耐震性能の数値化の無意味

 耐震偽装事件以来、どうやったら耐震性能をわかりやすく説明できるかを研究してきました。偽装事件は数値だけが一人歩きし、構造技術者も?な状態にあります。私は耐震性能を表す指標を過去の物件に照らし合わせながら、又は他ソフトでの解析結果を照らし合わせながら、いろいろと考えました。
 しかし、同一数値でも、実際地震が来たら明らかに性能が違うだろうな、と思えるケースや、分析方法などによって、数値がひっくり返ることも多々あり、改めて数値で表すことの難しさに直面しています。また私が数値化を目指している木造では、耐力壁などの目に見えた耐力以外の不確定要素の耐震要素が多々あり、その評価はもっと難しいです。近年、耐震診断技術の進化により、それらを簡単に評価する手段はできました。しかし施工がきちんと行われたかは別です。合板耐力壁は、釘のピッチやめり込みで大幅に強度が変わります。
 別の問題として構造計算や軸組計算のテクニックで、計算方法の弱点をつき耐力要素を減らすという方法があります。偽造とは違いますが、あまりお勧めできません。
 雑誌やテレビ番組を見ていて、筋交いなどの施工を見せている場面がありますが、まったく有効でない部分に取り付けたり等の力の流れを考えない設計を良く見かけます。こういった建物は耐震強度的(法的)には「適法」といわれるのかもしれませんが、構造的には「まずい」のです。そもそも木造住宅の壁量計算の規定自体があいまいですし、建築士が内容をよく理解していないという現実も問題です。
 数値を追うことも必要ですが、現実的に良いものを作る能力と努力が必要だと感じます。