最近の住宅は本当に地震に強い??

 最近、耐震診断を行っていて思うこと。最近の住宅は地震に対して強いことを自慢にしてい販売しているようだが、本当に強いのだろうか?
 確かに多数の事例に基づき専門家等が研究の上、定められた現行制度。正直私も、きちんと建築基準法の理論通りに建てられた住宅であれば、普通の大きめの地震であれば大丈夫だと思うし、それ以上の性能は用途にもよるが、過剰性能だと感じています。
 しかし、実際に現場に出て行くと疑問に思えることが多いです。集成材や金物の多用。構造用合板に頼った構造、複雑な間取り・・・。不安要素がないわけではないことを感じます。
 集成材は強いというのはある意味正解でもあり間違いでもあります。しかし著しく強度アップ(もしくはダウン)するような魔法の道具でないことだけは確かです。斬新な意匠設計のために無理な架構をしているケースもよく見かけます。また金物が多ければ緊結できる反面、欠損が多くなるし、ヒートブリッジなどの問題も発生し木の寿命を短くする可能性もあります。構造用合板は、経年劣化しやすいことが知られており、住宅の置かれた環境によっては釘も含めて長期間性能が維持できるかどうかは不安が残ります。構造用合板に変わる建材も発売され、利用されていますが、一長一短があり、特に水に弱いものが多くです。
 それに輪をかけて心配なのが技術者の技量不足。熟練した現場の職人さんが激減しています。また構造計画を熟知した建築士も不足しています。高機能を売りにする住宅メーカーや定格を売りにする建売屋や低価格注文住宅会社に対抗するには、奇抜なデザインなどを売りにするのは仕方がないのかもしれません。しかしそれを安全に実現するための構造設計が出来ていないことが意外に多いのです。何も考えていない吹き抜け、やたら開放的な間取り、スパンが飛んでいる広いリビング、オーバーハング・・・。計算上可能でも現実には無理が残る場合が多いです。正直最近、構造計算を請け負うこと自体ためらいたい物件が多いです。
 まあ、職業柄耐震や耐久性に目がいきがちな私ですが、当然別な視点を否定するわけではありません。ただ最低限の安全を確保しないで、自分の好き勝手に設計することだけは避けて欲しいと思っています。構造は構造屋や大工が頑張ればいい、と思っている設計者が未だに多くいるのは残念でなりません。