非近代的な労働環境

 私は大きな会社の人事部にいたため、この業界に来たときは様々なことに衝撃を覚えました。まず小型の設計事務所で人を雇っている事業所は労働基準法の「ろ」の字もわかっていないし、守られていないこと。長時間労働はもちろん、健康保険も厚生年金もかけていない。もちろん労働保険(雇用保険・労働保険)もかけていない事業所が多いのだ!こんな時代になぜ??と思ってしまうほど労働環境が悪いのだ。しかも労働時間は長く残業代も出ない。給料は低い。簡単に所員を首にする。なぜこんな環境なんだろうと思ったものです。しかしながら経営も古代的で、行き当たりばったりの状態。しかもそれが当たり前だと思っている。もちろんそうでない事業所も多いんでしょうけど驚きました。
 だから私は建築設計事務所の労働環境の整備をライフワークにしようと思ったものです。しかし道は険しいです。設計事務所の経営の不安定さ、仕事量に比べ報酬の少なさ、資金回収の難しさ・・・私も身をもって経験しました。
 人を雇うという責任は非常に大きいものです。大変だからと行って法律を破ってよいわけはありません。建築の人間は平気で建築基準法の網の目をくぐり抜けようとする習性があるので、労働基準法その他労働法も同じように考えているんでしょうか?そんな状態では良い人材が流入してくることを阻害し、流出してしまうと感じています。コンプライアンスは建築関連法規だけでない、ということを忘れてはなりません。
 もっとも不景気なうえ、その他環境も悪化している現状、そんなこともいってられない!という部分もあります。問題は根深いのかもしれません。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。