精密診断法2の限界耐力計算

 現在の木造耐震診断は、方法が非常に多い。精密診断法も1と2があり、2も3つに分けられる。ただ通常の「精密診断」は「精密診断法1」です。2は非常に高度な技術が必要です。またきちんとした診断をするためのデータも不足気味です。全体的に精密診断法1より高度です。
 その中で私が挑戦しているのは、前から書いているように「限界耐力計算による診断」だ。もちろんメリットがなければ挑戦する意味がないのですが、メリットはあります。
 そもそも限界耐力計算とは耐震偽装のときにもクローズアップされましたが、非常に最近の計算法で木造の場合も平成12年度から利用が可能になりました。しかし国から計算方法が公開されるわけでもなく、データも不足していたので利用する人も少なかったです。

伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル

 がでて、方法がなんとなくわかるようになりました。耐震補強のほうがメインの内容ですが、頑張れば新築でも利用出来るようになりました。今年になって(財)日本住宅・木材技術センターから「木造軸組工法住宅の限界耐力計算による設計の手引き」が発売されて新築でも利用方法が明確に示されるようになりました。私の場合、新築では許容応力度等計算で精一杯なので手をだしていませんが。
 さて、耐震補強で限界耐力計算による方法を利用するメリットは、通常の診断法と異なるアプローチが出来る点に尽きます。特に制震部材を利用しての補強が気軽に出来るのが最大のメリットです。また、ある程度傾いても倒壊しなければよいという考え方から、許容変形角も大きく取れます。これは、通常の精密診断法より、補強の方法を選べるので、大地震時に少々の損傷ですむように補強するか、倒れなければ良いレベルで補強するかを選べるのです。より補強に自由度を持たすことができます。このことは、費用にも大きく響いてきて、場合によっては精密診断法1のときよりかなり安価に補強出来るケースも存在します(逆もありそうですが)。
 私の試験段階での結果を見る限り、診断は通常の精密診断法1と併用したほうが良いようです。また有利か不利かは建物によって違うのでその判断が出来るだけの材料がないと無駄なアプローチになってしまう可能性もあります。もうしばらく机上での実験が私には必要なようです。
 限界耐力計算による方法を耐震診断する場合、今のところ手計算か自作の方法がメインです。私の場合もエクセルを利用しています。最近ではインテグラルが「耐震診断Pro」のオプションとして「限界耐力計算オプション」を発売したので興味がある方はインテグラルのHPを参考にしてほしい。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。