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震度と建物の関係

筑波大学システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻構造動力学研究室のHPには、若干高度ながら、非常にわかりやすく地震について解説しています。

その中に熊本地震でわかったこと、という比較的トレンディかつ、住宅設計をやっている人間は、必見のことが書いてあります。地震研究はまだ道半ば、という感があります。まだまだ新しい地震で新しい発見も出てくると思います。熊本地震は震度7が2回観測される非常に希な地震だっただけに、いろいろな発見があると思いきや、もう少し精査すると更に興味深い事象が見て取れることがわかります。詳しくは同ホームページをご覧ください。

今まで、震度と地震被害が一致しない、ということは言われていましたが、同ページでは震度は、主として周期1秒以下の人体感覚・・・だそうで、建物自体の被害ではないそうです。良く考えれば当たり前のことで、建物被害は地震の周期や建物の固さ、高さなどで変わってしまうわけで、人が感じる指標を用いるのは至極当然とも思えます。もっとも誤解があるなら、きちんと周知してほしいところです。近年長周期地震動の指標ができたり、と徐々に改善されていますが、とりあえず震度7でもあんしん!などと謳っている建物CMなどは、その建物自体よりもその文言に疑問を持つべきでしょう。

このページで「予備知識として」と書いてありますが、震度の大きさと建物被害は関係ありません、とまではっきり書かれています。少なくとも設計者はその意味を正確に掴むべきです。

特に耐震化すると建物が固くなるので、周期の短い地震で逆に被害がでる可能性がでてきます。実際熊本地震でも長期優良住宅が壊れたなどという事例がでています。もしかしたら短周期(0.5秒から1秒)が卓越した地震動では、比較的新しく耐力が高い建物が被害がでるのでは?という予想が当たってきているともいえるのです。

地震をキラーパルスや長周期地震動のような、単一的な言葉で捉えるのが危険、ということもわかります。熊本地震では、キラーパルスに該当する地震動が大きかった地域(一番被害が大きかった益城町)、長周期地震動成分が記録された西原町、やや短めの1秒弱が卓越している地震動が記録されたKiK-net益城・・・場所や地盤によって、同じ地震でも変わってしまいます。その全てに対応することは出来なくとも、確率が高い方向で建物設計することは意味があることであり、他のページでも各周期毎の実験などもありますので、ご確認いただければ、と思います。

個人的には、建物を固めすぎないで・・・という一部の伝統的構法も、恐らく周期が長くなると危険になる可能性がありながらも、短周期の地震には有効かもしれません。固めにつくる現在の耐震等級3などの建物も、伝統的構法の建物も欠点部分に目をつむることなく、うまく欠点を補える方法ができてくれればな、と思います。住宅の構造設計をやっていると、やたら耐震等級3を求められますが・・・その流れ正しいのかどうか?考える時期になったのかもしれません。

 

果たして木造住宅の耐震基準は適正か?

熊本地震で新耐震だけでなく、耐震等級2の建物の倒壊があっただけに、各所で木造住宅の耐震基準について議論されています。

また熊本地震の調査結果がでてきたため、主観ではなく調査結果に基づいた議論も行われるようになりました。

9月12日には、熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会で第三回の報告書の配付資料が公開されました。

全172枚にも及ぶ物で、なかなか全部に目を通すことは難しいので気になるところピックアップ。

益城町中心部の調査結果は、1981年の新耐震以前、2000年の改正以前、それ以後の3つの建築年代に分類して被害を集計しています。

新耐震以前の倒壊・崩壊は27.9%、2000年以前は8.7%、それ以降は2.2%と今回も明確な結果が出ています。無被害は、それぞれ5.3%、20.3%、61.3%とこちらもかなりの差がでてきています。

老朽化などの問題もありますが、やはり旧耐震より新耐震、新耐震より2000年改正以降のほうがより良く、新耐震と2000年以降でも大幅な差が見られることに驚きます。

2000年の改正は、基礎、金物、バランスといった阪神大震災の教訓を織り込んだものでした。

倒壊した建物のうち筋交い端部の金物が不十分なものは調査して確認した68棟のうち、50棟も見られました。筋交い端部の接合方法に弱点があることはよく知られており、現在は筋交い金物を使って接合していましたが、昔は釘打ちなどでした。ちなみに2000年以降にかぎれば7棟のうち2棟が不十分であったそうです。サンプルが少ないとは言え、改正後も不十分な仕様で施工されていることがわかります。

同じく柱頭柱脚金物を確認した95棟のうち、接合金物が施工されているのは29棟であり、その中でも現行規定に合致すると思われるものは4棟でした。この4棟は2000年以降であり、それ以前は現行規定にほとんど満たないことになります(当たり前といえば当たり前ですが・・・)。ちなみに2000年以降でも3棟は規定に合致しておらず、こちらも改正後も不十分な仕様で施工されているものが多いようです。

そう考えると、現在の基準が悪い!と言い切れない部分があります。調査結果を見る限り、2000年以降の現行規定であっても、守られていない建物が非常に多いのです。

これらの結果を精査しながら国は基準の見直しをすると思いますが、我々設計者も設計の基準をどうするか?監理の方法をもう一度見直す良い機会なのかもしれません。

 

活発な地震活動が続く熊本

すっかり熊本地震のニュースも下火になりますが、テレビを見ていると地震速報が依然として多く見られます。

実際余震は多いようで、相変わらず活発な活動をしていることがわかります。

家を壊すほどの大きな余震は今のところないようですが、これだけ続くと心配です。NHKの今朝のニュースによると、先月14日以降の地震の回数は合わせて1285回に達するそうです。

このような地震は過去に例がなく・・・というのは地震学者の常套句でもあります。あの一週間以内に・・・などという予測も今となっては当たったことあるかな~とか思ってしまいます。

過去の研究でわかることといえば、地震はある程度の周期で発生しやすくなる、程度なんでしょうね。そのほかは地域要因などが様々に入り組み実際単純な理論ではないのでしょう。それを一元的に予測や予知ができると前提にする考え方はたぶん駄目なのかもしれません。ただ長年の研究や観測点の設置などで、徐々にわかってきていることもあるのも事実です。自然は人間の考えを大きく凌駕する存在であることには変わりはありません。でもそれに挑んでいくことが人間には必要なんだな、と思います。

長周期地震動 初の「階級4」 熊本地震で

さすがにいろいろなことがあって、最初のほうに何があったか?忘れてしまいそうになる、今回の熊本地震。15日未明の余震で、長周期地震動の階級4が観測されたことは、忘れてはならない事実だと思います。階級4は最大の階級であり、2013年3月から試行的に観測情報の提供を開始してから初めてのことです。(2016年4月15日読売新聞夕刊より。以下同じ)

短期間しかこの測定をしていないにも関わらず、あっさり最上級の階級4が観測されたことは、実際に今までの地震でも同等の長周期地震動が観測されていたはずであり、今後も発生してくることを予測できると思います。何しろ、16日未明の本震でもなく、震度7を記録した最初の地震でもない、M6.4の地震でです。このクラスですと、比較的多く観測される大きめな地震なので・・・。さすがに怖いですね。

気象庁の青木元・地震津波監視課長によると「(震源の)場所の違いによって、長周期の揺れが少し大きくなったのではないか?」と推測しているそうです。また古村孝志東大地震研究所教授は、「海溝型の巨大地震と比べれば周期も異なり、今回は、長周期の揺れが被害の拡大にそれほどつながっていないだろう」と話しているそうです。

長周期地震動といえば、海溝型の巨大地震のイメージがありますが、そうでなくても発生することを示していると同時に、まだまだ長周期地震動を地震計などで危険度をきちんと測れていないことを示していると思います。実際比較的高い建物の被害も多いわけですが、それが長周期地震動の被害であるとしたなら・・・マンションに住みたくなくなりますね。一戸建てより安心、というのは幻想なのはわかっていましたが、更にリスクが高くなるとすれば・・・嫌な話しです。

熊本地震

熊本地震の被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。

おそらく、このような地震が熊本で起きると思っている人は少なかったはず。終わった後に、予想ができた!!という人は多いと思いますが。やはり地震予知は難しそうです。

それよりも、比較的大きな地震がこれだけたくさん発生することは本当に珍しいです。震度7を引き起こした地震が比較的浅くマグニチュードも弱かったのに、なぜこんなに地震が頻発するのか??とは疑問に思っていましたが・・・。

本震らしきM7.3という非常に大きな地震も発生しましたが、まだまだ予断は許しません。

これ以上被害が広がらないことを祈るのみです。