「阪神大震災に見る木造住宅と地震」

阪神大震災に見る木造住宅と地震 

 時間が経つと当時の記憶が風化してくるものです。また情報も時間を掛けて間違った情報や、安易な情報に集約されつつあります。私は最新の本も読みますが、古い本も出来るだけ目を通すようにしています。木造住宅の設計で耐震性を考えたい設計者は是非お勧めしたい本があります。
 阪神大震災に見る木造住宅と地震は、現東大名誉教授の坂本先生が監修した名著で1997年に発行されました。図書館などにもあります。ここには当時の学者が現地を見回って写真や図面を集め、その調査の全容を非常にわかりやすく解説しています。比較的新しい建物の被害写真や、間取り図の多さ、各構造毎にシンプルにまとめられた解説等、今読んでみると非常にためになる本です。
 当時に比べ、耐震性能に優れる部材が開発され、見た目非常に耐震性が高い建物が増えてきました。しかし当時の間取り図と比べると、違和感を感じますね。今の建物は間取りも複雑ですし、ロングスパンや大開口が多いです。果たしてこれがマイナスに働かないか?かなり不安です。まあ実際に揺れてみないとわからない、ということもあるのですが、地震というのは震度だけでなく周期や地盤という重要な要素も忘れてはなりません。せめて今現在わかっていることを設計に活かしたいと思うのは自然の流れではないでしょうか?
 この本は、そんなことも気がつかせてくれます。更に新しい本がたくさん出てきた今でも、私にとってはなくてはならないバイブルです。

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