地盤改良・地盤保証のわな

 住宅でも最近は地盤調査が義務付けられ、地盤のトラブルが減少しています。これは非常に喜ばしいことです。しかし地盤改良が必要がなさそうなのに「念のため」といって地盤改良をする場合があります。地盤保証のためです。
 実際、地盤保証のための地盤調査は、判定がやや厳しいと感じます。なんでこれで改良工事が必要なの?と首を傾げたいシーンもあります。しかし土の中のことは実際わかりにくいこともあり、お任せという場合がほとんどでしょう。地盤改良も余裕十分といったタイプのものや、法的には根拠がない計算式で求めていたりと少々不安な業者も見受けられます(10年保証の地盤改良で役所の検査が通らなかった現場を見たことがあります)。まあ安全を求めるのはいいのですが、不安な要素もあります。
 現在はコストダウンのため、住宅レベルではスウェーデン式サウンディングという手軽な方法で地盤調査を行います。地盤調査は方法により得意不得意があるため、スウェーデン式サウンディングでは不安な場合もあります。私が今回見たデータはたった3mまでしか調査データがありませんでした。スウェーデン式ではロッドを刺していくため、途中で貫通不能な石や砂利層があるとそこで調査は終了してしまいます。まあ地盤がそれ以降悪くなければ問題ないのですが、心配です。またスウェーデン式サウンディング自体がそれほど信頼性が高くないのも不安材料です。だからといって何でも地盤改良を行うという姿勢には疑問が残ります。
 現在の地盤改良はコンクリートを使っています(鋼管杭の場合もあります)。しかし、そんなものを地中に埋め込んだら、後で立て直すときなど心配です。撤去もお金がかかるし、近隣に振動など悪影響を与えるかもしれません。そんなに遠くない将来の話なので心配です。本当に必要な場合はやるべきでしょうが、そうでないときは、基礎の設計や上部設計で改良しなくても安全なように努力すべきであり、そういった工夫が建築士の頭の中から消えているのが不安でなりません。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。