WOOD-STで忘れてはならない設定10

いろんなところで話題になるWOOD-ST。木造構造計算ソフトなのだが、構造ルートではなく、46条2項というニッチな分野のソフトでただでさえ、できることなど説明しにくいのですが(汗)。少しずつ売れているみたいで何よりです。

このソフトHOUSE-ST1を使っている人と、そうで無い人で習熟しやすさはかわらないと思っていたのですが、そうではないようです。特にHOUSE-ST1の完成データを持っているとWOOD-STに転送して、簡単に計算データが作れるからです。なのでもしHOUSE-ST1のデータがある人は転送してデータを試してみてください。無い人はある人から貰って(・・・)試してみてください。荷重データとか面材データとか自動で変換されていて楽ですよ!!木材データや金物は変換されないので自分で設定するので違いもよくわかるでしょう。

その上で忘れてはならない設定10をかきます。

その1 なにはともあれ印刷設定

まずは印刷設定です。このソフトは印刷時に印刷できる帳票を指定できません(そのうちできるようになると思うのですが)。なので最初に印刷項目をすべて印刷するように印刷設定で修正しましょう。よくわからないのですが、初回起動時には断面計算結果の表が印刷されない表示になっています。それをONにしましょう。

その2 同じく印刷設定で検定計算出力を出力数指定へ

最初は指定した部材となっています。まあ他の設定で全数計算は可能ですが、やはり検定比が厳しい部材をソフトにピックアップしてもらったほうが最初は便利です。そこで出力数指定にすべて切り替えましょう。出力数は建物規模に応じて指定しましょう。

その3 環境設定でデータ保存用フォルダを指定する

最初はマイドキュメントのWOOD-STV1というフォルダのdata内に格納されます。現在はNASやクラウドファイルと同じフォルダに保存する人も多いと思いますので、そのような場合はフォルダを予め指定しておいた方が良いでしょう。また自動保存ファイルを作成するは15分ですが、普通はもう少し短め(5分程度)にしておいたほうがいいでしょう。

その4 テンプレートの作成

WOOD-STは、テンプレートファイルがないのですが、別の物件データから積載荷重や面材壁リストなどインポートできます。これはこれで非常に便利ですが、最初の頃は物件がないのでできません。そこで物件を入れる前に、それらを登録したファイルを作っておき、テンプレート代わりに使うと便利です。特にリスト系は頻繁に変更する、ということはないので、最初に作っておきましょう。HOUSE-ST1を持っている人は、荷重系を転送できますので、転送してからWOOD-STで編集!というのが賢いやり方と感じます。

その5 計算条件の設定

構造計算ルートは自分が計算するであろうものを予め設定します。私の場合はルート2はあまり興味がないのでルート1にしています。剛域考慮、剛床仮定は自分が計算するものによって変えると思いますので予め設定しておくと安全です。燃えしろは意匠計画が定まっているのであればわかりきっているので最初に設定しておきましょう。検定比は最初は安全に検討するため1.0から変更しておきましょう。そして最後に計算する部材を全部材に切り替えておきましょう(重要)。

その6 柱の断面計算条件は、断面欠損に注意!

割増率や各係数は後で設定でいいです(最初からわかるなら先にしてもいいけど、結局後で設定し直すことが多いので)。断面欠損が初期では「しない」になっているので断面欠損が多い工法の場合は最初から指定しておきましょう。「する」に切り替えて、各低減係数を入力します。

その7 梁の断面計算条件も断面欠損に注意し、たわみ制限値を設定する

梁のほうが柱より断面欠損が多い傾向なので注意です。スパンや金物などから適切に不利にならない程度の設定にしておきましょう。たわみはスパンなどから適切に制限値を変更しましょう。狭小の場合は気にしません!という方も多いと思いますが念のため。

その8 柱・梁断面リストは、通常の木造住宅とはちょっと異なるので注意

柱は2種類程度、梁は各サイズ毎に設定する必要がありますので、あまり多くの梁サイズは使いたくなくなります。樹種等の指定で強度は自動設定されますから楽ですけど。この部分は良く使う部材は予め登録しておきテンプレートに納めておきましょう。

その9 端部接合部リスト

なんだかんだいって一番始めにつまずくところです。特にリストに説明がでないで製品名と型番だけでるので面食らいます。とりあえずk-DBを起動して内容を確認しましょう。そのうえで選択しておきましょう。金物工法を使わない場合も設定は必須です。最初は剛接合がデフォになっている場合が多いので通常はピンに変更したものを用意しておきましょう。半剛接合でバネを設定したい場合は回転剛性をここで設定します。設定項目がややわかりにくいので、クリックして変更出来るものを予め掴んでおきましょう。

その10 面材壁リスト

これは非常にシンプルでせん断剛性と短期許容せん断耐力のみですが、それをどうだすか?がわかりません。私はもくツールVer6.5で作成した、面材変換ツールで変換しています。木造の耐力壁と違って長さの感覚がまったく違うので、自分で変換ツールを作っておいたほうが無難です。長さ毎に違うので、最初は910や1365、1820などよく使うものを登録しておいて、それで駄目な場合に後から登録する、というのがいいでしょう。その後の木ブレースリストから床組荷重リストまでも同様に設定します。最後に保存をかけて自分なりのテンプレートファイルを作成して活用しましょう♪

これだけ出来ていると、ある意味HOUSE-ST1よりも簡単にデータ作成ができます。計算も全部してくれるし検定比が高い危険部材から部材計算を出力してくれるので便利です。ちなみに軸は斜め軸も軸組図を印刷・表示は印刷設定で行うので、モデルを入力した後に設定しましょう。

i-ARMからDRA-CAD

不思議なのですが、i-ARMは純粋なCADファイル書き込みがありません。IFCは普通に書き出せるのに。エクスポートにもありません。もちろんDRA-CADへはプログラム転送できるのですが(汗)。このコマンドも便利なようで不便でどうにかしてほしいところなんですが、使っている人いないんですかね??ちなみにCAD図面読み込みも変なところにあって、インポートの図面部品のインポートにあります。まあBIMとCADは違うんでしょ!というメッセージが込められているのだと認識します。

さてDRA-CADへは、その便利な?プログラム転送ですが、メリットは、立面図なら立面図、平面図なら平面図を全て(指定もできる)DRA-CADへ変換しファイルを作ってDRA-CADで開いてくれます。手間が省けますね。私は最初、DRA-CADで編集したモノをi-ARMに読み込めるのか?と思っていたのですが、そうではなく一方通行のようですね。これならi-ARMにあるCADっぽい機能って不要なように思えるのですが、まだ実用性は模索中なのかもしれません。個人的にはi-ARMは3D部分だけを担い、そのCADビューはDRA-CAD(もしくはそのサブセット)が補うのをシームレスでできれば、と思っているのですが。別に戻す必要はないですが、モデル間の整合性の確保などに配慮があれば、と思います。今のママだと、ただの変換と実質変わらないので。

WOOD-ST向けのサンプルをi-ARMで作っているのですが、今のところIFCもST-BridgeもWOOD-STにないので正直あまり面白くないですね。木造ではST-Bridgeより、プレカット連動のためのCEDXMのほうが役に立ちそうですし。まあスキップ部分をある程度視覚的にわかりやすく作図できるのがいいかな?>i-ARM。

何かいているかまとまらなくなったのでこの辺で。

 

WOOD-STは個人住宅の設計で使えるのか?

現在、確認申請や性能評価ではHOUSE-ST1で計算書の出力をすること前提でWOOD-STでも計算していますが、このソフトは大規模の木造構造設計にはあまり向かないですね。小規模の個人住宅や共同住宅、店舗などで狭小なもの、耐力壁の数を減らしたいもの、スキップフロアがあるものに向きそうです。現在計算書を精査していますが、比較的読みやすいものの、計算書枚数が多くなりがちなので、やっぱり小規模で使いたいです。

そもそもプリセットの金物がプレセッターやテックワンなので、住宅向けと思った方がいいです。正直確認検査機関や意匠屋さんが許してくれるのなら、すぐに確認申請で使いたいところです。特に告示面材を変換して・・・の方法は長さを考慮しなければならないのは苦痛ですが、その他の部分では結構楽ですのでいいですね。新グレー本より、建物の弱点がピックアップしやすいので壁量だけでコントロールしているより健全です。

こうなってくるとエラー処理の不備と基礎の計算がないのが残念ですね。エラー処理は比較的簡単に修正できると思いますので、基礎の計算をしっかり作り込んで欲しいところです。恐らく混構造で使いたい人も多くなると思いますので、HOUSE-WLやWALL-1との連携などもHOUSE-ST1と同等になってくれれば、爆発的に使いたい人は増えると思います。

もっとも普通に計算すると新グレー本のほうが有利になったり計算が簡便になります。ただそんな整形で簡単な建物は少ないので、確認申請が降りやすくなってくれば、こちらが主流になるかもしれませんね。

 

WOOD-STの壁倍率換算

妙なモノで、木造の構造を壁量計算でやっていたときは、何でも壁倍率に変換してやろう!と思ったのですが、WOOD-STのように壁倍率がない世界ですと、壁倍率があるものから、基準耐力・剛性を出したいと思います。略算ですが、施行令や告示に乗っているものなので、ある意味信頼性は高いのではないでしょうか?(極端な形は除く)。

そこで、変換シートを作ってみました。

(クリックで拡大)

誰が使うのか?とか、これで本当に大丈夫なのか?とか突っ込みは置いておいて、壁倍率から簡単にせん断剛性と短期許容せん断耐力を出すシートです。簡単すぎるシートですが、チェックや入力には役に立ちます。ちなみにHOUSE-ST1からWOOD-STに転送したときと同じ計算方法です(当たり前ですが・・・)。筋かいシングルは倍率で換算されるので、個人的にNGなので、筋かいダブルと面材耐力壁がメインです。ちょっと変えると床も作れますよ。

もっとも、WOOD-STに内蔵してくれるとありがたいが、内蔵していないところ見ると・・・。HOUSE-STからWOOD-STに変換した場合の内容も明記していないのはちょっと不親切!!

 

WOOD-STの不満点

新発売でまだアップデートもされていませんが、皆様つかっているんでしょうか??>WOOD-ST。幸い私はST1で計算して出す物を平行して検討したので、確認申請に出さないとはいえ、ある程度実戦に近い形(といっても単純な共同住宅でしたが)で入力・計算できたのは、良かったです。

現在の不満点は、エラーメッセージが???なこと。ルート2の計算で、剛性率や層間変形角がNGであってもNGチェックに表示されないなど、ちょっと不親切なようです。なら構造計算書のインデックスツリーに赤でもいいから表示してくれると助かります(計算書の文字はNG部分は赤字で表示されます)。今のところ、もしかしたら計算書のどこかにエラーが残っているかも?とものすごい不安に陥ります。

これと同じように、至る所にユーザーフレンドリーでない仕様があり使う人の頭を悩ませます。サンプルが変なの一個しかないし、そのサンプルもエラーだらけ。金物表記もわかりにくいので、もう少し説明をつけて表示して欲しいですし、合板壁のせん断や剛性くらいは計算できるツールを添付して欲しいところです。またマウスオーバーでの解説表示は手を抜かないで欲しいです(例えば3D画面のボタンはマウスオーバーで説明がでるのに、巨大化した画面だと出ないとか)。また計算書をどう出すか?もイマイチです。断面検定表がなかなか出せずウロウロしてしまったことがあります(計算書のプレビュー画面でできないで、ファイルメニューの印刷設定から行う)。基礎の設計を急げ!!というユーザーが多いようですが、実際はそういう丁寧さが欲しい所です。

逆に言えば、その辺をクリアしてしまうと恐ろしく操作が簡単なソフトです。設定項目で怖いところと言えば、金物の設定が、剛接合がデフォなのでそれを勘違いしないできちんとチェックすることくらいでしょうか?

(クリックで拡大)

応力図は、間隔が狭いとやっぱりゴチャゴチャします。慣れと忍耐が必要!!別に応力図ビューアが欲しいです。各項目を消したり見せたり・・・。

(クリックで拡大)

やっぱりこういうときは変位図があるので大変助かります。これで2階の変位がヤバいのが一目でわかります。1階がK形ブレースで剛性を高め、3階は面材耐力壁(筋かいのように見えるので区別ができると良いのですが・・・)なので、2階の方杖は構造屋さんだったら絶対選択しない組み合わせだと思いますが、やってみると、ああやっぱり!!って感じですね。まあ無茶なモデルの代表ということで・・・。ちなみにこのモデルでも断面検定表の出力をOFFにしておくとNG表示はゼロです・・・(もちろんONにすれば出る)。

もう少し検証を進めたいのですが、今月は激務すぎて、この辺が限界。ではでは。

SEIN木造セミナー

昨日開催されたSEIN木造セミナー。本来は新製品であるSEIN La CREA Premium木造の新製品発表!!を兼ねて・・・であると思われたのですが、そっちは脇役で(・・・)山辺豊彦氏の有益な木造の講演でした。内容は実務的な内容で良かったですね。逆に迷いもできましたが(苦笑)。

さて、事前に製品の内容を聞いていましたのでSEIN La CREA Premium木造の発表内容には驚きはありませんでした。今日の山辺氏の講演とSEINのウリが混構造であることから、誤解が生じていますが(他の構造計算ソフトメーカーの方も指摘していました)、木造単体で計算出来るソフトです。これは事前にメーカーデモをしてもらったときに確認しています。ASTIM同様、S・RC造の一貫構造計算ソフトと同じソフト上で動くソフトです。ASTIMがASCALと連携という形をそれぞれ独立したソフトという立場を表面上取る(もちろん別売り)のに対し、SEINはSEINのオプション的位置づけです。どちらも揃えれば同じような思想にも拘わらず売り方がこれだけ違うというのは興味深いです。後発で考えているメーカーさんの話を聞いてもやはり同じ土俵では闘わない予定のようなので、ユーザーが選択に迷う時代が来そうです。

デモを見た感想では、木造の部分は任意形状ソフト(FAPとか)に近い入力手法で、出力が一貫という非常に合理的な感じを受けました。FAP-3とかで計算書を作ると、構造計算書の書式を整えるのが大変で二の足を踏んでしまいますが、元々一貫計算のSEINはその計算書の見やすさ、好みを置いておけば、書式が整ってくれます。個人的には見やすい(SEINユーザーだから当たり前か・・・)し、CSVはなんとかしてくれ・・・なのですが、同時発表のCREA Viewerで周回遅れだった部分が補えるので良かったな、と思います。金物などが登録されておらず使いこなすまでにいろいろ設定しなければならず、S造の一貫計算に慣れているとギャーという感じです。木質材料のデータベースはそれなりに揃っているのはいいですが。

特徴的なのが、耐力壁のモデル化は今のところ壁エレメントに置換する点と、壁倍率を指定できる点です。耐力壁の剛性計算で、壁倍率から計算することができるので、非常に手軽です。このあたりは壁倍率の概念がないWOOD-STより簡易でいいですね。また存在壁量計算もできますので、4号向きなのでは?と思ってしまいますが、あくまで補助的で、このソフトは大規模木造や混構造向けの構造計算ソフトのようです。住宅もできる、程度に考えた方が無難です。

SEINを持っている人なら20万円(キャンペーン)で購入できるので気軽です。ただ部材制限は持っているSEINと同様なので、CEを持っている場合、柱200部材、梁400部材の制限がかかるとみていいでしょう。木造はS造より柱数が多いので、住宅レベルでも超えてくることは十分ありえるので注意が必要でしょう。このあたりはどの部材が・・・ということを含めメーカーがそのうち開示してくれると思いますので、注意して選定したいものです。

 

HOUSE-ST1からWOOD-STへの変換に挑戦

今やっているHOUSE-ST1で計算した内容をWOOD-STに転送したときの感想です。詳しくは「HOUSE-ST1とWOOD-STの連携」(なまあずソリューション)に後日記載します。

HOUSE-STでファイルメニューからWOOD-STファイルの書き出しでファイルを書き出し、WOOD-STの転送用ファイルの読み込みで読み込みます。

では、そのまま計算させてみましょう。

はい。予想通り、エラーとワーニングなどのオンパレードです。ただし、このほとんどが、k-DBとHOUSE-ST1のテーブルとの互換性の問題です。HOUSE-ST1はソフト内に樹種やパラメーターを入力して保存する必要がありますが、WOOD-STはk-DBから樹種やパラメーターを引っ張ってくるため、うまくリンクができないのです。そこで梁断面リストとはり断面リストで、使う材種をWOOD-STで再指定します。その際、比重を自動計算にするのをお忘れ無く。今回のモデルでは荷重は問題なく伝わっているようなので、その修正だけで「一応」計算できました。

WOOD-STは、標準だと端部接合部は「剛接合」になります。もちろんそんなことばかりではないので、再指定が必要です。一般的には使う金物(指定されているのはテックワンとプレセッター)を指定すればOKなので簡単です。くれぐれもそのまま行って「NGがなかった!」などと喜ばないこと。

悲しいのが、端部接合部リストの製品説明が貧弱なので余程使い慣れていないと判断が難しいところ。うまい説明が表示されればいいのですが。間違って指定しては元も子もないのでメーカーには改善してほしいところです。

最後に耐力壁です。今回は構造用合板と筋かいを使っている普通の建物です。構造用合板は告示仕様で良ければ自動でせん断耐力と剛性は計算して参入してくれています。検討はこれで良いでしょう。しかし筋かいは倍率からせん断耐力と剛性を出しているので向きが考慮されません。しかも面材で変換されます(倍率変換ですからね・・・)。そこは自分で置き換えて指定します。HOUSE-ST1と異なりブレースの指定と置きかえは簡単なので助かります(面材は面倒)。ここまでかかった時間は30分。簡単な建物ということもあり、エラーもなく無事に計算できました。

計算書を作るためには他にも設定するパラメーターはあるにはあるのですが、普通の建物なら意外と簡単です。今回は変換しましたが、普通は一からWOOD-STで。入力します。もちろんHOUSE-ST1とほとんど一緒なので時間はかかりません。今回は小さな寄宿舎だったので、HOUSE-ST1で計算まで持ち込むのに40分程度でした。WOOD-STだけでも一時間はかからないと思います。KIZUKURIなどのユーザーでもそんなにかからないと思います。両方使っている私から見てもHOUSE-ST1のほうが入力・チェックは楽ですからね。

今回のモデルで計算書はすべて出力すると925ページです。HOUSE-ST1で365ページだったのでやはり計算書の枚数は多いようです。もっともHOUSE-ST1でも不要なページは削りますし、WOOD-STでも同様なので減らせます。部材の検定計算も、HOUSE-ST1で好評の出力数指定ができますので、大幅に減らせます。もっとも二次部材や合板の耐力などは自分で計算しなければなりませんし、基礎も同様なので試行錯誤してできるだけ計算書枚数を減らしたいものです。

ちなみに、計算書表紙に3Dモデルを印字できます(印刷設定にて)。意外とお客様に喜ばれるので使いたい機能です(HOUSE-ST1やHOUSE-DOCではお馴染みの機能ですね)。

WOOD-STへの質疑

いろいろ質問されるので、ここでまとめて回答します。あくまでしろなまずが数日間利用してみての感想で、私見です。

Q1 単体で使えるか(HOUSE-ST1がなくても使えるか?)

はい。単体で起動します。入力もHOUSE-ST1にそっくりなので誤解を招くほどです。ただし基礎計算や二次部材の計算などがないので、実務で構造計算書を作るためには他のツールの手助けが必要です。特に合板などのせん断耐力・せん断剛性の算出などは自分で計算して入れる人が多いと思いますので、エクセルなどで予めツール化しておきたいところです。

Q2 基準法の壁倍率は本当に使えないのか?

はい。本当に使えません。46条2項ルート専用ソフトです。HOUSE-ST1にマスクして使えないようにしているわけではないです。ただ、自分で変換して使うのは自由ですが変換ツールはありません。ただしHOUSE-ST1で入力したものを転送すると、壁倍率から自動変換してくれます。あくまで壁倍率だけなので注意が必要です。筋かいの向きなどは考慮されないだけでなく面材で変換されます。当然壁の長さが変わってくればせん断耐力は変わってくるので注意が必要です。

Q3 HOUSE-ST1とかで2項ルートで計算するのとどこが違うのか?

HOUSE-ST1やKIZUKURIでも2項ルートの計算はできます。その場合グレー本準拠の計算方法により、各耐力要素を壁倍率に変換して代入します。WOOD-STでは、壁倍率という概念がないので、そのまま耐力要素を入力できます。壁倍率が定められていない方杖、K形ブレース、鉄骨ブレースなどを耐力として算入出来るメリットがあります。特にブレース類の計算は非常にモデル化が簡素化されており使い勝手が良くなっています。またWOOD-STはグレー本準拠の構造計算ではなく、どちらかというと鉄骨造に近い計算方式で木規準に準拠しています。そのため初めて計算書を見ると面食らうと思います。

Q4 グレー本準拠の構造計算ソフトは不要か?

短時間ですが使って見た感想です。普通の木造住宅を設計する場合、グレー本準拠のソフトのほうが早いですし、確認申請も通しやすいと思います。よって、建物によって使い分けるのがいいと思います。最初の木造構造計算がWOOD-STというのは、鉄骨造から木造に移行してくる構造技術者を除き避けた方が無難だと思います。

Q5 テックワンP3プラスは使えないのか?

現状、使えないようです。k-DBに搭載されているので使えそうなものですが。現状トラス屋根にも対応していないので、使い道も特にない状態です。今後の拡張で使えるようになるといいですね。

Q6 登録されている部材は?

k-DBに搭載されている樹種・金物データは利用できます。ただ一般的な木造構造計算で登録されているような、屋根や床の固定荷重データなどは入っていません。一番最初に登録する必要があります。HOUSE-ST1から転送すると、固定荷重などが転送されるのでこれを利用してとうろくしていくと効率的かもしれません。

Q7 個人住宅は設計できますか?

元となるユーザーインターフェイスがHOUSE-ST1です。また搭載金物もテックワンなど住宅系のものもあるので、住宅レベルの105角などを利用した設計は可能です。というより個人的にそっちのほうが向くのでは?と思います。

Q8 マニュアルは充実していますか?

インストール以外のマニュアルは、ヘルプとPDFマニュアルです。PDFマニュアルは概要と出力例で、構造システムの他のソフトのマニュアルと大差はありませんが、かなり枚数は少なめで簡素なイメージがあります。

Q9 入力するだけで計算書を簡単に出力できますか?

これは比較的簡易といわれてるHOUSE-ST1などと同様ですが、そんな簡単ではありません。少なくともHOUSE-ST1よりは上位グレードのソフトです。操作性の良さは同等ですが、できることが違います。2次部材の計算や基礎の計算も今のところ搭載していませんし、面材の耐力などの自動計算もありません。RC造と異なり構造計算の解説書も少ないので学ぶのも苦労することと思います。メーカーには講習会の実施、マニュアル、サンプルの充実してほしいところです。

Q10 ずばりお勧めですか?

使い道によると思います。大規模な建物や複雑な形状にチャレンジしようというソフトではないと思います。比較的小さめでシンプルな建物で、グレー本では適用できない耐力要素を使いたい場合に向くと思います。木造倉庫、スキップフロアのある住宅、店舗併用住宅など思い浮かびます。まだ分野的に何が得意か?のようなものが確立されていないので自分なりに考えて行きたい方にお勧めします。

WOOD-STファーストインプレッション

46条2項ルートの木造構造計算ソフトWOOD-STが届いたので、ファーストインプレションです。予定通り11月頭出荷でした。初回注文分は皆様の元に届いていると思います。

本当に見分けがつかない外観

WOOD-STの最大の特徴は、従来難しいとされた壁量計算によらない46条2項ルートの構造計算をHOUSE-ST1同様の入力しやすいユーザーインターフェイスで実現したことだ。SS7やBUS-6といったRC造の一貫構造計算ソフトは、昔に比べれば非常に操作性が向上していますが、やはり操作に習熟するのに時間がかかります。その点、WOOD-STは、グラフィカルな画面というだけでなく、HOUSE-ST1で積み上げた操作性を採り入れており、計算部分はともかく操作で戸惑うことが非常に少ないです。画面が似ているHOUSE-DOCやHOUSE-省エネといったソフトと比べてもはるかにHOUSE-ST1に酷似しており、ちょっと見には見分けがつかないくらいです。

また屋根入力、見つけ面積入力、CAD下図機能など主立ったHOUSE-ST1の便利な機能も搭載されています。これらの操作性も同じなのでHOUSE-ST1のユーザーは迷わず乗換、併用が可能だと感じます。

方杖やK形ブレースは表示で再現できる

はい。きちんとモデル通り再現できます。入力設定もシンプルでモデル化しやすいですね。凝ったことができない反面、設定や入力が簡単なのがいいです。

スキップフロアは各階の間に一層配置することができます。HOUSE-省エネのように層を挿入する形です。高さは自由に設定できます。数値で指定するため、グラフィカルに設定できないのが残念ですが、意匠検討が終わっているなら特に問題はありません。

母屋下がりなど立面的非整形、3階上のペントハウス、トラス屋根の解析などには対応していません。平面的な斜め軸には対応していますが形状的には比較的シンプルなものが得意なようです。

ややわかりにくいリスト関連とK-DB

各部材は、ソフト自体に実装されておらず、基本的にK-DBを通しています。K-DBや構造システムのBUSやDOC-RC/SRC、SNAP、MED-3などの構造計算ソフトで共通に利用できる構造系データベースです。メーカーからみれば管理が一元化できて間違いなども起こしにくく良いシステムですし、ユーザーから見ても複数のソフトを利用しているのであればメリットを享受できます。もっとも単体で使う場合、2つのソフトをインストールしなければならないなどデメリットもあります。

WOOD-STは、木材や金物でデータベースを利用しています。そのためHOUSE-ST1のように樹種などを登録する必要はほぼありません。コレは便利です。金物は、テックワンとプレセッター(SUも)を利用できます。わかりにくいのがソフト毎に使えるものが違うこと。例えば、MED-3で使えるテックワンP3プラスは今のところWOOD-STでは使えないこと。

細かいことを考えなければ、細かいパラメーターの入力を少しでもしなくていいのは大きなメリットです。将来性も含め柔軟な対応ができるk-DBに接続できることのメリットも今後でてくると思います。

秀逸なHOUSE-ST1からの変換機能

一番上の画面キャプチャはHOUSE-ST1のデータをそのまま変換したものです。屋根の形もきちんと伝わりましたね。荷重なども再設定不要です。耐力要素は自分で置き換えなければなりません。自動変換したままだと、各耐力要素は、壁倍率を基準耐力に置き換え、その耐力要素全体の耐力として算出します。壁の長さで計算していた人はかなり戸惑うと思います。ただこの方式のおかげで、傾斜によって耐力が変わるブレースや、柱自体に取り付く方杖なども適切にモデル化できます。構造用合板のみ使っている場合は、告示の耐力で問題ないならだいたいの数値として目安になりますが、筋かいも倍率で変換して方向は無視しているので、こちらは危険です。HOUSE-ST1から変換する場合は筋かいを使わない方が無難です。といってもすぐに目安の耐力がわかるのは非常に良く、46条2項の必要耐力に慣れていない人には耐力目安がわかるので非常にありがたい機能です。

各要素の表示を切り替えられるのは便利

HOUSE-ST1を使っていると梁サイズとか表示して欲しいな~と思うのですが、WOOD-STはパラメーターが多いので、常時画面に表示することが可能です。項目もある程度カスタマイズで来ます!!この機能は本当に便利です!!HOUSE-ST1に早く搭載してほしいものです。

計算書もシンプルで見やすい

計算書は、HOUSE-ST1のように画面で見やすい形式です。各項目にクリックで飛べるので見たいところをすぐに見ることが出来ます。計算書内容は見やすくわかりやすいのですが、やや枚数は多め。新しい分野のソフトなので見やすさを優先したようです。応力図は小さな物件なら見やすいですが、ちょっと大きめになると見にくくなるのが難点です。RC造に比べて部材数が多くなりがちなので、今後も改良を続けていって欲しい点の1つです。

RC造・S造の構造計算ソフトを使いこなしている人にとっては見やすいでしょう。木造の新グレー本準拠の構造計算ソフトから見ると、総合的な壁量の表がない(壁量計算がないので当たり前)、金物の引き抜き図がない(フレームで・・・)とか戸惑いますが、1つ1つ丁寧に見ていけば大丈夫です。

改善してほしいところは?

改善して欲しいところは、サンプルがとにかく貧弱です。とりあえずスキップフロアや方杖など入力事例にはなっているものの、現実的な建物モデルではありません。またサンプルは一個しかありません。計算や耐力設定が難しめなソフトなので、できれば3例くらい欲しい所です。

HOUSE-ST1で便利だった機能が一部ないのも気になります。二次部材の計算はありません。計算書のエラー表示機能は貧弱で最初は計算書のどの部分にエラーがあるのか?わからないほど。一応、ST1で好評な伏図にエラーやワーニングの表示は出るのですが。計算書のCAD変換もできないので、補助計算書や、構造図を作るときに不便です。入力モデルの梁伏図と軸組図はCAD出力する機能はあるのですが、これだけだと構造図を描くときに不足感があります。恐らくHOUSE-ST1を元に作ったわけでは無く、一から作ったソフトをHOUSE-ST1に思いっきり似たユーザーインターフェイスを被せたのでしょうから、今後、HOUSE-ST1で好評な機能は搭載していくと思います。

また基礎の計算がないのが非常に残念です。開発はしているようなので後日搭載なのか?オプションなのか、いつぐらいにリリースされるのか?知りたいところです。

今後に期待!!

新製品ということで、これからどんどん発展していくと思います。印象として非常に操作性が良い反面、どうやって設計していくのか?がわかりにくいところがあります。ここはより一層のヘルプやサンプルや設計資料の充実などで補っていただければ、と思います。

まだ機能は不足していると思いますが、現状でもかなり実務に使えそうな手応えです。私も数個モデルを作りましたが、木造2階建ての狭小スキップフロアの構造なら30分程度でモデル化できました。これはST1と同レベルです。個人的には大規模というより、ちょっと凝ったスキップフロアのある狭小住宅や、間口が広いショップなどの構造設計に威力を発揮すると思います。高倍率耐力壁や方杖といった要素はそういったものに親和性が高いと感じます。他の木造構造計算ソフトからの乗換もそんなにハードルは高くありません。ともあれ、新グレー本の構造設計に限界を感じた方、S造やRC造から木造に移行したい構造設計者にお勧めです。

HOUSE-ST1 Ver7.5.0.1

HOUSE-ST1 Ver7.5が出荷後の初めての更新です。

主にWOOD-ST転送に関しての修正です。まあ新ソフト相手の転送だから後手に回るのはわかるのですが、まだ出荷していないのに書く必要があるのかな??と思ってしまいます。まあ社内でテストして技術者同士の伝達なのかもしれませんが(汗)。

他にも若干の修正が加えられています。木造構造計算ソフトの購入で、WOOD-STとHOUSE-ST1どっちを買おうか?と思っている人は、まずはHOUSE-ST1をお勧めします。いきなりWOOD-STは、敷居が高いです。HOUSE-ST1についている便利な機能も全部搭載されているわけではありません。スキップフロアや方杖など魅力的な機能も木構造や構造計算の知識がなければ、どうやってモデル化するのか?早晩行き詰まってしまうでしょう。まあお得過ぎるHOUSE-ST1とWOOD-STのセットもありますので(キャンペーンの割引率が非常に高い)両方使う、というのも手です。何せ操作性はほとんど同じですからね・・・。HOUSE-DOCとHOUSE-ST1の違いよりはるかに、操作性など類似していますから。ここまでするなら、将来的には同じインターフェイスで計算スイッチで切り替え・・・のほうがいいような気がします。わざわざなんで分けたんだろう??と思ってしまいます。ちなみにKIZUKURIユーザーがだいぶHOUSE-DOCに流れましたが、他のソフトに比べ乗換しやすいようです。個人的に、KIZUKURIからSTRDESIGNに移ろうと購入した経験がある私からすると、そう感じます。