困った設計者

 構造計算を依頼する設計者の中には、困った方がたまにいらっしゃいます。それぞれ専門分野が違うので、こちらも丁寧に説明させていただいております。それでも理解されない方もいらっしゃいます。

 まず壁量計算で安全を確認したのに、構造計算でNGとはどういうことだ!という類の話。一番多いです。構造計算を依頼するのに壁量計算をされる姿勢は評価できます。しかしそれぞれの違いを理解して欲しいものです。構造計算では建物の形状や重さによって必要とされる壁量は可変します。床面積と見つけ面積だけで決まる壁量計算より精度が高いのです。ですから壁量計算より壁量が必要になるのは自然のことです。ここまで言っても理解してくれない方もいます・・・。

 また壁量計算で満たないから構造計算でなんとかしてくれ!という依頼。こちらは魔法使いではありません。壁量計算は構造計算の基準より低い基準なのでそれを満たしていないで住宅は建ちません。確かに木造の設計では告示1899号を適用し壁量計算をしなくてもいい構造計算ルートが存在します。しかし住宅レベルに適合するのは非常に難しく大断面集成材を使った大規模な建築物、もしくは大臣認定を使った木造ラーメン形式などでしょうか。それを説明したら、おまえの腕が悪いから出来ないのか?と言う方や保有や限界耐力ではどうか?という方もいます。まあ勉強してから他に依頼してください、としかいえません。少なくとも短納期で安い価格でやらなければいけない場合は無理でしょう。

 構造偽装事件から建築基準法改正で、だいぶ上記のような設計者は減ってきました。非常に好ましいことです。講習会も多く、参加される設計者も増えてきました。しかしまだまだと感じます。構造屋も、国や各種団体だけに任せておかず何かやれることがあるのでは?と感じます。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。