに期待です。
小さな住宅レベルでは、最大軸数150は十分であり、構造計算ルート2も不要です。また材質や金物のデータベースも、最初に使う物を登録しておけば不要であり、今回のバージョンアップで「HOUSE」とは何ぞや、とあらためて感じてしまいます。HOUSEと名前を付けているのに大型に対応しようとしたりするのはね。まあ他社にも十分悩みやブレはあるから仕方がないのでしょうけど。今回のバージョンアップの内容は他社だと「オプション」レベルですからね。まあバージョンアップの価格はオプションレベルなので問題は少ないのかもしれませんが、旧バージョンの持ち主が積極的にバージョンアップしてくれる内容か?という点では、ちょっと困った内容なのかもしれません。
もっとも、中大規模木造への対応は、構造業界から歓迎されます。CEDXM対応は、各社ともまだまだ使い道は未知数で実質Wallstatへの変換しやすさに使われている実状があり、それだけでも訴求力があるという悲しい状況ですので、魅力的に映る方はいると思います。
ただ、名前がHOUSEである以上、住宅設計にある程度特化して進んで欲しいな、と、しろなまずは感じてしまいます。