CLT+在来の混構造

CLTの解説書を読んでいて残念なのが、CLT+在来の混構造の記述がないこと。できるといいのですが。

1階WRC+2階木造は普及しています。これとの置き換えができれば、1階も居住性の優れた建物を作りやすくなると考えたからです。

1階WRCの建物は比較的狭小が多かったりして断熱や内装で苦労することが多いです。その点CLTなら、一部仕上げをそのまま表しにしてしまい、あとは石膏ボード+クロス・・・でいいかな~と思ってしまいます。コストだけでなく工期的にもメリットが多いかな~と思います。WRCは枠組もコンクリート打設も狭小だと意外と苦労しますから。

まだまだCLTパネルの価格が激高で、Xマーク?の金物もできたばかりなので、参入には時期尚早と感じていますが、いずれ・・・と思います。

カテゴリー: CLT

Xマーク(クロスマーク)表示金物はCLTパネル工法用金物規格

(公財)日本住宅・木材技術センターでは、平成28年8月22日付で「CLTパネル工法金物規格」を制定しました。

筆記体のXに近いXマーク(クロスマーク)らしいです。在来がZマーク、ツーバイフォーがCマーク、なんで素直に英語じゃないのか??は置いておいて、これで便利になりました。

基本的にルート1で利用します。Zマークとは比べものにならないくらい強度が高いです。表2にある金物の一番低い数値は47kNですからね。おかげで在来の煩雑な金物検討は小規模建物では不要になりそうです。CLTの換算壁倍率は約10なので、階数が多くなるとこれでも不足しそうです。そう考えるとルート1(高さ13m、軒高9m又は3階以下の建築物)向けというのも納得します。もちろんルート1など、と書いているので性能が範囲内であれば使って良いようです。個人的にはTB-90やTB-150はもう少し耐力があればな、と思います。まあ今後に期待です。

CLTの壁量計算をkizukuri2x4で

厳密に言えば壁量計算ではないのですが、いちいち計算していると面倒なので検算方法を考えてみました。

壁量計算に該当する許容層せん断耐力の計算を下記自作表で行います(クリックで大きくなります)。

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簡単なエクセルです。数値はマニュアルより。まず、各通りの同じ耐力の壁ごとにQaを算出し、Qaからkizukuri2x4で計算するために壁倍率からkNへ変換します。kizukrui2x4はかなりの高耐力まで入力できるので好都合なのですが、小数点1位までなので厳密には変換できません。ここでは小数第二位を切り捨てして倍率を出しています。

この倍率をkizukuri2x4に入れてあげます。表で抜けがあっても確実にチェックできますし、入力後に計算を回せば、2.4の耐力壁の配置と有効壁長Ldの算定で、負担地震力を比較検討できます。誤差があるのですが、これで壁量の充足は簡単にチェックできます。

それにしてもCLTの耐力壁は垂れ壁などによって異なってきますがだいたい壁倍率10倍程度なんですね(壁の高さが3mの場合)。これなら各壁の高さごとに表を作って簡易壁量チェック表を作っておいてもいいかもしれません。

 

kizukuri 2×4で、CLTのルート1に挑戦

CLT告示講習会のルート1の事例は、簡潔でわかりやすいのですが、初っぱなから高さが間違えているので混乱しました。まあわかりやすい部分なのでいいのですが(汗)。

これくらいだと手で拾っていってもいいのですが、検算のため今回はkizukuri 2×4で計算してみました。

kizukuri2x4はツーバイフォーの構造計算ソフトです。もちろん在来の木造のソフトでも大丈夫なのですが、柱を入れなくても回るので、こちらのほうがCLTに向きます。

利用するには、高さ関係や床面積、見つけ面積を含めた一般的な部分は普通に入力します。固定荷重はマニュアルをみて設定します。ひさしの部分に注意です。サンプルは手すりが入っていなかったりひさしが・・・とか屋根勾配が・・・とかあるので数値検証以外はきちんと拾いましょうね。そのあと間取りを入力します。挙動を確認するなら910ピッチでも大丈夫ですが、マニュアルを再現したいなら、細かく区切っていきましょう。入れるデータは壁、まぐさ(重量は1/1で入力)、床、屋根、ひさし、バルコニー、柱などです。重量を計算するならあえて柱も入力しなくても大丈夫です。また軸力を出すためにダミー梁で柱に軸力を流せるようにしておきましょう。このあたりは在来の知識が役に立つかもしれません。

高さ関係が・・・なので、同じ数値にはなりませんが、地震力、風圧力を算出でき、同じような数字になることを確認できるはずです。実務でもこのレベルで十分ですし、ここまで一貫でできると後が楽ですね。地震力と風圧力がでたら、大きい方を選択し(サンプルは地震力です)、その数字を元に、応力計算をします。

ルート1でもCLTの計算は特殊です。許容層せん断耐力の出し方は独特ですので、この部分はエクセルでシート化しておきましょう。ただQ0が15kNと一定ですので簡単です。面倒なのはn(垂れ壁と腰壁の合計)を数えたり検算する作業です。Lはkizukuri2x4で合計がでているので検算できますが、L0は面倒です。垂れ壁・腰壁の集計がネックでしょうか?うまく図化して間違えないようにしたいものです。許容せん断耐力の計算自体は簡単なので、出た数字を先ほどだした地震力と比較して検定すれば大丈夫です。そもそも1,2階そろっているこのサンプルでは、非常に平易となっています。自由度が少ない分、計算や検討は楽なのがルート1のCLTの構造計算・設計です。

kizukuri2x4でうまく壁パネルに軸力を流すモデルを作っておけば、壁パネルの負担軸力を算出できます。パネルのサイズにあわせて・・・とか工夫したいところです。手計算では面倒なので、この方法をどうにか確立させたいですね。

軸力が出たら壁パネルの圧縮座屈の検定をします。これはエクセルでシートを作っておけば大丈夫です。不利そうな場所を各階数カ所計算すればOKでしょう。

床パネルも検定します。単純梁モデルに置換して、長期荷重による面外曲げ、面外せん断およびたわみに対する断面検定を行います。複雑になるとどこが不利か?わからなくなるので慎重に。単純梁により得られた応力で、曲げ応力度と面外せん断応力度を出してから鉛直構面のCLTパネルの検定を行います。長期荷重時の面外たわみは、告示準拠で変形増大係数2.0でスパンの1/250以下であることを検定しますが、無理なスパンに設定しなければ、普通は余裕です。サンプルではスパン4.55で、たわみ1/520とかなり余裕がありますね。形状の自由度が低い分、ある程度ゆとりのある部屋を実現していけば、面白い使い方が見つかるはずです。

バルコニーの検定も、はねだし1.82mなのに、たわみが1/667です。筑波の実験棟は3mのはねだしであまり揺れなかったことから(これは推奨していないようです)、まあ妥当で安全な使い方なのかもしれません。もっとも手すりは入っていなかったし何か荷重を追加したら・・・と考えるとしばらくは慎重に検討したほうがいいのは、いうまでもありません。

短期荷重時はもう少し複雑です。階段・吹き抜けが外周部なら耐風梁の検討は通常の木造と同じです。CLTパネルの面内のせん断、金物のせん断耐力など計算の流れをきちんと整理すれば問題ないでしょう。風と長期荷重の組み合わせ応力の検定、地震と長期荷重との組み合わせ応力の検定もサンプルでは代表面のみをやっていますが、実際全数出力を求められたら面倒ですね。

あとは、垂れ壁パネルの検定、柱梁の検定です。これは木造の構造計算と同じです。

最後は基礎です。CLTは長期地耐力50kN/m2が標準のようです。サンプルで大型の布基礎で設計しています。基礎巾は180ミリ。在来よりも大きな基礎が必要です。短期やアンカーボルトは意外と厳しいです。パネルの下部両端の金物で止める工法なのでどうしても配筋が大きくなりがちです。余裕をもった基礎断面が必要なイメージです。

サンプルでは、屋根葺き材の計算、偏心率の計算と続きます。おそらく壁量の検定の時に資料が調っているなら簡単に出ると思います。kizukuri2x4に戻して・・・という作戦もありです。矛盾点がないように解説するのが難しいかもしれませんが意外といけそうです。

部材の全数計算が求められるのか?などで難易度は変わるかもしれませんが、ルート1は拍子抜けするくらい簡単です。サンプルはひさし、手すりなど省略している部分が多かったですし、実際の建具・サッシとの納まりなどいろいろ検討しなければならないところを、ザクッといってしまっていますので、実際実務でやっていくにはまだまだ検討が必要そうです。

忙しいので検証時間をあまり取れなかったのですが、kizukuri2x4などで荷重を拾っておくと非常に省力化できます。しばらくはCLTの構造計算ソフトはでそうにありませんし、わざわざ任意形状のソフトで・・・というのもルート1では現実的ではありません。お仕事をもらったらうまく工夫して計算していこうと思います。