WOOD-STの主な仕様

 一部で話題になっていました木造構造計算ソフトWOOD-ST(構造システム)の概要がわかりましたのでお知らせします。準拠基準は、グレー本系ではなく、木質構造設計規準、混構造手引、2015構造関係技術基準解説書です。その点では普通の住宅を主眼に置いているのでは無く、ちょっと複雑な形状の建物を想定しているようです。HOUSE-ST1が住宅系、WOOD-STは非住宅なのかな~と思ったらそうでもない。なかなか説明が難しいソフトのようです。

 恐らく、壁倍率を使って計算する46条から青本、グレー本と壁量計算系の考え方で設計するのがHOUSE-ST1であり、応力解析(壁床は主に等価ブレース置換)による自由度の高い考え方で設計するのがWOOD-STなのでしょう。事実パンフレットには施行令46条第2項第一号によりルート2までの3階建て以下の木造建築物を対象にしていると明記しています。というわけで壁量計算除外ルートであり、壁量計算はできないものとみたほうがいいでしょう。もっともHOUSE-ST1のデータはインポートできるみたい(どうやってやるのかは謎!たぶん柱・梁の形状のみ??)なので、両方もっていれば併用も可能かと。某ショップでは既にセット商品を企画しているとか、いないとか・・・。

 同じようなコンセプトのソフトとして、アークデータ研究所のASTIMがあります。非常に柔軟な自由な形状の解析を目指したソフトです。あそこまでの自由度はありません。HOUSE-ST1の操作性能良さをうまく採り入れ、ルート2までの木造3階建て木造建築物の構造計算を行おうというもののようです。確かにASTIM・ASCAL挫折組の話は聞きますからね・・・。それに構造システムには任意形状の解析を行えるFAP-3とその断面計算のMED-3を組み合わせれば同様のことは実現できますので、あえて任意形状にはこだわらなかったのかもしれません。

 注目の金物構法ですが、登録済みの金物は、カネシンのプレセッターSUとタツミのTEC-ONE P3のようです。当然、木ブレースや鉄筋ブレースなども解析できるようですので、高倍率の木ブレースなども使えると思います。金物の性能を管理するシステムは、構造システムのBUSやFAPなどでもお馴染みのk-DBなので、同社のユーザーはとっつきやすいかもしれません。方杖やK形ブレースなど建物に応じて柔軟に設計できそうです。

面白いのは、スキップフロアに対応したこと。壁倍率に寄らず解析します。中間階を配置することでスキップフロアのある建物を入力出来るのでモデル化も手軽です。ASTIMほど柔軟ではありませんが、よくある木造構造計算ソフトのスキップフロア対応のような中途半端な仕様(詳しくはユーザーやメーカーに聞いてみてください♪)ではなく、一般ユーザーが想定しているようなスキップフロアを実現できそうです。

大規模系なのかな~と思ったら平面グリッドはHOUSE-ST1などと同様で、グリッド配置です。最大150グリッドなので、特別大きな建物を想定しているわけではなさそうですが、必要十分そうです。

FAP-3との違いは任意形状ではない点、断面計算機能も内蔵している点でしょう。FAP3に断面計算ソフトMED3を一緒に買うより安いです(私のようにFAPMEDもっている人はどうすれば良いんでしょう汗)。手軽な反面、きちんとした構造の知識なしで使うと、エラー要素の意味がわからないだけでなく危険な建物を設計しそうです。応力図は見やすそうなので、良かったです。構造計算書はどうなのか?期待ですね。

現時点では基礎に対応していないこと、屋根は解析モデルに考慮されない(荷重伝達はできる)ことなど、確認検査機関の対応で突っ込みがありそうな気がしないでもないですが、任意形状を使いこなす自信がなく、一貫機能を持った任意形状も・・・という人にはわかりやすいシステムで支持を得られると思います。価格的にはHOUSE-ST1より高い価格設定ですが、高価な木造一貫計算ソフト程度の金額になりそうな見込み。定評のあるHOUSE-ST1のユーザーインターフェイスを使っていることもプラス材料であり、非常に楽しみですね。

もちろん新製品ですので足りないところはあると思います(断言)。果たしてルート2、46条2項ルートというニッチな部分にどれだけ設計者が注視するのかも注目です。先行するASTIMはルート3対応が噂されていますし、STRDESIGNなどの既存の木造住宅構造計算ソフトもグレー本対応ながら設計できる形状は進化してきています。これから木造構造計算ソフトを購入しようとする人は益々悩まされることになりそうです。

某本舗の次世代の木造計算ソフト導入は、ASTIMに決まりそうでしたが、WOOD-STも有力な対抗馬になりそうです。ASTIMにしろWOOD-STにしろ、応力解析ができなければ利用できませんし、自信が無い方は今から勉強しておくことをお勧めしておきます。

なまあず日記の検索ワードで多い「方杖」「壁倍率」

意外にもトップ検索ワードは「方杖」です。対のワードは、「壁倍率」なので、木造の方杖で壁倍率を取りたい場合に検索している人が「まだ」多いようです。

方杖の強度を方杖自体で取っている・・・と思っている人が多いですが、実際は柱がある程度強くないともちません。なので105角で方杖に頼ってしまうと柱側が先に折れる結果になってしまいます。方杖取り付けにもボルトやビスなどで欠損も出てきますので計算値通りの設計って意外と難しそうです。もっとも一定の型はありますので、特異なことをしなければ問題ないと思いますが。

個人的に方杖を採用する場合は、金物構法などの性能がきちんと明記されているもので、方杖に利用できるものを採用します。例えばテックワンP3プラスのように、元々方杖での利用も考え、事例を書いているものです。ちなみにテックワンP3プラスのマニュアルには方杖フレームの計算例が書いてありました(最近のものに載っているかは知りません)。欠損も少なく取り付けて出荷してくれるので施工も手軽ですし安全性も高いです。金物が特殊なぶん、コストアップになりそうなのがネックです。

もっとも方杖を使うシーンは耐震補強が多いので柱自体をアラミド(お勧め!)で補強・補修したり、柱を二重に重ねたりして元の柱をできるだけ痛めないようにしています。新築の場合は面材で耐力を取っているので、方杖を倍率加算するためには使いません。隅柱などで弱そうな場合は耐震補強に準じて補強を行い倍率加算はしません。

倍率加算を考えるなら、似たような挙動の方杖の数を集めて同方向のみ使う、というのはアリだと思います。Y方向は面材で、X方向中央部は面材、外周部は方杖といった組み合わせです。もちろん全部方杖というのもいいと思いますが平屋のように必要耐力が低いものが対象になりそうです。

秋に発売になる、WOOD-STという木造構造計算ソフトは壁倍率によらずルート2で計算するソフトです。スキップフロア対応も目玉ですが、壁倍率によらないので、方杖も利用できます。詳細はまだ発表されていませんが、HOUSE-ST1のように簡単なユーザーインターフェイスで利用しやすいものになっているようです。使いこなすと面白い建物が設計できそうで非常に楽しみです。

STRDESIGN Ver17

ついに発表になりましたね。ユーザーだけでしょうか??当然キャンペーンも実施しています。出荷は9月下旬を予定しているそうです。

いうまでもなく「木造軸組工法住宅の許容応力度設計2017年版」に対応した新バージョンとなります。あとの目玉は、木造住宅倒壊解析ソフトウェアwallstat連携です。

そして大型版の場合、PWA平行弦トラスに対応しました。結構要望が多かった機能だけに注目が集まります。グリッド数の指定も可能ですし、使いやすそうです。平行弦トラスは小さめの物件でも使いたい人が多いので、オプションで対応してほしいところです。

新グレー本2017で注目を集めた水平構面の単位長さ当たりの許容せん断耐力の上限は、最大値13.72kN/mを超える場合は最大値で検討されます。このことを知らずに新グレー本2017で運用している人をたまに見かけますが、嬉しい機能です。当たり前のように筋かいや面材耐力壁の長さ比チェックをしてくれます。ついうっかりが防げて良いですね。

バージョンアップは若干高いな~と感じる価格です。逆に長年バージョンアップをしていなかったユーザーや、サポート未加入のユーザーには配慮のある価格設定となっています。昔のバージョンをそのまま、の人はそろそろバージョンアップしてみると、新しい機能で感激するかもしれませんね。

HOUSE-ST1 Ver7.0.0.8

HOUSE-ST1が更新されています。なんとネット認証がまた更新されています。恐らく構造システムの認証変更はHOUSE-ST1から始めているので、これが主流になるのでしょうか?ちなみに、大きくは変わっていません。

あとは軽微なバグフィックスと、とある画面の高速化(・・・)。

既にVer7.5が10月、と発表されているので待ち遠しいです。Ver7.5は、新グレー本2017に対応したバージョンで、Ver7ユーザーは無料アップデートで対応できます。Ver6までのユーザーも今のうちにバージョンアップしておきましょう。

 

超狭小木造3階プランの検証

中古で売り出されて話題になっている木造3階建て住宅。幅が2mないくらい?のものです。我々、構造計算をやっていても最小幅は2.7m程度が限度。それ以下だと生活になりませんし、構造計算もかなり厳しくなりますからね。でもやる人はいるのですね。

そこで、似たようなプランを作成し実際に構造計算してみました。

3Dアーキデザイナーでのパース

3階はキッチンに袖壁付けました(検討中どうしてもNG解消できなかったので)

ちなみに、間取り・パースは3Dアーキデザイナー(今年期待の新製品♪安心のメガソフト)、構造検討・計算はHOUSE-ST1 Ver7(いつもの構造システム)で行っています。

幅は1.82m、奥行きは9.1mと施工、開口部を考えると非現実的なのですし、塔状じゃないかとかいろいろ議論はありますが、今回は構造計算ソフトの入力・計算上成り立つか?を検証するので、そういう細かい突っ込みはご容赦を。

工夫したのは収納で壁をできるだけ作ること、施工的に可能な納まりにすることです。幸い横架材の最大スパンは1.82mなので梁せいはかなり押さえられます。ほとんど150でOKです!!上下階の耐力壁は上階に行くほど減るので、上の階の耐力壁は下階の耐力壁があることを前提として設計しています。バルコニー部分は大臣認定の構造用合板(床勝ち)、他は告示と施行令の普通の材料で設計しています。

HOUSE-ST1 Ver7でのパース

細い!!

HOUSE-ST1で入力したモデル。さすがに床構面は厳しく24mm根太レス工法でもNGが出ますね・・・。うまく壁を散らしたつもりだったのですが(汗)。仕方がないので詳細計算法で床を設計しました。小屋面も火打ちだらけになりましたね。3階にはあと一箇所キッチンに袖壁を作らないと計算NGになりました・・・(ここだけは下階に壁がありません)。それにしてもHOUSE-ST1の3Dモデルはきちんと作ればキレイですね!!入力がリアルタイムに反映されますので入力チェックにも有効です。

壁量はギリギリOKになりました。さすがに風圧厳しいです。例の狭小住宅と壁の量的にはあまり変わらないので、あの建物も構造設計可能と思われます。

土台めり込み

ただ設計していて問題点も多く感じます。普通に土台の短期めり込みはアウトです。長期だけで設計しているなら土台プレート数枚で済みますが、大量に必要になってしまいますね。多分短期は検討してなかったんだと思います。何しろ検定比が普通に2倍近くになりますから(汗)。新グレー本2017に対応したソフトなら少しは減らせますが安全なのかどうか??。他に横架材の仕口もごつくなります。よってせっかく梁せいを押さえられていても安全のために、部材寸法はアップしなければなりません。階段があるので一番幅が狭いところが91㎝しかないので水平構面も厳しいです。そもそも最大が182㎝幅なのですからね。

1階柱脚の算定された金物

通常の木造住宅は構造計算した部材の他に余力があって、それが地震時などには有効なのは良く知られていることですが、この建物にはほとんど余力がありません。構造計算したからって安全には思えません。ホールダウンも1階で60kN程度がでてきます。

ちなみに基礎の設計も・・・・もちろん転倒の検討なども必要なのですが、個人的には杭基礎にしたいですね・・・普通のべた基礎での設計は諦めました。深い布基礎とか、杭基礎とか・・・どちらにしてもコストが跳ね上がります。ちなみにアンカーボルトも気が狂いそうです。一貫構造計算でNGを出さないだけでも大変なのに、それ以外の配慮もたくさん必要で、実務でやろうとは思えませんね。やるとしたら一方向ラーメンを大量に・・・という手法でしょうか?そもそも引き受けませんが。

構造設計がある程度できるようになると、このような一見無理な建物の検証もできるようになります。すると計算では可能でも・・・・とかいろいろわかることも出てきます。もしこのプランで、鉄骨だったらとか他構造を考えて見るのも面白いです。実務に追い回される日常をお過ごしの皆様。夏休みなどに是非試してみてくださいね。

いろいろと面倒なwallstat

アーキトレンドとwallstatの連携実験も無事終わりました。そんなものか、というのが正直な感想。CEDXMのデータから考えれば過度な期待はしないほうが良いでしょう。むしろwallstatの奥深さを改めて感じますね。計算時間が長いことも普通のパソコンなら計算させながら別の仕事もできますから、リズム感をもってやっていれば、意外と気にならないこともわかりました。若い人には辛いと思いますが。

パラメーターなどもなんとなくわかってきました。できればstudioで全てやれればいいのでしょうけど、まだまだ先は長そうです。それでも入力編集がGUIでできることは確認作業も含めずいぶん楽になりました。未だ不明な落ち方をしますが、そんなもんと割り切って、保存をこまめに行っていれば大丈夫です。

新製品の3DアーキデザイナーにもCEDXMの出力ができるのですが、そもそも柱の概念が薄いソフトなので・・・普通のやり方では間取りすら転送できませんでした。ついでに簡易構造診断で壁を入れても転送できませんでした。まあそういうことです。つまりアーキトレンドには、wallstatに転送しやすくなるようなCEDXMを吐き出すように工夫してあるということです。

この文章も計算時間に書いています。現在32%。やっぱり時間がかかります。初めて木造3階建てを解析させていますから。予想通りの揺れになるか楽しみです。

アーキトレンドZERO Ver4から2X4壁式2&3への変換プログラムと講習会

2×4壁式でお馴染みの東京デンコーが8月23日に講習会を決定しました。

アーキトレンドZEROからの変換プログラムも完成し更に使いやすくなった2×4壁式の講習会です。ツーバイフォーの構造計算を考えている方には現時点では一番の選択肢となっています。タイロッド等の高倍率金物にも対応したようですので楽しみですね。

お申し込みは東京デンコーホームページにて

HOUSE-ST1 Ver7.5

HOUSE-ST1も新グレー本2017(木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版))に対応するバージョン(Ver7.5)を10月に発売いたします。現状発表されている他社の改訂内容よりはしっかりしていますね。その分対応が後手に回り発売日は遅れますが・・・。

Ver7が発売されたばかりということもあり、最新版のVer7をお持ちの方は無償バージョンアップとなります。Ver6以前の方は有償バージョンアップとなります。そろそろ確認申請の対応も含め難しくなってきていますので、これを機に最新版にupすることをお勧めします。

良い点は、木3等軸力が厳しいもので短期めり込みの計算を行った際の土台プレートなどの数が激減します。短期めり込みの検討自体はVer6でも問題無く行えますが、やはり無駄なものはできるだけ使いたくないものです。

不評だった耐風梁の計算も改善されてきています。水平構面の構造計算を省略できる条件の検定式の変更にも対応しています。

なんとなくですが、WOOD-STの発売日と似たような時期になると思われます。新規の方は迷いますね。やはり計画性がないのか?それともこの時期を狙ったのは何か理由があるのか?気になりますが、WOOD-STの詳細がわかってからでないとなんともいえません・・・。

WOOD-ST 木造集成材等建築物の構造計算ソフト2017年9月発売予定

建築技術の7月号の特集は、熊本地震以降の木造軸組構法住宅。今日初めて目を通したのですが、そこに、WOOD-STなる木造集成材等建築物の構造計算ソフトの新発売情報が。しかも構造システムから・・・。

その広告によると、仕様規定ルート(4号建物)からルート1,2まで幅広く利用できるそうです。しかも在来軸組工法のほかに、ラーメン架構を全体または一部に持つ、壁とブレースが混在する建物や、スキップフロアのある建物も形状通りにモデル化し、構造計算を行えるそうです。またメーカー製金物のデータベースを用意しているようですので、おそらくテックワンP3プラスのような金物も比較的簡単に使えるのではないかと思います。

一枚しか写真がありませんが、 HOUSE-ST1に画面が酷似しています。そしてHOUSE-ST1の適用範囲外の建物はWOOD-STに転送できるようです。ということで上位互換のようです。

価格などは出ていません。もちろん販売価格も載っていません。販売店にも何も情報が来ていません(少なくとも某ショップの店長は知らないそうです)。HOUSE-ST1 Ver7になって学校など中大規模に対応したので、果たしてすみわけはどうするのか?かなり疑問です。それならHOUSE-ST1を正式にルート2に対応するのか?と思ったのですが。某ショップでは

そして書き方からして任意形状ではなさそうです。また上位バージョンなのに対応できるのが3階まで。現在、木造耐火4階が少しずつメジャーになりつつあり、構造屋さんが対策に苦慮している時期というのに、なぜ????という感じです。少なくとも学校建築よりは需要はありそうなのに(汗)。

しかし、このクラスの建物でラーメン架構を利用できたり、スキップフロアの需要は大きいはず。狙いどころがニッチに見えますが東京などの狭小地での構造設計に適した機能を実装できれば面白い存在になるかもしれません。

発売はもうすぐのようです。詳しい情報が出てきましたら、このブログでも紹介していきたいと思います。

ST-Bridgeの使い道ある?

一時期、BIMとの連携で明るい未来を見せてくれようとした、IFCとST-Bridge。意外とダメダメだったということが見えてきて、最近あまり話題になりません。特にST-Bridge。互換性や実用性を考えると何のための企画なのか?と頭を抱えてしまいます。構造計算ソフトに専用のコンバーターをかましてBIMへ、というのが主流のようです。

今回もASCALからI-ARMに転送してみましたが、正直何かしようとは思えませんでした。GLOOBEも同様です。こちらもいろいろ考えて行けばいいのでしょうけど、そこまでの情報もありませんし、時間もありません。結局大手設計事務所やゼネコンなどのようにきちんとした仕組みを作るか?個人的マンパワーで不満点を払拭して(したつもりになって)付き合っていくしかないようです。

もっとも時間がかかるにしろ、今後もST-Bridgeは開発していくようですし、ソフトウェアの対応も変わってくると思うので、気長に待つとしましょう。