免震住宅がクローズアップされるなか、リフォームでは免震は難しいという現実があります。現在の住宅は耐久性はともかく、耐震性に関しては免震にしなくても、ほぼ大丈夫という状況なので、リフォームにこそ地震対策が必要と思われます。免震は価格的にほぼ不可能と考え、数年前から制震に関して研究を重ね、実際リフォーム工事で制震をいくつか採用してきました。
しかし、住宅用の制震は比較的新しいテーマでまだ良くわかっていない部分もあります。また誤解されている部分もあります。まずほとんどの制震は、「耐震構造」が前提となります。ある程度の堅さがなければ効果がありません。
これは制震が建物構造が変形する勢いを弱めるのであって、勢いをなくすわけではない点からです。
展示会で大手のハウスメーカーの制震部材の担当の方にこの点を質問したら、「装置をつけたら、それで地震対策がすべて、と誤解されないように説明しています」と回答してくれました。逆にそのあたりのバランスが難しいようです。
最近、制震金物をつければ大丈夫のような表現をする方がいらっしゃるようですが、設計自体も難しいのです。メーカーによっては設計はメーカーが行うようにしているのはこのためです。
よって、きちんと制震の意味を理解し、設計方法を熟知している設計者に設計してもらえないと制震は危険です。制震装置をつけると逆に地震の揺れを増幅させる事例や、ほとんど効果がない事例も報告されています。
しかし、使い方さえきちんとしていれば、低価格で効果的な補強になるので可能性は非常に高いです。メーカーのほうの使い方に関する指導の充実と設計者の技量のアップに期待しています。