HOUSE-DOCの憂鬱 CAD下図

HOUSE-DOCという木造耐震診断ソフトを使っているのだが、ずっと使っているからこそ、このソフトの良さもわかるのですが、逆に悪い部分も目についてきます。前回、ほとんど基本機能をアップせずに建防協評価更新+使えない新機能でバージョンアップしましたが、実際使い勝手をアップするちょっとした改良などが少なかったのが残念です。私の周りでももう次のバージョンはないな、と思っている人も多くて残念です。ユーザー、特にヘビーユーザーは不思議なくらいメーカーの対応などを観察しています。そして物を言わずに去って行きます。木造耐震診断ソフトというものが、S56以前の旧耐震を主な対象にしている、という特殊性があるわけですし、次回あたりのマニュアル改定では新耐震が対象になると思われる向きもあるので、あまり手をかけていられないのかもしれませんが、他社の動きを見ていると市場の動きを見ながら、次の手を打ってきています。独自の機能もいいですが、より多くの人に使って頂ける努力をしていただければ、と思います。

さて、そんな今日の憂鬱は、HOUSE-ST1でもお馴染みのCAD下図からスパンピッチと軸名の設定。非常に斬新かつ便利な機能なのですが、ヘルプの解説も足りていないし、作りっぱなしなのか?利便性のアップもされていません。CAD図面を作っていると不用意なラインも作ったりしますし、読み込みプログラムのせいなのか?不要な通り芯が後ろにずら~っとできてしまうこともあります。それらを簡単に一括削除する機能など搭載してもらえないと安心して使えません。例えばX5以降を全部消すとか、チェックボックスで任意の通り芯を消せるとか?使っていない通り芯を消すとか、そういった機能が欲しいです。またCADの読み込み画面などに、ヘルプに描いてあるようなレイヤ設定の注意書きを書くとか、もっと使いやすくするための配慮がされないと、この機能を誤解したまま使う人も多いです。HOUSE-DOCやST1に入力する前に設計者がやることは、10人10色。そのため、レイヤに何が含まれてくるか?HOUSEシリーズに読み込むためだけに作っているわけではないのです。なので、簡易な方法を示すとか、もう少し作り込むだけでなく、情報発信をしてほしいものです。

まあ、どんなソフトでもそうなんですけどね。構造系の初心者向けソフトって、各社すごい神経を使って作っていますよね。それが上級者には非常にウザくなってしまうこともあります。操作が遅くなってしまうこともあります。HOUSE-DOCって速度の軽快さと説明書を読まなくても操作できることがウリです。しかし、ユーザーのところで教えたり講習会でしゃべったりすると、意外な機能が知られていなかったりするんですよね。上級者でも・・・。DRAにあったようなワンポイントを表示するとか、いろいろ工夫の仕方はあります。せっかく良いソフトなんだから、いろんなユーザーの声を聞いて発展していってほしいものです。

新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法と耐震診断ソフト「HOUSE-DOC」での検証

新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法と耐震診断ソフト「HOUSE-DOC」での検証http://www.kozo.co.jp/topics/tpi_20170711/index.html

株式会社構造システムのホームページにアップされていますね。今年は新耐震基準の木造住宅の耐震診断についてのターニングポイントとなる年かもしれません。

先日発表された新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法により、従来「旧耐震」が主な対象であった木造住宅も、新耐震基準について診断を行っていく方向性ができました。実際、木造耐震診断を数多く行ってきたなまあず本舗でも、もはや半分以上が新耐震の診断の依頼です(助成金を伴う診断を除く)。なので遅すぎるくらいです。

このページでは木造耐震診断ソフトHOUSE-DOCでの入力方法にも言及されています。完全対応というわけではないですが、比較的簡単に対応できそうです。

HOUSE-DOC Ver4.0.0.1

Ver4になって初めてのアップデートです。約1年放置されてきただけあって、がっつり変えてきています。ソフトウェア上でアップデートできないようなので、ファイルをダウンロードしてからやる必要があります。

最大の恩恵はネット認証が自動で行われるようになったことでしょう。他のソフトはともかく、HOUSE-DOCはN値を持っている場合2つチェックして認証するのが地味に面倒でした。これでHOUSE-ST1と同様の快適な起動ができるようになりますね。

他にも細かなチューニングをして安定度を高めています。元々計算方法が変わったわけではないのに、メジャーバージョンアップしたので、それほど訂正することが残っているとは思えません。が、新機能について作って放置してある感が強いです。昨年7月に出荷開始したはずです。既に1年ですね。今回調査シートの改善は行われたものの、根本的な改善とはなっていないようです。せっかく加わったVer4の新機能に期待をかけているユーザーはいると思いますので裏切らないで欲しいな~と個人的に思います。

 

wallstat Ver3.3.8

木造住宅倒壊解析ソフトウェアwallstatは、中川貴文氏の開発したソフトウェア(中川氏はしろなまずと同い年)で、最近、いろいろなところで取り上げられているので有名になってきましたね。特にソフトウェアの連携が相次ぎました。木造耐震診断ソフトを始め、プレカットのシーデクセマ(CEDXM)ファイルの読み込みが可能となったりして、kizukuriの最新バージョンなどのようにCEDXMを書き出せるものであれば、入力手間が減るようになりました。アーキトレンドZEROの次期バージョンにも変換がつくようですので、一気に活用する人が増えてくると思います。しかしながら、解析ソフトなのでパラメーターなどは自分で設定しなければなりません。入れてパッと振動アニメーションができる代物ではないのです。ダウンロードして使えない・・・という人が多いのも頷けます。

開発者もその当たりは憂慮しているようで、上記連携のほかに、wallstat studioというCADライクに入力出来るソフトを開発しています。このソフトは比較的使いやすいのですが、出来ることも限られます。最近少しずつ安定してきましたが、これだけで何とかなるものではありません。ネット上に情報が少ないこともあり、意外と活用している人は少ないのかもしれません。

(クリックで拡大)柱や筋かいなどは、CADライクに入力できます。

5月に更新されたVer3.3.8はCEDXM系の修正がメインです。水平構面の自動生成機能が追加されて、パラメーターの設定が少し楽になりましたね。依然として建物の荷重などどうよ?と言われてしまうと厳しいのですが(・・・)、構造設計者ならある程度自力で解決できそうな気もします。

(クリックで拡大)熊本地震の益城町などの最新データもあって興味深いですね。

某設計事務所でも夏のイベント向けにデータを作り始めているみたいですが、実用的なデータとなると意外と時間がかかりそうです。

HOUSE-ST1の短期めり込み

新グレー本2017の発売によって短期めり込みが必須という確認機関が急増している今日この頃。連層の高倍率の耐力壁を設けると一気に短期めり込みNGで困ることが多いと思います。これはソフトの種類を問わず頭の痛い問題です。短期めり込みの検討ができないソフトはないので、検討自体は出来るのですがその対応は各社マチマチです。

kizukuriの場合は、土台プレート、合わせ柱、ほぞなど比較的柔軟に対応できます。パラメーターの変更も手軽です。欠点は入力した内容と伏図のチェックが面倒なことくらいです。

アーキトレンド構造計算は、梁、土台別途に計算の有無を指定できるほか、ほぞ、土台プレートに対応です。土台プレートの使用の有無とサイズを選べます。標準だと短期めり込みの検討を行わないようです。

HOUSE-ST1の場合、計算時に短期めりこみ検討する、しないを選択できるので非常に手軽です。ただ・・・土台プレートに未対応なのでNGの対応が、柱サイズの変更かほぞ穴程度と、少々心許ないです。

新グレー本になって、添え柱や土台プレート等の利用を前提とした記述となっているので、早々に対応して欲しいところですが、工夫すれば大丈夫です。

HOUSE-ST1の場合は、通常の計算書の後ろに、NGが出た部分を土台プレートや添え柱を使っての土台接地面積を入力してめり込みだけ検討したものを添付すればいいのです。若干面倒ですが比較的簡単に対処できます。HOUSE-ST1の利点としては、このとき柱のサイズが画面に反映されるので、土台や梁にきちんと載る検討かどうかを確認できます。kizukuriだと手軽な反面よくミスしますからね・・・

アーキトレンドの対応はもう少し簡単です。土台プレートのサイズを柱+添え柱にすればいいのです。もちろん特記は必要ですが、検討、計算は問題なく行うことができます。

個人的には、ほぼ2017に対応が終了しました。耐力壁の配置が一番面倒です。各ソフトとも柱間のチェックプログラムを入れて欲しいな~と感じます。

 

新耐震木造住宅検証法

ついに日本の木造耐震も変わる節目になったのかもしれません。

従来、木造耐震診断といえば、旧耐震(昭和56年以前)を対象としており、新耐震は安全という基本スタンスは変えずにきました。もちろん2000年以降の震災によって新耐震でも倒れる家もありました。旧耐震が危険といっても既に相当古いので建替も進んできています。今後の課題は新耐震以後、ということは誰の目から見ても明らかでした。

そこで今回の新耐震木造住宅検証法は、新耐震基準導入後の昭和56年6月から平成12年5月までに建てられた木造住宅を対象として、耐震診断よりも効率的に耐震性能を検証する方法(新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法。略称「新耐震木造住宅検証法」)を作成した、そうです。

ステップ1は所有者等による検証です。リーフレットの「木造住宅の耐震性能チェック」(暫定版がホームページに掲載されています)を参照に行います。ステップ2は専門家による効率的な検証もしくは専門家による耐震診断となっています。効率的な検証は所有者等による建物調査を活用し現場調査がありません。耐震診断は一般診断法や精密診断法に準拠したものを行います。なので注目は専門家による効率的な検証が何か?ということになります。

専門家による効率的な検証は、一般診断法に準じた方法とされ、壁の耐力や接合部金物仕様、壁配置、劣化状況は「所有者等による建物調査」に基づいて審査するようになっています。それでいいのか??と思ってしまうのは私だけでしょうか??

個人的には金物の有無は必ず見たいところですが、平成12年までということで、義務化前で恐らく金物は・・・という目で診断したほうがいい時期のものなのでこういう感じなのかもしれません。それ以降の建物でも金物がきちんと施工されていない建物も多く見られるわけで、国としては段階的に・・・ということなのでしょうね。

現在建防協のホームページに情報が掲載されていますので、是非ご覧くださいませ。

HOUSE-DOCの計算実行の簡略化

kizukuriなど古いソフト系から移ってくると、HOUSE-DOCやHOUSE-ST1は、まどろっこしくなります。マウス操作は便利でHOUSEシリーズの美点ではあるのですが、キーボード操作があまり考慮されておらず、悲しくなります。

TABオーダーやワンキー操作などがね。メチャクチャだったりするわけ。

使わない人はわかりませんが、例えばHOUSE-DOCの場合、ALTキーでキーボード操作できます。ATLキーを押すと画面上部のアイコンに数字やアルファベットが並びます。それを押せば実行されるわけです。このような機能を知らない人も多いのですが、知っていると便利です。しかしながらHOUSE-DOCはALTキーを押し精密診断(Dキー)を押して最終決定に進むとなんと結果表示とスパンピッチの割当が一緒(P)という初歩的なプログラムミスで結果表示ができない、といったバグが残っています。またタブ操作も同様に不思議な挙動があります。せっかく搭載しているならきちんと作ってほしいし、初心者向けということであれば、思い切って切ってしまうというのもありだと思います(私は困る)。

この機能がうまく動いていれば、マウスユーティリティーでマウスに割り当てたり、キーボードカスタマイズソフトで割り当てたりできます。エレコムのような通常のマウスでも多ボタンタイプは意外と柔軟で、上記のようなALTを使った命令実行もできたりします。私の場合第5ボタンに計算実行、第6ボタンに結果表示(先ほどのバグのせいでクイックアクセスバーに登録してから行う)を入れているので、HOUSE-DOCの計算、結果表示がスムーズに行う事が出来ます。これは非常に便利です。もちろんF5に計算を割り当てたいのですが・・・これはメーカーに期待して待ちましょう。

HOUSEシリーズも地味に機能が違ったりするので、うまくクイックアクセスバーを使って共用の設定を使えれば切り替えを最低限度に押さえることができますね。来年はこういった省力化をいろいろと紹介していこうと思っています。

空き家入居者に補助や持ち主にも改修費

全国的に空き家問題が深刻化しています。本来は財産であるわけですが、核家族化が進んだり、相続問題が発生したり・・・売れなかったり・・・なかなかうまくいきませんね。そして放置されている空き家は防災的にも防犯的にも危険であり、更に深刻化していきそうです。

国も市町村等も黙ってみていたわけではありません。その対策を講じてきました。そして国土交通省は、空き家に入居する子育て世帯や高齢者に最大で月4万円の家賃補助をする方向で議論が進んでいるそうです。また受け入れる住宅の持ち主には住宅改修費として最大100万円配るそうです。早ければ2017年秋開始のようです。それに伴い各自治体でも動きが活発化しており、助成金制度を急ピッチで整えています。

もっともうまく使って身内に・・・なんて考える人も多いでしょうから、その対策も講じなければなりません。ただの古屋だと耐震性など不安なので、耐震性の要素も含んでいかなければなりません。国が予算を付けたことで、現実味を帯びてきたわけで、そのあたりの議論も今後活発化していくと思われます。

本来は国が口を挟むことではないのは明白なのですが、事態が深刻化しているのも事実で、早急に手を打たなければなりません。人口減は今後急ピッチで進みます。住宅産業も構造的に変化を求められます。同じく設計事務所も。経済的成長もあまり望めない中、高齢化が進み、いったいどうなるのか??誰もわかりませんが、打てる手は先に打っておきたいものです。

NHKスペシャル「あなたの家が危ない~熊本地震からの警告」

はい。日曜日満を持して見ました。まだ見ていない人は10月12日(水)の午前0時10分にも再放送がありますので録画してみてください。その価値があるかどうかは不明ですが。

熊本地震・・・といっておきながら、ほとんどが既知のお話です。もちろん熊本地震を前提に描かれているのですが。

テーマは非常に良かったと思うのですが、詰め込みすぎですね。戸建て、マンション、免震・・・たぶんどれか一つでも時間が足りないくらいのテーマでした。あのアニメーション(wallstat)、今回の内容に必要だったかな?と思います。欲張りすぎたのか?それとも規制がかかったのか?

そもそも耐震基準に関しては、戸建てでも4号建物といわれ壁量計算等ですます建物、長期優良住宅や性能評価を受け、耐震性に留意した建物、木造3階建てのような構造計算された建物とは異なりますし、マンションも同様です。なんか聞いていて頭が混乱しましたね。地域係数なんて4号建物では関係ないですし。

直下率に関しては、既出ですね。ただ例の物件の広い・・・というのは縦長ですし、図面左側のプラン次第だったよーな気がしました。直下率は大切ですが、それを補う構造設計を行えれば心配ないです。もちろん構造設計で補えないレベルは問題外だと思います。

マンション、免震に関しては、木造住宅の危険性だけに言及しなかったという点で非常に良い提起だと思います。木造だけ危険・・・のような風潮を起こしたい人はまだまだ多いようですから。地域係数の問題にするのは早計だと思いますが、マンションが安全・・・と思わせない事は必要だと思います。免震に関しても絶対ではない、ということがわかって良かったと思います。特に衝突による建物損傷は、あまりテレビ等で取り上げられていないのでわかりやすかったと思います。免震の危険性は他にもありますし。

どうも番組的にストーリーが単純で幅が狭いものの、現在の基準を守っていれば安全!という考えに警笛を、という点ではわかりやすかったと思います。内容的には突っ込みたいところたくさんありましたが、たぶんそういう人がみる番組ではなかったと思います。心配なのは番組から得た知識を悪用したり、知識不足で仕事に結びつける方々が増えてしまわないか・・・ということです。

今朝、朝礼でもこの番組について話し合いがありました。今後の社内基準の見直しが必要かどうか?も含めて更に議論していきたいと思います。

HOUSE-DOCは新築設計で活用できる??

木造耐震診断ソフトHOUSE-DOCのVer4が発売され、手にした方も多いと思います。毎回新バージョンが発売されると、必ずある質問です。新築の設計に利用できないか?

少なくとも建築基準法の木造の部分や、木造耐震診断の建防協マニュアルを読んだことがある方なら、新築と耐震診断では壁の評価方法が違うことくらい、すぐに理解できます。

HOUSE-DOCは木造耐震診断ソフトです。新築用のソフトではありません。もちろん新築の木造住宅を診断してデータ入力することはできます。しかしながら、新築で必要な壁量計算などはできません。

では金物計算は?これは微妙です。もちろんN値計算オプションを購入することが前提ですが、N値計算はできますし、新築用の壁倍率でもN値計算できますから。

ただ壁量計算ができないから、少なくとも買ってまでこの機能を使うか?は微妙ですねえ。もちろん持っていて、壁量計算は手計算で行い、N値のみ・・・だったら可能といえるでしょう。

4号建物の壁量計算やN値計算はそれほど難しいものではなく、手計算でも十分にできます。もちろん市販のソフトもあります。

どうしても自信がないようでしたら、市販のしっかりしたソフトを購入してみるのも悪くないでしょう。