構造強度は構造屋だけが決めるものではないのです。

 会社で座席のお引越し。今までの営業席を明け渡し設計の席に移動。これで4月に入ってくる新人のお隣に居座ることになり教育係となることが決定的なようです。
 さてさて、一般的に構造計算屋が耐震強度を確定させていると思っている方が多かったので、ちょっとだけ説明。
 通常、建物を設計する場合は、間取りや外観、高さなどを意匠の建築士が設計をします。この際、構造を考えて実現可能な建物を設計するのです。成り立たない建物の設計はただの絵に過ぎません。建築士は構造を知らないなんてことはありえないのです。構造計算をできないのと構造を知らないのは別次元です。
 ですから意匠の建築士の有能な方は構造についていろいろ注文してきます。それに応える有能な構造設計の人間がいればいい建物が建てられるかもしれません。しかし私の周囲で構造に注意を払って設計する意匠の設計者は少なく、大抵は、こちらに指摘されて無理があることを実感するのです。前にも書いていますが構造設計は基本的に物量なので、ある基準以下であれば設計は不可能になります。木造住宅でいえば耐震壁が多いか少ないかで、基準以下であれば立てられません。でも耐震壁の数なんて数えりゃわかるので、それすらしない建築士は怠惰以上の何者でもありません。でも確実にそういう人間が存在するのです。
 というわけで、建築士はプランニングの段階から構造を頭に描きながらプランを作成する義務があります。多少のことは構造設計になってから考えるというのもありですが、やたら広い空間(某マンション業者の場合のような)や、突飛なデザインには注意が必要です。ですから構造性能は構造設計者だけで決まるというのは間違えです。よく「お客様の要望を応えてあげたい」と一見、非常に客思いに聞こえる言い方で、無理なプランを注文してくる建築士がいます。でもこれは間違いです。耐震性能は今や必須であり、特別なことではありません。客を危険にさらすかもしれないことをこの建築士は理解できないのでしょうか?
 でも逆に我々構造屋がプランニングを行うと「つまらない」プランになりがちです(私が未熟だから??)。やはり両方は無理です。私も意匠を担当するようになったら構造はほかの人間に任そうか?などと考えてしまいます。やれやれ・・・。