ARCHITREND ZERO Ver4の構造系の変更

アーキトレンドは木造構造系に非常に強力な機能・オプションを持っています。

今回のアップの目玉はやはり、wallstat連携でしょう。これは今までもあったプレカット連携のためのCEDXMデータ書き込みに、wallstatに変換しやすいように機能を追加したものです。残念ながらそのままで実用的な機能、とはいえませんが、大分楽になりますね。 wallstatは、私が使用始めた頃に比べて安易に使える環境を整えつつありますが、このソフトの仕様や構造的知識を知らないで使うと思わぬ結果になってしまうので、もしwallstat連携を利用する際はよく学習してから利用しましょう。

構造計算は、ツーバイフォーで、東京デンコーの2x4壁式との連携に対応したことが大きいです。かなり作業を省力化できますね。

在来の構造計算では、新グレー本2017に対応が大きいです。短期めり込み対応は、土台プレートだけでなく、添え柱にも対応。存在応力による低減にも対応したので効率的な設計が望めます。実装の仕方も非常にスマートでバージョンアップして初めて新グレー本2017に対応しようとするユーザーも安心して利用できます。

 

ASTIM 木造構造計算ソフト選び

私は、実はアークデータ研究所の古いユーザーです。まあメインで使ったことはないですし。一貫計算ソフトじゃないけど。あの独特のユーザーインターフェイスに挫折した経験があります。自由な形状入力で注目されたASCALという構造計算ソフトは、比較的設計が新しいこともあり、古くからの構造計算ソフトに比べいろんな特徴をもっています。

その木造版であるASTIMは、木造では珍しく、許容応力度計算についてはグレー本ではなく、木質構造設計規準・同解説をメインで解析を行っているようです。オプションに壁フレームというグレー本準拠のものがあるというだけでも異質です。ASTIMは最近、4号の壁量計算にも対応し、徐々に一般的な建物への対応も強化しているように見えます。

といっても真骨頂はグリッドに制約されない形状の自由さです。壁倍率にしばられない設計手法を採り入れ、木造ラーメンなどにも対応できる仕様に魅力を持っている人も多いと思います。

私も久々に体験版をインストールして使ってみました。機能が・・・大幅に増えていますね。昔触った操作方法などはほとんどそのままです。慣れでなんとかなりそうです。

次に入れるソフトの検討中ですが、意外としっくりきて良かったです。最近はモデル化に関して厳しい指摘を受けることが多く、形状の柔軟性があるソフトの導入を考え中です。秋にかけて慎重に選んでいきたいと思います。

SPACE Ver3.90

本日、技術者・研究者・学生用に作成された教育用の構造解析ソフトSPACEがバージョンアップされ、Ver3.90になりました。予定より遅れたとはいえ、精力的に機能拡張する姿勢には頭がさがります。

今回のバージョンアップで、免震構造及び制震構造の振動解析が実施できるそうです。特に長周期地震動による免震構造や超高層建築の動的挙動が解析できます。

32ビット版と64ビット版が別別に用意されているのはいいですね。パソコン交換時期なので、新パソコンにインストールしてみようと思います。

wallstat Ver3.3.8

木造住宅倒壊解析ソフトウェアwallstatは、中川貴文氏の開発したソフトウェア(中川氏はしろなまずと同い年)で、最近、いろいろなところで取り上げられているので有名になってきましたね。特にソフトウェアの連携が相次ぎました。木造耐震診断ソフトを始め、プレカットのシーデクセマ(CEDXM)ファイルの読み込みが可能となったりして、kizukuriの最新バージョンなどのようにCEDXMを書き出せるものであれば、入力手間が減るようになりました。アーキトレンドZEROの次期バージョンにも変換がつくようですので、一気に活用する人が増えてくると思います。しかしながら、解析ソフトなのでパラメーターなどは自分で設定しなければなりません。入れてパッと振動アニメーションができる代物ではないのです。ダウンロードして使えない・・・という人が多いのも頷けます。

開発者もその当たりは憂慮しているようで、上記連携のほかに、wallstat studioというCADライクに入力出来るソフトを開発しています。このソフトは比較的使いやすいのですが、出来ることも限られます。最近少しずつ安定してきましたが、これだけで何とかなるものではありません。ネット上に情報が少ないこともあり、意外と活用している人は少ないのかもしれません。

(クリックで拡大)柱や筋かいなどは、CADライクに入力できます。

5月に更新されたVer3.3.8はCEDXM系の修正がメインです。水平構面の自動生成機能が追加されて、パラメーターの設定が少し楽になりましたね。依然として建物の荷重などどうよ?と言われてしまうと厳しいのですが(・・・)、構造設計者ならある程度自力で解決できそうな気もします。

(クリックで拡大)熊本地震の益城町などの最新データもあって興味深いですね。

某設計事務所でも夏のイベント向けにデータを作り始めているみたいですが、実用的なデータとなると意外と時間がかかりそうです。

ASTIM/壁量

株式会社アークデータ研究所より、4号建物の壁量計算ソフト「ASTIM/壁量」が発売となりました。

ASTIMは柔軟な形状に対応する木造構造計算ソフトでしたが、壁フレームというオプションにより、グレー本での計算にも対応していました。ただ4号建物には・・・ということで今回の追加となったのだと思います。JWWからの通り芯読み込み、3D表示しながら入力できる機能など、某社っぽい機能を搭載しつつ、2×4にも適用できるなど、より高性能化しています。もちろん斜め壁も対応しています。

単独で、というよりASTIMの弱点を補完したオプションという位置づけです。これで同社のソフトウェアで、かなりの構造種別の計算に対応できるようになりましたね。どうしても難しい感じを受けるラインナップだったのですが、そのあたりを払拭できるでしょうか?

木造構造計算が技術者には不人気?

個人的に木造の構造計算って工学的判断という恐ろしいものによって恐ろしい設計になりがち・・・と考えていたのであまり追いこんで考えず、余裕を持たせて・・・というのが持論です。ただいろいろな形状に挑戦したり、かなりギリギリ設計を行ったり、耐震等級3を必須にしたり・・・さまざまなチャレンジを聞きます。でも全体的に見たら構造技術者の中では木造は不人気だな~と感じます。

それでも昨年のCLT告示の制定などで、木造に注目が集まっているのか?木造構造計算ソフトの開発については、いろんなところで各メーカー模索しているようで、試作品や怪しげな情報も含め情報が入ってきます。私が担当者から聞いたもので有望だな~と思ったのは一貫構造計算ソフトからの転用の木造構造計算ソフトで、形状の自由さ、保有への対応も含め面白い試みだな~と思いました。まあ元々転用している人いますしね。非常に魅力的!だったのですが、まだ本格開発・・・というわけにはいかないようで、出るとしてもまだ先の話です。ルート3対応は各社頭を悩ます部分のようで、東京デンコーのように木造耐震診断の精密診断法2を転用しているものもあります。そーいえばルート3に対応のソフトが他の会社からももうすぐでるとか。任意形状からの転用の話も聞きますが、なかなか難しいようです。理想はどんな形状でも入力したら解析!!というモノらしいですけど、角度によっては金物取り付かないし、SketchUPで納まり書いてから・・・という慎重さがないと難しいかと思います。

構造計算結果(3D)内に、実際の納まりなどを詳細に書ける3DCADが含有されているソフト(もしくはそう思えるようなアドオン機能)を強く求めます。計算結果と、その納まりの因果関係を覚えさせ(これは設計者がやること!)、過去に出てきた納まりは自動変換してくれるとかあるとかなり楽かな。間違えてやった場合は目をあてられないけど。入力すれば構造的に安全な建物が設計できる、と思っている人が未だ多いのですが、本来のモデルとかけ離れていて、強引にモデル化、というのも今の時代では受け入れられないと思います。

短期めり込み低減ツール

KIZUKURI Ver7.6いいな~と思っている人がいると思います。特に短期めり込み。そこで個人的にツールを作ったのですが、KIZUKURI版は驚くほど簡単でした。今度7.6と数値が異なるか検証しますが、以外と楽なので、木造舎でバージョンアップしたばかりで、今回有償、という方はグレー本を見て研究してみるといいでしょう。私はそれでも有償バージョンアップするかな??

さて、面倒なのはHOUSE-ST1。集計がらみが貧弱で、独自書式が多いので何か他のソフトで計算結果を使うとか、そういう場合に面倒な事が多いです。初心者向けなので仕方がないのかもしれませんが。検定比を作るツール、検定比をせん断力に乗じて短期軸力を作るツール、めり込み検定するツール、と3種類必要ですね。ただシートリンクを使って連動させれば、入力項目は非常に少ないです。次期リリースのもくツールでは、以前公開した土台プレートなどの検討ツールと連動するものを公開する予定です。メーカーと木ツール、どちらが早いだろうか??

HOUSE-ST1では、計算書をJWWなどに転送できるので、うまくやれば外部変形でそういう処理も可能ですね。誰か作ってみてはいかがでしょうか??

kizukuri Ver7.6

発売されたようですね。知人の情報だと、実質的にその他の積載荷重が大幅に増えて画面バランスが崩れた(・・・)ということが大きいそうです。冗談はともかくその他が14まで増えたのでかなり詳細な荷重調整が可能になったようです。金物工法の梁受け金物の算定計算も地味に便利そうです。

注目の短期めり込みの低減は、新グレー本2017に新たに記載された方法で検討しています。その設定がデフォルトのようで、応力図に風圧時と地震時のめり込みが表示され(β値を乗じた値)短期めり込みが計算されるようです。その効果は大きく、この方法が今後主流になっていくと思われます。

他にCEDXM機能は、kizukuriの仕様から期待できないだろうな~と思っていたら、やはり補助機能に近い実装となっているようです。意外と使えるかもしれません。

木構造がらみの告示改正案

3月末にパブコメが発表された、木造関連の告示。1100号も関わる部分なので興味を持っている方も多いと思います。そう遠くない時期に正式に告示・施行されると思います。

高倍率の耐力壁に期待を持つ方も多いともいます。別表第一には、構造用パーティクルボード、構造用MDFに4.3倍という高い倍率が指定されています。構造用パネル、構造用合板にも新たな高倍率が指定されます。別表第二、第三も同様、土塗り壁などの別表も新たに追加される予定です。告示化されるといろいろ便利なので楽しみですが、標準図の作り直し、現場への指示方法などいろいろ工夫が必要そうです。

意外にも昭和55年建設省告示第1791号も改正されそうです。筋かいを設けた木造建築物についての許容応力度等計算(ルート2)における応力割増しの件ですが、従来の方法に加え、特別な調査若しくは研究に基づき当該階の筋かいを入れた軸組の減衰性及び靭性を考慮して定めた数値を乗じて・・・という文言が加わりそうです。筋かいの仕様に応じて割増し係数を設定できるようになる、ということです。

平成28年のパブコメで再検討したものも含まれていますが、今度はきちんと改正できるのでしょうか??内容はともかく改正自体は行われそうなので、気をつけて推移を見守りたいです。

震度と建物の関係

筑波大学システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻構造動力学研究室のHPには、若干高度ながら、非常にわかりやすく地震について解説しています。

その中に熊本地震でわかったこと、という比較的トレンディかつ、住宅設計をやっている人間は、必見のことが書いてあります。地震研究はまだ道半ば、という感があります。まだまだ新しい地震で新しい発見も出てくると思います。熊本地震は震度7が2回観測される非常に希な地震だっただけに、いろいろな発見があると思いきや、もう少し精査すると更に興味深い事象が見て取れることがわかります。詳しくは同ホームページをご覧ください。

今まで、震度と地震被害が一致しない、ということは言われていましたが、同ページでは震度は、主として周期1秒以下の人体感覚・・・だそうで、建物自体の被害ではないそうです。良く考えれば当たり前のことで、建物被害は地震の周期や建物の固さ、高さなどで変わってしまうわけで、人が感じる指標を用いるのは至極当然とも思えます。もっとも誤解があるなら、きちんと周知してほしいところです。近年長周期地震動の指標ができたり、と徐々に改善されていますが、とりあえず震度7でもあんしん!などと謳っている建物CMなどは、その建物自体よりもその文言に疑問を持つべきでしょう。

このページで「予備知識として」と書いてありますが、震度の大きさと建物被害は関係ありません、とまではっきり書かれています。少なくとも設計者はその意味を正確に掴むべきです。

特に耐震化すると建物が固くなるので、周期の短い地震で逆に被害がでる可能性がでてきます。実際熊本地震でも長期優良住宅が壊れたなどという事例がでています。もしかしたら短周期(0.5秒から1秒)が卓越した地震動では、比較的新しく耐力が高い建物が被害がでるのでは?という予想が当たってきているともいえるのです。

地震をキラーパルスや長周期地震動のような、単一的な言葉で捉えるのが危険、ということもわかります。熊本地震では、キラーパルスに該当する地震動が大きかった地域(一番被害が大きかった益城町)、長周期地震動成分が記録された西原町、やや短めの1秒弱が卓越している地震動が記録されたKiK-net益城・・・場所や地盤によって、同じ地震でも変わってしまいます。その全てに対応することは出来なくとも、確率が高い方向で建物設計することは意味があることであり、他のページでも各周期毎の実験などもありますので、ご確認いただければ、と思います。

個人的には、建物を固めすぎないで・・・という一部の伝統的構法も、恐らく周期が長くなると危険になる可能性がありながらも、短周期の地震には有効かもしれません。固めにつくる現在の耐震等級3などの建物も、伝統的構法の建物も欠点部分に目をつむることなく、うまく欠点を補える方法ができてくれればな、と思います。住宅の構造設計をやっていると、やたら耐震等級3を求められますが・・・その流れ正しいのかどうか?考える時期になったのかもしれません。