改正建築基準法の迷走

 改正建築基準法が施行されて約2週間。様々な混乱が既に起こっています。もちろん過去の基準法改正も大きな変化が起きたことがありました。しかし今回決定的に違うのは、罰則が大きく強化されたのに、その基準が曖昧かつ現実的でなく、設計・審査するのが非常に怖くなったことです。民間の確認検査機関のみならず役所の担当も「今は受け付けたくない」と本音を話すことが多いです。審査するにしても基準が良くわからず、また現実的でないので指導、審査、確認することが本当に良いのか迷っているようです。そんなわけで確認申請はストップしていて非常に困っています。
 木造も変化がない、といわれていましたが「構造計算概要書」の書き方で非常に困惑しています。こんなもの構造計算や設計の内容に何も関係ないのに書かされる。しかも木造では不要、かつ検討もしないような内容まで含まれる。今日も講習会で、この概要書を発行するだけでプラス「7万円」は必要よね。と話していました。私も同感ですが、お客様はこの金額を負担してもメリットはありません。偽造やミスを防ぐ適合性判定や他の法規改正は、良い建築ができる(これも疑問が多いのだが・・・)のでコスト増になってもメリットはあるでしょう。むしろ今までダンピングが横行していて健全でなかったと見るべきで、値上げじゃなくて健全化の方向に向かって欲しい(実際どうなるかわかりませんが)。しかしこの概要書は何の意味もありません。せめて鉄筋コンクリート造と木造は分けて欲しい。また書き方なども指導してほしい。サンプルもない状態だとどうすればよいかわからない。構造設計者は現在、受注を止めているところが多いです。
 しかしこのような現状をテレビが放送しないので、世間一般に知れ渡らないことが非常に問題です。しばらく待てば状況が良くなる、かもしれませんが、このような状態が一時的にせよ発生していることは大問題です。今日も構造屋サンがいっていました。「もうやめたい、でも俺たちがやめたら建物が建たなくなる時代も近いかもしれないな」といっていたことが印象的です。確かに若い技術者は数は少なく育っていない・・・。竪穴式住居に戻るのかな・・・。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。