工事・設計以外にできること

 私の事務所は建築設計事務所であるので、設計のプロでなければいけません。しかしそれだけでは駄目です。住み続けることの知恵なども知っておかなければなりませんし、そのためには自分の生活も大切です。
 ですから毎日終電まで働くのは結構なことですし、休みなく働くことは頭が下がる立派な行為ですが、私生活がなくて果たしてお客様に本当によい設計を提供できるでしょうか?家を提供できるでしょうか?生活のアドバイスができるでしょうか?
 設計や工事以外にもできることがあります。例えば雨漏りの兆候やシロアリの出るタイミングをわかりやすく解説することも生活のアドバイスとして重要な場面もあります。実際にキッチンで料理してみて料理のことを知らなければキッチンのアドバイスは絵空事になる場合もあります。布団を干すことをしなければ、家の布団を干すという行為を設計から抜けてしまうこともあります。洗濯をしなければ、洗濯場から物干し場までの距離を実感できません。やはり設計者はいろいろ体験しなければなりません。工事業者よりもさらに実態から遠い仕事なので。それは構造や意匠や設備など分業以前の問題です。私も昔ある著名な意匠建築家さんから、「家自体に興味がなければだめだ」とアドバイスを頂き、構造面だけでなくいろいろな面から家を見るように努力し始めました。
 口先だけうまくても、次第にボロがでるものです。やはり日々の努力ももちろんのことながら、視野を広くし私生活も大事にしないとね。最近特にそう思います。