先日、耐震診断の講習会でN値計算法という金物計算の方法を講義してきました。新築住宅では金物選定や金物補強は当たり前のように行われておりますが、耐震補強ではまだまだかな?と感じていたので今回の講習会の題目に追加しました。
 N値計算法で計算すると、まったく補強されていない古い住宅には金物はほとんど必要ない、ということがあります。しかし世の中の業者のなかには、そんな建物に金物さえつければ地震で大丈夫!といっている業者があります。言語道断です。しかし補強したのに金物をつけない古い考えの業者もいます。こちらも言語道断です。また選び方すら知らない業者も多く、そのような業者は即刻耐震補強の業務から手を引いて貰いたいものです(引かないならちゃんと勉強してちょうだい!)。
 実は金物算定の方法は非常に難しいのです。建物の重量を出して、地震力を算出して、柱一本にかかる軸力を出して・・・と構造計算をしなけらばなりません。しかしながら、現在は告示1460号やN値計算法という簡易な算定方法が開発されて、実は誰でも簡単に金物を算定することが出来るようになりました。耐震診断ソフトや住宅CADソフトにも標準でN値計算機能が添付されていたり、オプションで用意されるようになりました。告示1460号は表から選ぶだけ、N値計算は足し算、引き算、掛け算ができれば小学生でもできます。まあ計算や選ぶことができるというのと、設計が出来るというのは別物なのですが・・・。
 金物算定をすれば、いたずらに大きな金物を取り付ける必要がなくなります。逆に本来必要な金物を過小に評価し金物不足になることを防げます。巨大な金物はお金がかかるだけでなく、木材や基礎に穴を開ける数が大きくなり他のトラブルを誘発する可能性が増えます。
 耐震補強ではそれほど神経質に成らなくても!と思う方もいらっしゃるかもしれません。私もそう思います。しかしあとから補強した部位は工事を行っているので金物施工はたやすいです。建築士やプロを自認する方ならプロらしい仕事をする必要があるのではないでしょうか?
 私なんかの話を聴講してくださった方々は真剣に聞いてくれました。感謝です。なんらかの形でお役に立てていただければと思います。

投稿者 しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。