昨年から立て続けに木造3階建ての耐震補強を行ってきたのですが、木造2階建てとは異なる感想が返ってくるのが驚きです。
 木造2階建ての耐震補強の場合、「地震がこないとわかんないよ」と言われるし、私も説明していますが、住んでいて、補強のメリットを感じることは少ないです。だいたい一緒にやったリフォームを誉められたり、快適になった設備に満足することが多いのです。
 しかし木造3階建ての場合、様相が違ってきます。「揺れが止まった!」「安心感がガラリと変わった」「風で揺れなくなった」・・・など建物の耐震性に関する褒め言葉が先に来るのだ。それだけ木造3階建ては揺れやすく、また補強の効果を実感出来る・・・ということでしょうか?
 もちろん、補強に関する知識、技量は木造2階建てとは比較になりません。構造計算書を読みこなさなければなりませんし、その時代時代の特性を掴んで診断しなければなりません。ほとんどが準耐火ですから、迂闊に部材を剥がすこともできません。また補強することによって、逆に弱くなる部材などもあるので、計算ソフトを駆使しながら解析していきます。耐震診断ソフトだけでは無理があり、構造計算ソフトやexcelなどを駆使します。
 補強をするとどうしてもアンカーの耐力が不足してしまいます。そのあたりをどう改善し、補強するかが鍵となります。また揺れが止まったように見えても揺れの質が変わっただけ!ということもあり得ます。補強前、補強中、補強後、できるだけ数多く現場に通い、データを取っていこうと思っています。

投稿者 しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。