ベタ基礎の危険性

 最近、「ベタ基礎」だから安全、というような風潮が気になります。ベタ基礎とは、建物の底面全体にコンクリートを敷き詰める基礎のことです。従来の「布基礎」は柱や壁の下だけにコンクリート基礎が回っていました。設計の基本として木造住宅の場合、地盤がよければ布基礎、地盤が多少悪ければベタ基礎という感じで設計されていました。ベタ基礎のほうが、やや地盤の弱いところでも不同沈下を起こしにくいからです。
 しかし、最近施工されているベタ基礎を見ると不安でなりません。基礎の強度は、コンクリート強度を除けば基礎の立ち上がりの高さや基礎スラブ(土の上のコンクリート底版)の厚さや配筋(鉄筋)で決まってきます。いくらベタ基礎が良いといってもコンクリートが薄かったり、施工がいい加減だったりすると意味がありません。
 最近、床下の点検の意味で基礎の立ち上がりを切り欠いている仕様を良く見かけます。近年のベタ基礎は強度アップより施工のしやすさを優先するあまり、切り欠いた部分を補強していないケースを良く見かけます。また切り欠く位置が不適切な場合も見かけます。布基礎よりも危険では?という場合もあります。
 もっとも鉄筋が入った現在の基礎は昔の基礎に比べ強度がありますので実用上問題がないのかもしれません。しかしコンクリートにひびが入り、内部の鉄筋がさびてくると問題が発生してきます。ですから基礎の仕様には注意が必要です。本来基礎の設計は専門的知識と、地盤に関する調査データが必要です。しかし現状では考慮されていない場合がほとんどです。
 近年の建物は頑丈になってきていますので地震で基礎が破壊されない限り倒壊の恐れは少ないです。もう少し基礎に注意を向けてもいいのでは?と感じます。

作成者: しろなまず

建築設計やっています。スマホやソフトウェアが好きです。