耐震診断に見る壁倍率の上限

 木造の設計をやっている人なら構造屋さんだけじゃなく意匠設計の方でも壁倍率の上限は5ということを知っています。これは建築基準法施行令で定められているので、もちろん超えてはいけません。しかし例外的に構造計算を行う場合は超えてもいい(そもそも構造計算に壁倍率って必要なのかは別議論)ことになっています。許容応力度計算では通常、筋かいや耐力壁、準耐力壁の合計が7倍まで認められいる。
 さて、耐震診断の精密診断法では、補強の際の耐力壁の評価は壁基準耐力で14kN/mまで認められている。もちろん既存ではこんな高倍率が評価されるわけないので補強の事でしょう。大地震時だけと考えるので、壁倍率と純粋に比較するわけにはいかないが、14kN/mを壁倍率に換算するには1.96で割るので約7倍超ということで、奇妙に一致する(注意:実際には単純換算ではないので要注意)。14kNってどれくらい?って意匠設計の方に聞いてみましょう。答えられるかな?簡単にいえば1tが約9.8kNなので約1.4t!ですねえ。とんでもない力です。果たして新築住宅でも計算上これくらいが限界ですよ、といっているのに耐震補強する数十年前の住宅にこの基準が適用できるか?不安です。柱や土台、アンカーがもつのか・・・?はなはだ不安です。まあ、14kNの補強を一カ所にする設計者は皆無だと思いますが、10kNは簡単にやっていると思います。なぜなら合板両面で10kN超えますので。補強設計を行うときは現実的な数値に置き換えて行いましょう。
 当たり前ですが、補強設計・新築でもこれだけの力がかかった場合、その柱脚柱頭にかかる引き抜き力も相当なものです。新築でも、ごついホールダウンが必要になります。くれぐれも補強の時はきちんと考慮、設計、施工を!そうしないと、壁が大丈夫でも柱が引き抜かれ思わぬ部分で倒壊!なんてことも可能性としてはありますから!
 まあ逆に言えば、耐震診断でもその倍率使っても良いわけですから、新築の場合、堂々と構造計算を行ってその倍率を使ってしまいましょう。使わないと逆に柱頭柱脚の金物が過小評価される可能性もあり危険かもしれませんよ?
 といってみたけど、実際はどうなのかな・・・。地震に対する安全を確保する道は遠い!
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