では、五重塔には住めるのか?

 構造設計の仕事をやっていると、「昔は5階建てでも木造はできたのに」「五重塔はすごすぎる。なぜ現代に活かせないのか?」など特に五重塔を題材に現代の建物を矮小化し過去の建物を賞賛する人との会話が増えてきます。否定も肯定もしませんが、一つ言えることは、「五重塔に住めるのか?」というポイントです。
 五重塔を免震構造だ柔構造だといっていますが、そもそも設計方法がどのように確立されたかは完全に解明されているわけではありません。たまたまバランス良くたつ方法として伝承されたのかもしれません(なわけないか・・・)。そして住居用の五重塔は一戸も残っていないという事実です。
 言うまでもなく五重塔があるのはお寺です。まさか住職や寺の偉い人が住むために・・・とは思わないでしょう。五重塔は仏塔なんですね。5重の屋根があるから五重塔なんです。古代インドのストゥーパに起源をもっていそうですが、それが中国に伝えられ高層化し、朝鮮を通って日本へ・・・という伝播です。まあ日本人が素直に真似するわけありませんので、独自に発展していきます。中国の場合は、最上階まで上れるものも多いらしいのですが、日本の五重塔は五階建てというわけではなく、上階に上れないものが多いみたいです。まあ中央に心柱があるわけですしね。その点お城の天守閣は異なり、一番上から見渡すという意味もあり、中には見かけの層よりも階数のほうが多いという天守閣も多かったりします。
 住めない塔と比べても仕方がないと思うのですが・・・。そういう意味では五重塔は電波塔などと比較するほうがいいのかもしれません。相当揺れますしね・・・。
 と考えると城の天守閣はすごいですね。ただ小田原城天守閣は、元禄地震で倒壊、丸岡城は、昭和まで耐えたが福井地震で倒壊、伏見城は、天下人豊臣秀吉のもので完成したばかりなのに、慶長伏見地震で、倒壊しました。人が住むためのものは、もう一つグレードが高くないと難しいようです。
 といっても五重塔が地震に強いのは確かなようなので、今後の研究で、その技術を住宅などに取り入れられたらな~とは思っています。