安心精密診断(東京デンコー)の歴史

 以前、耐震診断を行った方の資料が見たくて、久々に安心精密診断(ノーマル)を起動しようとしたら、パスワードを要求されたので、デンコーに電話。しかし出た社員が、安心精密診断を知りませんでした!まあ10年前のソフトですしね・・・。というわけで、ちょっとだけ整理です。

 東京デンコーの木造耐震診断ソフトの歴史は意外と浅いです。構造システムがDOC-Wを発売しベストセラーになった後期の頃、初代「安心精密診断」をリリースしました。このころ使われていたソフトは、DOC-Wがメジャーであり、REX・ホームズ君などもありました。旧耐震診断で1階の評価しかできず、機能も非常に低く、ユーザーインターフェイスも悪いころでした。そんな頃、ユニオンシステムから診ノ助が発売されました。これも旧耐震診断でしたが、地震動が選べるなど、旧診断後期に見られる付加価値型のソフトでした。そんななか、リリースされた安心精密診断は、本格的なユーザーインターフェイスを備え、補強設計が出来る当時では画期的なソフトでした。新築にも対応できるN値計算機能を備えていました。これは当時のソフトとしては画期的でした。また専門的な帳票を備え出力も信頼性が高いものでした。惜しむらくは発売が遅すぎました。よってあまり持っている人を見たことがありません。私は、当時このソフトに惚れ込み、他のソフトを持っているのに購入しました。当時の補強設計は壁を増やし金物も適当な時代でした。私が構造を本格的に勉強を始める前の頃でしたが、耐震も含め本格的に勉強しようかな?と思ったきっかけとなったソフトです。
 しかしそれほど使わないうちに、2004年の大改訂が行われました。私も府中部会の立ち上げなどで忙しくなりました。支部で統一的なソフトを選定しようという話になりました。当時まで主流であったDOC-Wの後継ソフトである、HOUSE-DOCの発売が発表され、支部はそちらを押していました。私は、安心精密診断の高性能ぶりから、後継の安心精密診断2004を押しました。ただ私の立場が弱かったので、大した抵抗も出来ず、支部のソフトはHOUSE-DOCに決まりました。この頃から、ソフトウェアの比較を多数行うことになりました。
 さて、その選ばれなかった方の安心精密診断2004も購入しました。こちらも多機能ぶりは、先代から引き継いでいました。構造計算ソフト並に建物荷重を計算できる(88条)など、他社を寄せ付けない機能を搭載していました。しかしながら、安心精密診断よりはるかに多機能なのに、同じユーザーインターフェイスに詰め込んだため、非常にわかりにくいインターフェイスになりました。またN値計算の仕様の変更(退化しました)、などもあり、一部の構造屋には支持されましたが、想像より普及しませんでした。やはり難しそうなイメージは払拭出来ませんでした。個人的には、補強設計で多用しましたが、安心精密診断ほどの愛顧はなくなり、通常はHOUSE-DOCを使うようになっていました。安心精密診断2004は、その後オプションを発売して攻勢にでる場面もありました。図面の下図読み込みや、見積書作成機能、耐震性能評価書作成機能などがそれです。しかし本体の機能改訂もなくなり、他社ソフトに使い勝手だけでなく、機能数でも劣るようになりました。それでも他社が建物荷重や金物についての機能追加はなかったため、依然として高精度な耐震診断ソフトとしての地位を維持し続けました。
 そして2012年改訂。ここで安心精密診断は2つの種類に分かれました。従来の2004の改訂版である2012-1と、精密診断法2を搭載した2012-2です。両者とも他社に比べて強気な価格設定と、年間サポート代金はユーザーを驚かせました。不評なユーザーインターフェイスは変更はなく、そのままのインターフェイスで、2012年改訂版に対応しました。2012-1の特徴は、2004と同じです。2012-2は、学校や幼稚園などに対応した精密診断法2に対応したため、再び注目を集めるようになりました。
 他社が追従しなかったこともあり、今後高機能耐震診断ソフトの雄として使われ続けると思います。補強設計と考えると、やはりこのソフトの機能は非常に魅力的であり、使いこなせるのであれば、一番にお勧めします。ただ不安要素や、素早く診断!なんてケースもあるので、HOUSE-DOCなどと併用するのがやはりいいのかな?と感じます。

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