1000㎡の木造児童福祉施設の耐震診断に挑む

久々に1000㎡クラスの児童福祉施設の耐震診断を行っている。木造だが都内でまだ、そんな規模の古い施設が残っているのは驚きです。

さて、図面と下見を行ったときに、どのような診断を行うか?議論になったのだが、木造2階建てで、90㎡の広間もあるということで、さすがに住宅の診断ソフトに入力しただけ・・・ではまずいということで、以下の診断方針とした

・基本的な方針は精密診断法1に準拠
これはずばり使える部材、計算できるデータが揃っているから。精密2は魅力だが、使える部材に制約が多いので。軒高などは住宅レベルなので、精密診断法1が適用できると判断した。使用ソフトは、巨大な面積を効率的に入力・チェックできることからHOUSE-DOCとした。もうすぐ建防協の評価の更新だが提出までに間に合うとのこと。それにしてもHOUSE-DOCも機能不足は否めないし進化する可能性も低いので、このような診断で利用するのは今回でラストかな?ちなみに、耐震チェックは巨大な建物に向かない、達人診断は魅力的だが、画面の拡大縮小などよく使うコマンドの操作性が低いことから巨大な建物ではストレスが溜まるということで今回は除外した。

・荷重は構造計算ソフトで計算
安心精密診断のように荷重をコントロールできるソフトはあるので、それを使えばいいのだが、今回は梁のスパンが7mクラスも出てきて、柱の負担も大きいので軸力を計算できるだけでなく、簡単な断面算定も行いたいので、別途構造計算ソフトで計算することとした。使用ソフトは、kizukuriとした。HOUSE-ST1を利用したかったのだが、HOUSE-DOCとデータの互換性がないこと、耐震診断でよく使う部分計算などがしにくいこと、HOUSE-DOCにもっていくデータを作りにくい(計算書をそのまま流用できない)ことから、今までの実績も考慮しての判断です。WD3warpなどでも荷重作成は容易だから、もっている人はチャレンジしてみるといいかもしれません。


予想通りの梁の検定結果。120×450でこんな数字がでる計画をしていれば、何かしらの問題が発生しても仕方が無い。そのしわ寄せがどうでるか?診断者は慎重に調査しなければなりません。

・部分計算は、負担が大きいところを中心に計算
通常は部材計算を行わないのだが、今回は沈下しているポイントがあり、そこは明らかに荷重が集中している箇所だったので、kizukuriで長期軸力を出したあと、負担が大きそうな部分を検定計算することとする。

すごい軸力!!こんなに木造の一部の柱に軸力がかかる計画はどうかと・・・(軸力。単位はkN)

・基礎などはコア抜き、超音波
一応住宅でないし、構造図がないので、これらは実施するものとする。

こんな感じでした。いつもと同じ方法を常に踏襲しないで、特殊な物件は使う道具・ソフトも含めて計画する必要があります。今回も空調服を始め、LED投光器など新装備を多く投入しました。暑かったですからね。現地調査は暑さ対策を十分にして、休憩なども多めに取りました。それでも調査日の翌日はだるかったですが・・・。調査は二日間。一日目にとんでもない発見をしてしまったので、二日目の調査を延期し準備中です。それにしても小動物怖い・・・。

いざというときにソーラー充電器と中型のバッテリー

震災などが発生すると品薄になる太陽光関連。家庭用は助成金が減った途端導入が減っていますが、ポータブルタイプは暑すぎるのか?関係ないけど下火です。それでも価格がこなれてきており、購入するチャンスの時期であるのは間違いないです。在庫ありますから。昔に比べて温度耐性も良くなっていますし、中型のものはアダプターなど含め汎用性が優れています。私がもっているのはこちら・・・

 

この商品、記事を書いている日時点で800超というレビューが書かれている通り、楽天でもベストセラーになっているポータブルタイプの太陽光パネルとバッテリーのセットです。カバンに入れるとか関係なければ、太陽光パネルはコンパクトにたためるし、バッテリーは小型です。そしてほどよい性能と価格バランスが購入検討者の心をそそるのです。

太陽光パネルは、60Wでノートパソコンも直接充電できるレベル。軽量で折りたたみができる商品ながら折りたたみ部分などは頑丈で安心感があります。また防水なので若干の雨が降り始めても安心です。ノートパソコンのプラグなども豊富についています。まあこのセットなので普通はセットのバッテリーに充電するので余計なものは不要かもしれませんが。

バッテリーは本当に小型軽量ながら超多機能です。11.1V 13500mAhとまあまあの容量があります。太陽光パネルで非常用と考えれば十分です。もちろんもっと大きなバッテリーが持てるのならそれに越したことはありませんが。家庭用コンセント、車のシガーソケット、太陽光パネルから充電ができます。うれしいのが、USBが4口もあり、家庭用コンセントもあること。この容量だとそんなにたくさんは供給できませんが、非常時には安心感がある仕様です。

これで扇風機もそこそこ(風量にもよるが5時間程度か?)回せます。携帯も数回はラクラク充電出来ます。なにより災害時に一時的にしのげそうなポテンシャルがあります。一家に一台いかがでしょうか??

こんな感じで庭先で充電しています。バッテリーの小ささに注目。パネルも折りたたむとコンパクトで良いですよ!!

 

 

 

令和初の台風上陸??

天気図を見ると、どうもよろしくない。別に荒天を悪い天気というつもりはないのだが、今週末はいろいろ読みにくそうだ。

太平洋にある高気圧を除いて低気圧に囲まれ梅雨前線が日本を横断・・・。そのうえ、沖縄付近の熱帯低気圧が発達して令和初の台風上陸になる可能性もあります。その影響は関東地方にも及びそうです。難しいのが、これが台風になるのかならないのか?上陸するのかしないのか?がそもそもわからないこと。また今後の天気の予測もかなり流動的だということ。ただ1つ確実そうなのは、西日本を中心にまとまった雨が降ること、全国的に雨模様の週末を迎えそうなこと。

というわけで、ある程度の雨・・・とは異なり激しい風雨ということもありうるので、予め風雨対策を台風が来るときと同様に行っておきたいものです。

地震のマグニチュードの差のおさらい

地震の揺れは震度ですが、その地震自体の規模はマグニチュードです。厳密に言うといろいろあってアレなのですが、そのマグニチュードの数値について。

マグニチュードは地震の規模と言われますが、地震エネルギーの大きさといったほうがわかりやすいかと思います。地震は離れれば震度や揺れは小さくなるのはご存じですよね。なのである地点での震度での地震の規模は分かりません。それを気象庁などが測定して発表してくれているので、大きさや震源がわかるというわけです。

マグニチュードは、1違うと約32倍違います。つまりマグニチュード6と7では32倍違うのです。2違うと1024倍違います。マグニチュード5と7はあまり変わらないように見えますが実際は1000倍も違うのです。

マグニチュード3~5は小地震としているようです。5は震度4程度を発生させることがありますが、被害的には確かに小地震なのかもしれません。5~7を中地震としています。7以下でも直下なら大きな被害がでるので、さすがにこの指標はと思ったら7からが大地震のようです。まあ0.1違えば1.4倍違うわけですからねえ。でも、地震発生時のマグニチュードは、その後修正が加えられることが多いです。なので実際は「目安」程度に考えておいたほうが良さそうです。

今回の新潟の地震のマグニチュードを6.7、新潟地震のマグニチュードは7.5とすると、0.8の差があります。この差はだいたい16倍!!というわけで、新潟地震と同じクラスが今回発生し、被害が少なかった・・・と思うのは早計です。今回の地震は大きいとは言え、比べるとそれくらい小さいのです。とはいえ、M6.7でも記憶に新しい2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、震度7が発生したのですから侮れません・・・。

もっとわかりやすく書くと、東日本大震災のM9と今回を比べると2800倍以上の差があります・・・もう感覚はわかりませんね。それくらい東日本大震災は大きいのです。

耐震化に替えてセカンドハウスという考え方

熊本の地震から3年ということで地震の話題が増えています。熊本の地震にせよ、東日本大震災にせよ、関東大震災・阪神大震災・・・どれも未曾有とか、前例がないとかいわれ、地震に対して我々ができることに限界があることは皆さん理解していると思います。耐震化しても津波には無力でした。大きな揺れではなかったのに液状化だったり。マンションは無事でも周囲やインフラが・・・。他にもたくさん。

その中で教訓にしたいのが、一箇所の無力です。その場所をいくら守っても・・・というのが現状です。特に東京なんて火事も含めて何が起こるかはわかりません。避難所にしても非常に長く避難しなければなりません。「特に東京」はです。

そこで何かあったときに避難できる第2の場所、セカンドハウスを持つというのはいかがでしょうか?何を金持ち主義が・・・と言われるかもしれません。日々の生活が大変!という意見ももっともです。そこで住宅を耐震化するのに中には1千万円以上かける人もいますが、ここは避難も含めセカンドハウスを考えて見ましょう。

何しろ東京にしろ地方にしろ空き家や空きマンションはいくらでもあります。東京圏は高いですが、地方は安価です。普段使わないなら意味がないですが、例えば別荘的に使ったり・・・ということであれば話が変わってきます。バブルの頃のリゾートマンションなんかは安値で販売されています(維持費が高いですが)。これなんかは避難用に最適だと思いませんか?毎年数回別荘として遊びに行けて、いざというときの避難生活の場所とする・・・。別荘だと整備も大変!でもリゾートマンションなら安心です。特に気に入った場所があるならなおさらです。スキーが好きとか、山がが好きとか、海が好きとか・・・。

一時期は宿が安価になっていましたが、今は東京オリンピックやインバウンドで高騰しています。なのでこのような考え方もアリだと思いませんか?時代によって考え方、住まい方が変わるのは当然です。

まあ老朽化して、使い物にならないリゾートマンションも多いので購入には注意が必要だと思いますが・・・。

wallstat ver4.1.0

3月11日に合わせてか?木造住宅倒壊解析ソフトウェア「wallstat」がver4.1.0になりました。4.0.5以降私の環境では若干不安定でしたが年末のアップデート以降快調になっていました。今回はバグフィックスというよろ、新機能の追加が多く楽しみです。重量・Ai分布がらみの強化で構造計算できる人にとっては非常にわかりやすくなりました。要望の多かった柱脚フリーの計算条件選択も出来るようになりました。壁量計算機能が新たに追加されたり、動画に地震動を表示したり、壁の色を変形角に応じて設定する機能を搭載したり、非常に充実させています。

今年から某社のサービスとしても、wallstatを導入していますが、これでプレゼン面でもさらに有効になりますね。あとは計算速度かな??またここまで変わると他ソフトで作ったデータの読み込みが変わらないか?若干心配です。といってもCEDXM関連も強化されていますので、これから使う人にとっては良い方向です。

壁量計算も偏心率を含め計算してくれます。基準法適合状況をお客様に伝えたり、結果だけ知りたいときは便利ですね。品確法や耐震診断、構造計算の地震力による壁量もチェックしてくれます。Ai分布のおかげ??ここまでやるなら見つけ面積チェックも加わりそう・・・。

天災は複合する?北海道で震度6弱

日本は地震大国とはいえ、テレビのような速報性が高いメディアが出来てから日が浅い為、それほど多くの地震例を我々は見ていません。複合的な被害がでるものはあまり見ていないのが実状です。複合するとどうなるか?そんなことを知らせてくれる今回の地震でもありました。

そもそも北海道の大地震例はそれほど多くなく、大雪、大寒波のときの大地震例はないでしょう。しかしこの時期、もっと寒くて大雪の可能性もあったはず。今回は北海道としてはそれほど寒くないときに発生しましたが。極寒だったり大雪だったらもっと被害が拡大したはず・・・そう思うと文字通り背筋が凍る気分です。もちろんその場合は救出も時間がかかりますし、復旧も難しいはずです。今までの前例だけでなく、そのようなケースも考えて行かなければならないと思います。

これは別に北海道に限ったことではありません。新潟など北陸だって大雪との複合災害は気になります。四国などでは、地震と台風なんて組み合わせもあるかもしれません。関東大震災では台風が過ぎ去った後の強風のせいで火災が広がりましたが、台風中だったら火災は減って他の災害が増えたかもしれません(関東大震災の台風は関東を直撃していないけど)。

東京に置き換えると、東京で都市機能が麻痺するほどの地震は、明治維新以降で考えると、「明治東京地震(1894/6/20)」「大正関東地震(1923/9/1)」「東日本大震災(2011/3/11)」と驚くほど少なく、いずれも冬の直撃ではありません。夏の地震は夏の地震でやっかいで熱中症、水分、衛生面など特に注意が必要ですが、冬は寒さ対策など別な注意が必要です。意外と東京は大地震が少ないのです。

都市型大地震でいえば、「兵庫県南部地震(1995/1/17)」が有名です。しかし雪など複合要素はなく、気温は寒かったものの、逆に熱中症などにかかる心配はありませんでした。

災害が起こると、想定してなかった、などとコメンテーターや学者が繰り返しいいますが、被災者はそんなこと言っていられません。過去を紐解き、可能性を考え、自分である程度想定して対策を練らねばなりません。特に大都市東京では、本当に助けが来るか?どれくらいで来るか?は他の地域の地震を前例にしてはいけないほど巨大で想定はできませんからね。自分で何とかしなければならないと思います。

HOUSE-ST1の使いにくいところ、改善して欲しいところ

なまあずステーションユーザーより、聞いた中で確かにここはな、というところありますね。

・梁追加荷重が超絶使いにくい
 バルコニーの手すりとか入れるの面倒です。妻壁が比較的簡単なので、あんな感じにならないかしら??視覚的じゃないので計算書精査しないときちんと反映されているかわかりにくい。追加重量で皆さんやっているのかしら?それとも壁コマンドを荷重伝達を下層のみにして間仕切壁設定で、固定荷重をいじって強引に積載しているのかしら??

・梁入力が面倒・わかりにくい
 下階柱が見分けにくく、梁掛けがやりにくい。梁せいも手入力というわけのわからない仕様。WOOD-STでは簡単に選択できるのに(涙)。一番使うであろうコマンドが一番面倒という不思議な仕様。

・ダイアログの位置が不思議
 これは私から。柱や梁のダイアログの表示位置がおかしく、ノートパソコンなど画面が狭い場合は、ストレスがたまる。HOUSE-DOCのようにサブウインドウにならないかしら??サブウィンドウを自分の好きなようにカスタマイズできると助かります。たぶん3Dの軸組を必ず必要ってシーンは限られているはず・・・

・もうちょっと柔軟性が欲しい
 グレー本に忠実なのはいいけど、もう少し柔軟性が欲しい。グレー本適用外でも法規的、テクニック的に可能であれば、入れて欲しい。梁の上の柱の本数の制限とか、斜め梁の数の制限とか。

・見つけ面積入力しにくい
 初めてでアレ使いこなせたら、すごいと思う。慣れの問題ですけど。

・CAD下図を各階で固定できるようにして欲しい。
 階移動しながら入力するとものすごいストレス

・四号建物の壁量計算モードが欲しい
 やっぱり4号のほうが多いのだから、その程度付けて欲しい。DRA-CADにだってついているんだから。自分で工夫すればそんなに手間がないけど。面倒ならHOUSE-4号付属してほしい。

・品確法の出力が超絶悪い
 改善する予定はないのでしょうか?使う人がいないでしょうから問題ないのかも。耐震等級なら構造計算して出力した方がはるかに楽で安全ですし。

・CAD出力がお粗末
 せっかくいろんなCADに出力できるのだから、もう少し構造図で使えるものにして欲しいところ。

・金物図が見にくい
 これはこれで使いやすいのだから、一般的なソフトと同じように各階柱頭柱脚が出力できるモードが欲しい。

まあ、バージョンアップを重ね、実用性が高まってきたからこそ目立っているだけで、普通の新グレー本対応の形状の建物であれば大きな問題は少ないです。そうでない建物が多すぎるのが逆に問題なのかもしれません・・・。

コロニアルの屋根材の台風検討書にみる今回の台風21号

現在は構造計算が必要な木造住宅では屋根材の耐風性を検討しなければなりません。

木造住宅ではそもそも2階建てが圧倒的であり、構造計算するのは長期優良住宅や耐震等級を必要とする物、木造3階建て等に限られます。なので標準的な屋根の施工方法で施工している場合がほとんどかと思います。

その木造3階建て等で添付している屋根材の検討書で一番メジャーなクボタ松下のカラーベスト屋根の計算ツールで基準風速を入れて検討して見ました(検討はある条件下で木造2階建てを計算した場合です。あくまで一例です)。

まず東京地区で多い基準風速34m。最大の風圧力は1762N/m2です。カラーベスト標準施工の耐風性能値は2250N/m2で余裕があります。東京で34mの風が吹き荒れることはあまりないですので、まあ基準内に収まっているし「普通は」安心です。個人的にはあまり余裕がないな~と感じてしまいます。

40mとなると様相が変わってきます。棟端部でNGが出始めます。つまり標準施工だとそのレベル、ということになります。もっとも東京では・・・ですが、全国を見ればさすがに不安が残ります。カラーベストの補強方法では、補強工法<A><B>なるものもあり、この方法だと飛躍的に耐風性能がアップします。10m以下の場合、標準施工では2250N/m2なのに、補強工法<A>では5900N/m2です。これはかなり強いです。基準法での基準風速の最大は46m(棟端部は3225N/m2)なのですが、これでも余裕でクリア出来ます。

風に心配な場合は、あえて補強工法を選んでみるのも良いかもしれません。

 

大阪府北部地震の地震波

まだ地震名をどう書けばいいのかちょっとわかりませんが、6月18日午前7時58分に大阪府北部で発生した最大震度6弱の大きな地震の地震動の観測データを防災科学技術研究所が公開しました。特設サイトはこちら日経XTECH(日経ホームビルダー)の記事がわかりやすいです。今はこういうのは早いですね。以下日経の記事より。

マグニチュードは6.1と震度の割に小さい規模です。ただ震源が浅めで都市部に近かったこともあり震度・地震動とも比較的大きくなっているようです。逆断層型で震源分布は4km四方の広がりをもつようです。

同研究所の観測した中ではK-NET高槻の揺れが最も大きく最大加速度は806ガルを記録したそうです。これは熊本地震(最大1580ガル)の半分程度です。そして速度・加速度応答スペクトルは0.5秒以下の短周期成分が卓越しているので、剛性が低く耐震性が低めの古い木造住宅よりも、比較的新しい木造住宅のほうが共振しやすいかも?という可能性があります。揺れが熊本などよりも低く、短周期だったことが、建物の倒壊などが少なかった理由かもしれません。もっとも同じ地震でも地域によって揺れは大幅に違いますので、一概にはいえないのですが・・・。