耐震診断の種類による比較

 現在、木造の耐震診断の種類による比較検討作業を行っています。というのは最近旧耐震診断と新耐震診断の違いを問われることが多いからです。無料の耐震診断が旧耐震診断が多いのは周知の事実ですが、それが本当に古くて悪いのか?それぞれの診断の欠点は?補強時の違いは?などなど興味が尽きません。ソフトの違いなども興味のあるところですが、今回は耐震診断の種類による比較です(使用ソフトは新診断がHOUSE-DOC、旧診断が診ノ助、安心精密診断、構造計算との比較ではKIZUKURIを利用)。
 さて大まかにいうと、新診断のほうが、数値のぶれが少なく、旧診断より良い点が出やすい傾向があります。また新診断でも一般診断より精密診断のほうが良い点が出やすい傾向があります。しかしながら、すべてがそうであるわけではなく、ばらつきがあります。
 診断者(自分)の立場で評点と印象のぶれが少ないのは新診断の一般診断です。これは私が一般診断の量をこなしているから、という部分が大きいので何ともいえません。しかし劣化度の評価方法や壁の評価方法から、今後一番採用しやすい診断であることは間違いありません。しかし逆にいうなら、熟練していない診断者でも診断できるというメリットが逆作用し、いい加減な診断が増える気がします。やはりプロなら精密診断をしたいものです。
 しかし精密診断をするのは技量以外の部分での困難を伴うので普及はかなり難しいような気がします。お客様がそこまで求めるのかも疑問が残ります。予算の問題もあります。
 旧診断の欠点は、やはり部分的な劣化度を評価出来ない点でしょう。良く基礎だけで評点が決まってしまう、と揶揄されますが、これはこれで良いと感じています。なぜなら悪い基礎で大地震に対して持つ補強を行うことは非常に難しいからです。基礎をきちんと直しなさいよ、という警告の意味では良いと思います。ただ工事をしたいがための、営業ツールに利用された点は非常に残念です。
 成果は9月に府中部会定例会議他で発表しようと思います。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。