日本の都市の寿命と木造住宅

日本の都市といえば、昔は平城京や平安京といった都。もちろん今は残っていないけど。古い木造で残っていると言えば法隆寺等。街として残っているわけではない。それでも奈良井宿などある程度古くい建物が比較的残っているゾーンはある。東大寺大仏殿のように最早木造ではない補強が施されているものもあるものの、木造オンリーでも残っている住宅などは意外とある。それでも寿命はある。痛んだ部材を交換していけば、意外にもつものです。そして壊すとき、新たに建てる建物に流用しやすかったりします。木造のメリットですね。もちろん燃やしたり、他の材料として転用することもできます。

しかし近年我々がやっていることはどうだろうか?木造の耐震化といって、再利用できない部材を多く使い、合板などを釘やビスで密に打ち込み、壊しにくい。燃えないための工夫は短期的には火事に強く街の防災に役に立つが、長期的にはどうか?そして高気密高断熱。痛んだ部材を発見しにくくなっています。これで木造の暖かみとか長期優良住宅なんて語り出すから笑ってしまう。

ある程度の耐震化は都市に有益に働いていたが、熊本地震のあと「複数回の大きな揺れに対応」といった過剰設計を目指す向きは将来的に見てどうか?と耐震や構造をやっている人間でも疑問に思ってしまう。もちろん人口拡大期なら問題がなさそうに感じられるが、今後急激に人口が減ってきて、必要住居が少なくなってくる局面、果たして欧米のように数百年も持つ建物が必要か?これも疑問です。

最近、木造住宅の解体で大きな問題が出てきています。やたら柱状改良など行っているので、その解体の手間・お金が非常にかかること、元に戻すことが難しいこと。そして、頑丈なべた基礎は解体に非常に大きな手間がかかるだけでなく、近隣に振動被害を与えてしまうことも出てきています。

日本の住宅が短寿命なのを日本人の国民性として片付けるのはたやすい。しかしそうなったのは理由がありそうです。例えば火事。都市では地震より火事が怖かった。火事を消すには火消し等が延焼を防ぐために建物を壊したとか。ある程度解体しやすさも必要だったのでは?そして湿気の多い風土。伝染病などを防ぐためには都市の固定化は、それなりに脅威だったのでは?とか。もちろん戦国期のような戦争も含め、土着しにくい時期もあったと思います。

もちろん地方と都市では考え方も違います。ただ日本にとって木造住宅というのが諸条件を照らし合わせると、一番合理的だったから多く建ってきたということは言えそうです。ビルや最近の住宅がそれに適合するのか?かなり疑問ですね。

最近の省エネ一点張り、高耐震性建物への取り組みは不安に感じますね。性急すぎて。そのマイナス面はあまり語られず、経済性を中心とした、省エネ、耐震という要素のみで取り組みがされているような気がします。そんな流れに疑問を覚え、考えて行かなければならないのは個人の建築士の方々なのだと思います。

私が史学科出身の珍しい建築士だから考え方がオカシイのかもしれませんが、都市にも建物にも寿命があるのは自明の理。そのなかで自分なりの最適解を見付けていきたいと思っています。

北沢浮遊選鉱場跡

佐渡は名所がたくさんありますが、最近の話題は北沢浮遊選鉱場跡です。佐渡金山の関連施設でコンクリート部分のみが残っています。全天空カメラで撮影すると四周に迫力ある遺跡のように存在していることがわかります。戦前の建設でありながら昭和27年にも閉鎖されているうえ、非常に神秘的な景観から廃墟や遺跡のようにみえ、近年再注目されています。 #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

お休みが取れたので10月29、30日で佐渡島に行ってきました。いつもと異なり若干観光時間も取れたので、話題の北沢浮遊選鉱場跡に行ってきました。佐渡金山の関連施設で、遺跡マニアや廃墟マニアの間で話題になっています。昨年の世界遺産へ・・・のときにもクローズアップされ、最近はテレビでの露出も増えてご存じの方もいるかもしれません。

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北沢浮遊選鉱場跡

広い佐渡島でも北のほうの相川地区に位置し、金山からそれほど離れていません。関連施設ですからね。ただ巨大な施設なので上記の全天空カメラで撮影した写真で見てもわかるとおり、非常に広く迫力があり、日本離れしています。そのためラピュタやら、マチュピチュやら、いろいろ喩えられています。あくまで戦前の工場なのですが上屋が取り払われていてコンクリート部分だけが残り、蔦が絡まっているため、古代文明などのように見えてしまいます。

直径50mのシックナー

 

火力発電所

佐渡金山自体も非常に魅力的な観光スポットでしたが、近年更に整備されて見学しやすくなりました。オリジナル商品も増えていますし。そして周辺にもこの北沢浮遊選鉱場跡のような魅力的なスポットも数多く点在していて一日いても飽きません。佐渡って遠いな~と思っている方も是非是非見に行ってみてください!!

マンション崩壊 あなたの街が廃墟になる日 山岡淳一郎

たまの休みには、本を読みたいもの。でも本屋に行くのは面倒!という場合、電子書籍をおすすめします。パソコンでも読めますし、すぐ買えます。

今日紹介するのは、「マンション崩壊」です。耐震偽装事件より前に発生した、被害額も内容も過去類を見ない旧住宅都市整備公団のマンションで、史上最悪といわれる欠陥工事を取り上げています。『あなたのマンションが廃墟になる日』で知られる著者の続編らしいのですが、まったく前の本を読まなくても大丈夫です。

耐震偽装事件とは比べものにならない欠陥の数々、構造計算書も偽装されていたという信実、国費の投入も膨大だったという事実。どれをとっても日本の建築史上希に見る欠陥マンションの一例として語り継がれていきそうです。

これを読むとマンションなんて買えないな、と思うのか?制度が変更されれば大丈夫と思うのか?非常に読み応えのある内容です。耐震偽装事件の発生で忘れ去られてしまった感がありますが、当時はかなり大きく取り上げられていましたね。今だからこそ冷静に読むことができると思います。

建築設計の人間のコメントも興味深いですし、購入して被害に遭った方々の心情も痛いほど伝わってきます。旧公団側の対応も含め、昨年の杭偽装で再び露呈した「大企業神話」の崩壊(そんなもの本当はなかったはずなのですが)、時代が変わっても人が建物を建てるということはかわりがありません。

ちょっと重い内容ですが、電子書籍版がありますので、時間があるときに読んでみてはいかがでしょうか?

 

その前の、あなたのマンションが廃墟になる日は、電子書籍版ではなく本でどうぞ。

建築知識のバックナンバー集め

建築知識といえば、建築設計の雑誌として非常に長い歴史のあるものです。最近の迷走ぶり?は至る所で取り上げられていますが、これも時代の流れで仕方がない部分もあります。

というのは、過去の建築知識はいろいろありますが、非常に内容の濃いものでした。私も以前、人の事務所で閲覧させてもらって感じました。いつかは集めるぞと思っていました。

昨年、自宅に書庫を作ったので、入れる場所は整いました。ということで最近集め出しました。主にパシリオユースさんを利用させて頂いております。

今年集めたのは、1977年~1982年です。6年72冊です。第一期でここに狙いをつけたのは、新耐震導入前後の激動の時代ということと、構造計算でコンピュータを使い始めた黎明期ということと、そこが現在入手しやすい一番古い時代だということ。できれば私の生まれた1975年くらいまで最低でも集めたいです。もちろんその前も。ここからは先輩たちの書庫を狙って??頑張ってみます。

来年は1983~1990あたりを揃えようと思います。また余裕があれば建築技術や新建築など幅を広げていこうと思います。

BX-1(キャノン)

1977~1981の建築知識を深夜に読んだのですが、色々と考えさせられることがありました。特集は秀逸です。新耐震に切り替わるころなので、構造計算のネタが豊富です。大々的な改訂だったことは知っていましたが、ここまで雑誌で特集されているとは思いませんでした。現在、構造計算は複雑になりすぎました。基本的なことは同じなので、この頃の資料から入ると学びやすいと思います。

新耐震になり、二次設計が始まる頃は、一般の設計事務所でもコンピュータによる解析ができるようになった時期と重なります。私の父が始めて導入した構造計算用のコンピュータはキャノンの名機BX-1です。

BX-1

BX-1

はい。広告に載っています(たぶんモデルチェンジ後)。CX-1はCRTが付いていますが、プリンタは別売だった気がします。その点BX-1は一行コンピュータでしたが、プリンタ内蔵で省スペースでした。内蔵ベーシックは使いやすく、小学生(高学年)の私がプログラミングの勉強するのに十分でした。印刷系のプログラムで遊べるのが良かったですね。もっとも、その頃はとっくに現役からBX-1は退役して私の玩具になっていたのですが(汗)。

当時の記憶として、父がBX-1を酷使しており、一行のディスプレイの「ラーメン」と小学生でも読める単語が出てくることに興味を持ちましたね。それが構造計算、というものを始めてみた記憶でした。食べるラーメンと勘違いしていました(汗)。

新耐震が普及する時期とコンピュータでの解析が一般の事務所で行われるようになった時期が重なっていたんですね。マウスもなく数値入力しかできない時代でしたが、それでも画期的で効率的でした。残念ながら当時の計算書は残っていないので、見ることができませんが、興味があります。