今更ながら新グレー本(木造軸組工法住宅の許容応力度設計2008年版)

 木造構造計算のバイブル的存在の通称グレー本(木造軸組工法住宅の許容応力度設計2008年版)が改訂されて半年。講習会なども実施されたが、イマイチ話題が少ない。私個人の見解ではあるが、旧グレー本よりかなりわかりやすくなり、省略できる計算も増えたので、いい方向に向かっているのでは?と思う。しかし相変わらず誤植が多く、発表された正誤表も10ページ以上!図が入れ替わっていたりという単純ミスから、数式が違うという致命的なものまで様々。ネットを使っている人は正誤表を入手しやすいが、使っていない人は要注意です。もちろん計算例も誤植のオンパレードなので、こちらは丸々差し替え用のPDFが用意されています。旧グレー本のときもそうでしたが、普及するまでに改訂版が出てしまいそうです。
 私も某講習のレジュメでも書きましたが、床倍率の倍率の概念がなくなり直接耐力で計算できるようになり、特定の条件下では計算不要になったり、横架材接合部の計算も省略可になったり、告示等では2階建てで認められていた4分割法やN値計算も可能になり、構造初心者には参入しやすいようになりました。
 また仕様についても明記されたので、構造設計、木造をあまり知らない人でもわかりやすくなりました。
 壁の剛性が筋かい・面材では1/150は従来通りだが、木ずりや土壁のときに1/120になった点など微妙な変化もあり、熟読が必要です。従来のわかりにくかった壁倍率の上限も、許容応力度計算では、耐力表示となり、壁量計算では5倍以下と明記されているので勘違いする人も減るでしょう。偏心率の計算もあいまいさがだいぶなくなりました。わかりにくい梁上耐力壁も
略算式が記載され実用的になりました。
 横架材の断面欠損については、詳しい実験データが付き、従来より複雑になりました。プレカットの断面欠損が従来考えられたより大きかったようで、今後注意が必要なようです。
 土台のめり込みは今まで技術者を悩ましていた短期は検定不要になったようです。告示との整合性がとれていないので、今後運用をどうするのか要注目です。
 このように全体的に検討がしやすくなりました。もっとも構造計算ソフトを使う場合は、あまりメリットはないかもしれませんが。とにもかくも早く正誤表なしで安心できるテキストになって欲しいものです。