耐震診断の疑問

 耐震診断の経験を積んくると、疑問に思うことが多くなる。旧耐震診断は疑問だらけだったが、新耐震診断は、難易度がアップし過去のデータがないので更に疑問点が多くなります。
 一番わかりにくいのが、壁強さ倍率。従来の壁倍率との比較が非常に難しいのです。一例では筋交いのダブル(二つ割り材)を利用すると建築基準法や従来の耐震診断だと4倍という倍率が設定されています。また構造用合板を規定の方法で打ち付けると2.5倍です。新診断のダブルは6.4倍(金物付き)、5.2倍(金物なし)と、端部金物の有無により強さが変わってきています。一方、構造用合板は6.2倍(9mm)となっています。これだと旧診断だと構造用合板より筋交いダブルのほうがかなり強い設定になっているのに、新診断では、すじかいに金物なしだと逆転、すじかいに金物があっても、合板とほぼ同等という結果になってしまいます。様々な実験等の結果から壁強さ倍率は設定されたと聞いていますから、この評価に疑問を持っているわけではありませんが、旧診断や基準法等の整合の意味で、頭がすっきりしません。どうも新診断は在来の筋交いよりもボード類の評価が高いようです。筋交いの欠点を評価したという意味ではとても良いと思います。
 他の耐震補強部材の壁強さ倍率への変換がされていないので、大臣認定をもらっている実績のある材料を使いたくてもその評価が難しいです。早く各メーカーが協力して壁強さ倍率への変換表を作ってもらいたいものです。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。