最近、他人の耐震診断を見る機会が多くなっています。便利な耐震診断ソフトが増え、ソフトがあれば耐震診断ができると勘違いしている方も多いようです。
 ソフトの入力は、このなまあず日記で過去紹介したソフトは非常に簡単です。しかし、耐震診断ソフトといえども、「構造用ソフト」であることは間違いなく、使いこなすには、ソフトの仕様と耐震診断の理論に精通する必要があります。この点で非常に疑問に思える診断を多く見ることは、非常に残念に思えます。
 無料でやるサービス、営業用、様々な考え方があると思いますが、ソフトや診断方法の最低限のルール、仕様を下げてまでやる必要はないと思っています。そういう方は論外と考えていても、「自分はできる!」と思い込んでいる人も多いのです。
 精密診断をするためには、実は構造計算の基本も多少押さえておく必要があります。品確法や建築基準法の構造関連も当然必須です。それなのに、そのあたりを知らずに耐震診断を行う人が多いです。これは悲しき事態です。
 一例では、ラスシートとラス下地では全く違うのにラスという言葉にごまかされ入力を間違えたりといった判断ミスが多いです。床倍率の概念がわからず、入力データがあっているか判断できない点。計算結果の表を見て何も判断できない、というより見ようともしない方も多いです。構造計算の理論はともかく、耐震診断の計算式は非常に簡易でほとんどは中学生でもわかるレベルなので表を見れば確認できないはずはないのですが・・・。私は自分で耐震診断の理論をある程度勉強し、エクセルで計算ソフトを作ったりしたことがあるのでわかります。ソフトは確かに便利ですが、なぜそういう風に動作するのか、を確認しないとソフトのミスにも気がつかず、ソフトの仕様にも気がつかず大変な判断ミスを呼ぶ可能性があります。
 というのも、この手のソフトのバグは非常に多く、また耐震診断に関してはマニュアルの記述も曖昧な点が多く、解釈は必ずしも統一されてはいません。ですから自分できちんと勉強してから、理想では手計算でも出来るレベルに向上できるよう、努力すべきと考えています。

投稿者 しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。