振動台実験での素朴な疑問

 今回の木造3階建ての倒壊実験の話題はネットでは盛り上がっていますね。ネットの面白いところはいろいろな人が意見を気軽にいえること。もちろん間違った情報も多いのかもしれません。しかし人がどのように感じたか?ということを知ることができるのは重要ですし、すばらしいことだと思いますね。
 で、素朴な疑問なのですが、建築基準法適合の木造住宅は、実は結構危ないのではないか?という意見。そもそも木造3階建ては構造計算されている時点で、木造2階建てよりも地震に強い場合が多いです。なぜなら建物の重量をだし構造計算する場合、木造2階建てでも壁量計算を行った場合よりも壁が必要なケースが多いからです。壁が多いことは一般に地震に対して強いのです。阪神大震災でも旧来の基準で立てられたにもかかわらず、木造3階建ての被害は少なかったと記憶しています。
 今回の実験はかなり強い地震波(基準法の1.8倍)なので、倒壊は仕方がなかったのかもしれません。しかし、このクラスの地震は発生する可能性は否定できません。また耐震等級2よりも小さい住宅も多いうえ、古い木造住宅の補強設計で果たして安全なのか?などさまざまな疑問点が出てきます。
 構造屋の営業&経営者として、どのように伝えていけばいいのか悩みますね。今回も続々と新しい資料が集まってきていますが、写真や映像をみると、また新しい事実や考えが頭に浮かびます。しばらくは頭から離れそうにありませんね。
 会社でも手元資料で構造計算ソフトに入力したり、石膏ボードと合板の挙動の違いを改めて整理したり、金物の破断状況から、どのタイミングでこうなったのか?など調べています。

引き抜かれた金物
 まあ、倒壊したときなので金物がこうなるのは仕方がないことなのかもしれません。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。