木造3階建てのみならず、木造住宅は、構造計算をしなければ!との声が増えています。私もこの意見には賛成でした。今もその考えには変わりがないのですが、ちょっと心が揺れています。
 構造計算は数値的に、法的な基準に対して安全かどうか?出てきます。しかしこれは指標の一部であって、建物の絶対的な強度や揺れ方の基準ではないのです。もちろん基準を守ることは大切です。これは過去の研究などによってはじき出されたもので、何の根拠もないものではありませんから。
 最近も工事の過程で、数字がほとんど変わらない補強で一定の効果を上げました。そして木造3階建てでも似たような手法を取り入れて効果がでました。あくまで欠点を是正しているだけなのですが。昔から言われていた住宅設計の原則を守らないで設計する設計者が増えたからでしょうか?計算至上主義の設計者もいらっしゃいますし。やはり建物の基本原則は守るべきものであって、それを守らない場合は、それなりの補強や対策が必要なんだと。そしてそれをやることが設計者の仕事の一つであると。そして設計の無理はやはり避けるべきだと。
 もちろん物理の法則通り、ある程度の強度がなければ、それも無理なわけで、古い建物の耐震補強は絶大な効果があるはずです。ただ効率的にできるかどうか?効果的に補強ができるかどうか?そこが設計者の腕の見せ所なんだな、と感じます。

投稿者 しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。