構造計算でまずは手計算を!という違和感

年配の構造屋さんは、構造計算始めるときに「まずは手計算(今なら電卓か?)を」といいます。私もこれは否定しません。しかし以下の点を勘違いするとまったく意味がなくなります。

1:強制したあまり、さっさとこの業界や構造計算自体に見切りをつけてしまう。

2:計算で出たものは解析結果だから完全に正しい

3:計算よりも施工性やその構造の理解がないと、計算できても無駄

1は現在ではかなり重要。建築全体で流入人口が減ってきているのに、せっかく志をもって入ってきた人を追い出すのはまずいです。また意匠設計者や施工畑の人が構造計算をマスターしようとすることは、3の面では非常に有益でありできれば、どんどんチャレンジして欲しいところです。私の会社で意匠設計をやめなかったり、意匠部隊にも構造をやらせているのはそのためです。

2は計算というものが、どんな理論でできあがっているか?を知っていれば勘違いしないはずです。最近は保有水平耐力の計算はコンピュータでなければできない、と思っている人がいますが、昭和56年の新耐震時の書籍などを見れば、手計算も前提としていることがわかります。もちろん実務では手計算でやらないでしょうけど、理論も知らずにコンピュータに入力すれば、ルート1のものもルート3で計算できることのありがたみも感じないかもしれません。節点振分法は電卓があればできるわけですから当たり前といえば当たり前なんですが。計算ができなくても、基本的なことを学んでおけば、そんな勘違いはもちろん発生しません。あくまでルールだと思って作業することが怖いです。

3は、誰でもわかっている内容のはずなんですけどね。意外と構造屋さんはアホな設計をする・・・なんていわれているところを見ると忘れているのかもしれません。私の事務所でも構造部隊が意匠をあまり知らない・・・ということで現在は積極的に現場にも出させていますし、耐震診断などのついでに教えたりもしています。建築は総合的に考えなければならない部分があり、構造屋さんが勝手に計算しやすいように仕様を決めてしまうのは避けたいところです。

手計算の良いところは、計算の手間をかけている間に意外と考える時間があることです。瞬時じゃないので、数式の理解や暗記、記号の理解などが進みます。何もしなかった何も進みません。やってみるとわかりますが、手計算で手書きで計算書を作るのと、エクセルで作るのは違います。両方とも良い部分があり、手計算だと作業になってしまいがちの部分を、エクセルなら式を理解して入力するという作業もできます。私は手計算は最低限に、エクセルで理解をしながら計算書を作り上げる、という手法がいいのでは?と考えています。もちろん人によってタイプは違いますから向き不向きはあります。一貫である程度どのようなことをやるか?を知ってからでもいいと思います(実務という意味ではなく流れという意味で)。目標点が見えないと学習しにくいですからね。電算出力を学ぶというのもいいと思います。学ぶ手はいろいいろあっていいと思います。手計算は大事だけど、まずは手計算!って強制的に考えるのはどうかと思います。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。