一級建築士試験2016
今年も7月24日に学科試験が行われる一級建築士試験。2016年度の情報をまとめていきます(2016/9/07更新)。
10月9日に製図試験も終わりました。(2016/10/11更新)。
製図試験の総評など
例年に比べ簡単ながらトリッキーな出題で、よく文章を読んで注意した人に合格が舞い込みそうな今年の課題に苦戦した方も多かったと思います。まずはお疲れ様でした。
よくここまで短時間で総評やプランをまとめるものです。ただ短時間でやっただけあって、各校の解釈等は結構異なりますね。
他にも公開しているものもあります(一部会員制のものもあります)。また各校で試験後のイベントで解答例を配っています。似ている似ていないは今回はあまり関係ないかもしれません。
今年の傾向
各校講師や受験者に聞くと
・今年は書き終わる率が比較的高かった昨年よりも書き終わった人は多かった
・問題内容自体は平易だったが、新傾向やひっかけが多かった。それにどれだけひっかかるか?が合否を分ける。
・1階に保育所を詰め込み通風やゆとりを犠牲にするor1,2階に保育所を分け、通風やゆとりのあるプランにする、どちらもOK
・書き切った人が多いので、今年も合否が読みにくい
・杭がでなくて残念??
特に重複距離や、プレイルームの比率、2階庭などに苦戦した人が多かったようです。
学科試験合格発表
今年の合格は9月6日に行われました。おいおいというトラブルもあり、釈然としませんが合格基準点は90点で合格率は16.1%と例年になく渋い結果となりました。試験制度の根幹を揺るがすかもしれないミスなどは今後も避けてほしいものです。ここ2年間受験者数が微増し、少し持ち直してきているのは良いニュースだと思います。試験的には若干難しいけど、普通の勉強で受からない内容ではなかったです。年々受験者レベルが下がっているのは受験者数が減っていることから仕方がないことなのですが・・・。学科試験は既に学校に頼らなくても十分受かるレベルとなりました。あとは勉強時間をどうとるか?です。過去問をちょろっとできるようになっただけで受けても壊滅するだけです。問題解析するとある程度点数が取れるのですが、それだけでは受からない仕組みにもなっています。
まずは合格者の皆様おめでとうございます。落ちた方も来年があります。また一息休憩を入れて来年頑張ってくださいね。
学科試験の総評など
毎年資格学校などが、難しい!!などといって落ちた人の入学を促したり、製図試験講座をとりあえず受けさせるのが恒例となっています。
2016年7月29日18時現在の各校の予想点数は
TAC:90点以上、89点以上は準備すべき
総合資格:88点以上は準備すべき
日建学院:89点程度???(WEBの昨年の92に比べ3点程度下がる、のコメントより)
です。例年に比べて新選択肢が多く、正答肢が初出題の問題が増えています。昨年より若干難しかったのでは?というのが一般論です。消去法である程度対抗できるのでやはり過去問をやりこむことは重要ですね。4択になってテクニックで・・・という人が増えたような気がします。
初回受験のうえ独学で110点越えもいます。学科は決して独学で受からない試験ではありません。比較的新傾向が多かった今回でもそうなのですから例年はもっとです。昨年衝撃の裏事情を見てしまってから学科の試験対策は信用しなくなってしまいました。もっとも勉強時間は大幅にかけなければ受かるはずもありません。
受験校の予想はともかく、個人的には今年は逆に合格基準点は上がるような気がします。
追記(8月17日):各学校の担当者の話を聞いていると、やはり昨年よりは難しいと感じているようです。得点と難易度は反比例しない試験ですが、やはり昨年より基準点は下がるようです。
追記(9月7日):合格発表で基準点が90点でした。合格者数が激減したことから、人数調整が難しい点数だったのかもしれません。内容的には100点越えを目指して欲しいレベルだっただけに、これからは基準点を目指すのではなく、もう少し上を狙って準備したいところです。
製図試験
「子ども・子育て支援センター」(保育所、児童館・子育て支援施設)
要求図書
・1階平面図兼配置図(縮尺1/200)
・2階平面図(縮尺1/200)
・3階平面図(縮尺1/200)
・断面図(縮尺1/200)
・面積表
・計画の要点等
(注1)パッシブデザインを積極的に取り入れた建築物の計画
(注2)地盤条件を考慮した基礎構造の計画
(注3)天井の高い居室における天井等落下防止対策の考え方
(注4)要求図面に、図示又は記入するもの
・主要寸法、室名、床面積
・設備スペース、設備シャフトの位置
・避難階段に至る歩行距離・歩行経路 等
製図試験用資料
児童福祉施設【電子書籍】[ 建築思潮研究所 ]
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製図試験情報提供(無料)・有料通信講座提供ページ
海豆研究所・・・簡単トレース・エスキス(PDF)をダウンロードできます。2時間作図法(有料)は根強い人気があります。ブログも役に立ちます。
製図試験.com・・・合格マニュアルと無料メールサービスがあります。通信添削コースは9月1日まで受け付けています。
製図のウラ指導・・・各種ノウハウ。ちょっと古いが製図を行う基礎知識が豊富。各種添削講座、課題のみとか、他人の添削課題が見られるとか独特の魅力が多い
建築士.com・・・練習課題や作図法の講座など。基本的なことが解説されていて初受験組には貴重です。有料製図講座はなくなって残念。
建築士の塾・・・無料想定課題公開及び、各種講座。1課題あたり3240円と安価。昨年までの模試をダウンロードできます。
一級とるぞ!.Net・・・通信添削の設計製図コース。無料で練習課題をダウンロード(問題のみ。解答例なし)することができます。
TAC・・・なんと昨年度の課題の8つの問題文と答案例図面をダウンロードできる。エスキース・トレースの訓練に最適!通常講座も安価です
建築技術教育普及センター・・・3年間の設計製図の公式の問題と標準回答例をダウンロードできます。図面をどこまで書き込むか?参考になります。独学での貴重な研究資料です。
一級建築士製図受験ブログ・・・いろいろご自身で解析しているブログ。参考までに。
おそらくネットの情報を統合して、模試(有料も視野)を受けて指導を受ければ、受験合格の情報は十分かと。演習問題は書籍でも購入できますし、安価に受験が可能な時代になりました。良い時代になったものです。
製図試験のポイントの整理
おそらく議論になるのは、
・特定天井がでるか?(200㎡超と天井高6m超)出るとしたら空調やパッシブとの関連は?
→断面図と記述での出題に絞る。
・保育所と児童館のエントランスは別か?
→同じ場合と完全に分離する場合の2パターン訓練必須
・遊具はでるのか?
→最低限の遊具は平面的に書けるように。屋上利用パターンもあるが立面イメージはつかめる程度でよし。
・保育所は1階だけなのか?1,2階なのか?
→基本1階を想定。滑り台などの出題想定が各学校多いので、念のため訓練しておきたい
・杭基礎の断面はでるのか?
→今年は杭基礎で決め打ちしてOKと思われる。断面形状及び、杭の種類と知識、柱状図の読み方など一通りトレーニングしておきたい
・保育所の法規はどこまで必要か?
→あまり問われないと想定。念のため試験前に一読しておきたい
・特殊な設備
→太陽光など例年通り。更に自家発電設備については押さえておくこと。
程度だと思います。上記の点は専門学校でも解説があると思いますが、絶対ではないので、自分で押さえておく必要があります。