地盤調査の怖さ

 最近では、戸建住宅でも地盤調査を行うようになりました。非常に喜ばしいことです。しかし、この地盤調査を元に設計するということは非常に難しいと近頃いつも感じます。
 住宅の地盤調査で代表的なものはスウェーデン式サウンディング(SWS)という方法。これは、スクリューポイントを地面にねじ込みながら地盤に回転貫入させることで地盤の固さを判断するもので、手動式と機械式があります。装置も小型で経済性、作業性に優れた調査です。
 しかし、試験者の経験、能力、装置の種類・メンテナンスの精度、地盤の種類によって、調査にバラつきがでるのが怖いです。試験は安価で行える半面、行う人の技量が問題です。また先が鋭いスクリューポイントはどんどん劣化していきます。また礫や大きな石、コンクリートがらなどが多いところでは調査自体が難しいです。調査ポイントも数が少なければ安価だが、やはり納得のいく数とポイントで調査すると割高になる場合もあります。
 また、他の調査と併用すると、必ずしも同じ結果が出るとは限りません。どの調査もそれなりの欠点をかかえており、設計者はその内容を熟知しておく必要があります。
 そんなわけで、調査結果を読みながら不安になります。周囲の状況や、近くの調査結果、歴史的な部分などを類推しながら総合的に判断することにしています。また府中近辺なら、ローム層を目視で確認したりと、出来るだけ万全になるように気をつけています。最近はSWS方式も、土を一緒に採取し地質を調べてくれたり、工夫される業者も増えてきています。今後も改良され良くなっていってくれるといいのですが。
 役所によってはSWS方式だけでは駄目!という役所があるのはこういった欠点があるためです。私は規模が大きくなったら、SWS試験と載荷試験や表面波探査試験との併用をお勧めしています。またSWS試験にかえてボーリング試験も良いかもしれません。建物の規模とその地域の地盤特性によって試験方法を選択し、出来るだけ精度が高く、安全に、安価に出来るように工夫する必要がありそうです。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。