超狭小木造3階プランの検証

中古で売り出されて話題になっている木造3階建て住宅。幅が2mないくらい?のものです。我々、構造計算をやっていても最小幅は2.7m程度が限度。それ以下だと生活になりませんし、構造計算もかなり厳しくなりますからね。でもやる人はいるのですね。

そこで、似たようなプランを作成し実際に構造計算してみました。

3Dアーキデザイナーでのパース

3階はキッチンに袖壁付けました(検討中どうしてもNG解消できなかったので)

ちなみに、間取り・パースは3Dアーキデザイナー(今年期待の新製品♪安心のメガソフト)、構造検討・計算はHOUSE-ST1 Ver7(いつもの構造システム)で行っています。

幅は1.82m、奥行きは9.1mと施工、開口部を考えると非現実的なのですし、塔状じゃないかとかいろいろ議論はありますが、今回は構造計算ソフトの入力・計算上成り立つか?を検証するので、そういう細かい突っ込みはご容赦を。

工夫したのは収納で壁をできるだけ作ること、施工的に可能な納まりにすることです。幸い横架材の最大スパンは1.82mなので梁せいはかなり押さえられます。ほとんど150でOKです!!上下階の耐力壁は上階に行くほど減るので、上の階の耐力壁は下階の耐力壁があることを前提として設計しています。バルコニー部分は大臣認定の構造用合板(床勝ち)、他は告示と施行令の普通の材料で設計しています。

HOUSE-ST1 Ver7でのパース

細い!!

HOUSE-ST1で入力したモデル。さすがに床構面は厳しく24mm根太レス工法でもNGが出ますね・・・。うまく壁を散らしたつもりだったのですが(汗)。仕方がないので詳細計算法で床を設計しました。小屋面も火打ちだらけになりましたね。3階にはあと一箇所キッチンに袖壁を作らないと計算NGになりました・・・(ここだけは下階に壁がありません)。それにしてもHOUSE-ST1の3Dモデルはきちんと作ればキレイですね!!入力がリアルタイムに反映されますので入力チェックにも有効です。

壁量はギリギリOKになりました。さすがに風圧厳しいです。例の狭小住宅と壁の量的にはあまり変わらないので、あの建物も構造設計可能と思われます。

土台めり込み

ただ設計していて問題点も多く感じます。普通に土台の短期めり込みはアウトです。長期だけで設計しているなら土台プレート数枚で済みますが、大量に必要になってしまいますね。多分短期は検討してなかったんだと思います。何しろ検定比が普通に2倍近くになりますから(汗)。新グレー本2017に対応したソフトなら少しは減らせますが安全なのかどうか??。他に横架材の仕口もごつくなります。よってせっかく梁せいを押さえられていても安全のために、部材寸法はアップしなければなりません。階段があるので一番幅が狭いところが91㎝しかないので水平構面も厳しいです。そもそも最大が182㎝幅なのですからね。

1階柱脚の算定された金物

通常の木造住宅は構造計算した部材の他に余力があって、それが地震時などには有効なのは良く知られていることですが、この建物にはほとんど余力がありません。構造計算したからって安全には思えません。ホールダウンも1階で60kN程度がでてきます。

ちなみに基礎の設計も・・・・もちろん転倒の検討なども必要なのですが、個人的には杭基礎にしたいですね・・・普通のべた基礎での設計は諦めました。深い布基礎とか、杭基礎とか・・・どちらにしてもコストが跳ね上がります。ちなみにアンカーボルトも気が狂いそうです。一貫構造計算でNGを出さないだけでも大変なのに、それ以外の配慮もたくさん必要で、実務でやろうとは思えませんね。やるとしたら一方向ラーメンを大量に・・・という手法でしょうか?そもそも引き受けませんが。

構造設計がある程度できるようになると、このような一見無理な建物の検証もできるようになります。すると計算では可能でも・・・・とかいろいろわかることも出てきます。もしこのプランで、鉄骨だったらとか他構造を考えて見るのも面白いです。実務に追い回される日常をお過ごしの皆様。夏休みなどに是非試してみてくださいね。

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